円が反発、米景気懸念でリスク回避圧力-前日の全面安の流れ続かず

東京外国為替市場では円が反発。週 末に米国の雇用統計の発表を控え、同国の景気の先行き懸念がくすぶ り、リスク回避目的とみられる円買いがじわりと進む展開となった。

ブルームバーグ・データによると、円は全面安となった前日から一 転、ほとんどの主要通貨に対して前日終値から水準を切り上げている。

ユーロ・円相場は1ユーロ=108円台前半でのもみ合いが続いて いたが、徐々に円買いが優勢となり、正午すぎには一時、107円51銭 まで円が上昇。オーストラリアの貿易黒字が予想以上に縮小し、対豪 ドルで円買いが強まったことも影響した。

グローバル・フューチャーズ・アンド・フォレックスのシニアエ コノミストの前川明氏は、前日発表された米民間雇用調査の結果を考 慮すると今週末の雇用統計でも弱めの数字が出る可能性がある、と指 摘。「米債金利水準が示す米景気の先行き不安は行き過ぎだと思うが、 悲観論の修正にはなお時間を要するとみており、当面はリスク回避か らの円高リスクが残ることになるだろう」と語った。

ドル・円相場は1ドル=84円台半ば付近での小動きのなか、東京 市場を迎えたが、午前9時前後に日中の円安値となる84円56銭を付 けると、円はじり高に転換。正午すぎに84円8銭まで円高に振れた後 は、84円台前半でもみ合う展開となった。

米国の景気先行き不安

ブルームバーグ・ニュースが実施したエコノミスト調査によれば、 3日発表の8月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が10万人減少 するとみられている。

米雇用統計の前哨戦となる1日発表の給与明細書作成代行会社オ ートマティック・データ・プロセッシング(ADP)エンプロイヤー・ サービシズの8月の民間部門の雇用者数は、エコノミストの増加予想 に対して前月比1万人減少。この日発表される先週分の新規失業保険 申請件数は前週から2000件増加の47万5000件となる見通しで、雇用 とともに注目の住宅関連では、7月の中古住宅販売成約指数が3カ月 連続で低下すると予想されている。

みずほコーポレート銀行国際為替部の竪智司参事役は「テーマの 中心は米国で、特に雇用と住宅の悪さを気に掛けながら出てくる指標 を1つずつ見ているという状態だ。確かにきのうはISM(米供給管 理協会)指数が良くてリスクオフ(回避)ポジションがいったん巻き 戻されたが、リスクオン(選好)に変わっていく流れを見るにはまだ まだデータ不足だし、心配は払しょくされ切っていない」と話してい た。

前日の海外市場では、アジア時間に発表された中国の製造業購買 担当者指数が好調だったことに続き、8月の米ISM製造業景況指数 が予想外に上昇したことで、米国や世界景気に対する過度の不安が後 退。米株式相場は2カ月ぶりの大幅高となり、外国為替市場では相対 的にリスクの高い資源国通貨などが買われた一方、低金利で調達通貨 である円やドル、安全通貨とされるスイス・フランが売られる展開と なっていた。

2日の東京株式相場は続伸。ただ、米雇用統計や民主党の代表選 の行方を見極めようと投資家の様子見姿勢が強く、午後の取引では伸 び悩む場面が見られた。

ひまわり証券情報開発グループアナリストの湊川直人氏は「底流 にある米国経済への先行き不安が完全に払しょくされたわけではなく、 今週末の米雇用統計次第では、再び悲観相場へ戻る可能性があるので、 株や資源国通貨などのリスク系資産の買い戻しの持続性はない」との 見方を示していた。

菅直人首相は2日午後、民主党の小沢一郎前幹事長との討論会で、 「円高に対する危機感はかなり早い段階から持っていた」と述べ、政 府と日銀が8月30日に対策を決め、「実行に移す段階」と指摘した。

一方、小沢氏は「円の評価が上がるのは長期的に悪いことではな い」とした上で、短期的には企業や雇用に影響があるため、「日銀の金 融政策だけの余地が狭まる中、日本だけの介入はなかなか効果が上が らないが、日本だけで介入するくらいの覚悟が必要」との認識を示し た。

豪ドル反落

オーストラリア統計局が2日発表した7月の貿易収支は18億 9000万豪ドルの黒字となった。ブルームバーグ・ニュースがまとめた エコノミスト調査の予想中央値は31億豪ドルの黒字だった。

予想以上の黒字縮小を受け、豪ドルは反落。対米ドルでは約3週 間ぶり高値水準となる1豪ドル=0.91ドル台前半から0.90ドル台半 ば付近まで値を下げた。

一方、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.2800ドルを中心にもみ合 う展開。エコノミストらによると、欧州中央銀行(ECB)の政策委 員会はこの日の会合で、市中銀行に対する緊急の融資措置を2011年に 入っても継続することで一致する可能性が高い。政策金利については 過去最低の1%に据え置かれると予想されている。

--取材協力:関泰彦 Editor:Masaru Aoki, Hidenori Yamanaka

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 小宮 弘子 Hiroko Komiya

+81-3-3201-2371 hkomiya1@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo

+81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 東京 Rocky Swift

+81-3-3201-2078 or rswift5@bloomberg.net.