バフェット氏にも及ぶバーナンキ議長の巨大監督権限-信頼回復で集中

【記者:Steve Matthews and Joshua Zumbrun】

9月2日(ブルームバーグ):2009年11月、米上院銀行委員会の クリストファー・ドッド委員長(66)は急進的な提案をした。米連邦 準備制度と連邦預金保険公社(FDIC)、その他の機関の間で分割さ れていた銀行監督権限のほぼすべてを一手に握るスーパー監督機関の 創設だ。

ドッド委員長は米連邦準備制度理事会(FRB)とバーナンキ FRB議長(56)に対する批判の急先鋒だった。09年7月にはFRB による金融サービス業界の監督は「底無しの大失敗」だったと宣告し た。

10年1月、米上院はバーナンキ議長の2期目続投を70対30で承 認した。上院がFRB議長の指名を承認するようになった1978年以来 で最も低い支持を示した。

その半年後、オバマ米大統領は2300ページから成る金融規制改革 法に署名し、スーパー監督機関の議論は忘れられた。逆に、金融規制 におけるFRBの重みは増し、バーナンキ議長はかつてないほどの力 を持つFRB議長となった。18年間FRB議長を務めた グリーンスパン前議長にも、これほどの権力はなかった。

プリンストン大学教授時代のバーナンキ議長とともに大恐慌の原 因を研究したニューヨーク大学のマーク・ガートラー教授は、「ほこり が鎮まってみると、議会はバーナンキ議長とFRBが分別ある対応を していたことに気付いた」と指摘した。また、「FRB議長の権力は最 終的に、議長がその権力を慎重に使うという議会の認識が前提になる。 バーナンキ議長はそのような評判を得ている」と述べた。

権力が集中

ドッド・フランク法と呼ばれるようになったウォール街改革・消 費者保護法に基づき、バーナンキ議長とFRBには、1つの監督機関 がいまだかつて持ったことのないほどの権力が集中する。FRBは 5000の国法銀行持ち株会社と830の州法銀行に対する監督権限を保持 する。さらに、大規模で「システムにとって最重要」の銀行の融資と リスクテークを監視・指導する新たな権限を得る。

FRBは440の貯蓄金融機関持ち株会社への監督権限を得るほか、 銀行以外でシステムにとって重要な金融機関も監督する。アナリスト らは、その中に資産家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャ ー・ハサウェイなどの大手保険会社や米ゼネラル・エレクトリック(G E)の金融部門、ゼネラル・エレクトリック・キャピタルが含まれる としている。

FRBは今後、銀行システム内の慣行が米国の金融安定を脅かす と判断すれば措置を取る義務がある。大手銀行に対するストレステス ト(健全性審査)を毎年実施し資本増強が必要かどうかも判断する。

消費者保護局

また消費者保護局は、FRB内に新設される。同局は「独立機関」 とされ、大統領が局長を指名、上院が承認する。FRBから上納金を 得るが、独立の予算執行権限を有する。

01-07年にFRB金融政策局長を務めたビンセント・ラインハー ト氏は「FRBには膨大な数の権限が付与された」とし、「非常に強力 で広範な責任を持つ」と論評した。

そのような権力こそは、金融規制改革法に反対した上院議員らが バーナンキ議長に与えるのを阻止したいと望んだものだ。同議長はこ の記事についてコメントを控えた。

上院銀行委員会の共和党トップ、リチャード・シェルビー議員(ア ラバマ州)は09年7月の公聴会で、「FRBの権限を拡大すれば、一 つの機関が果たせると合理的に考えられる範囲を超えた責任をFRB に与えることになりかねない」と論じていた。

シェルビー議員はまた、政策金利設定と銀行監督という2つの役 割は矛盾を内包するとも指摘。「金融政策と銀行規制を一緒にすること は、税金を使った救済と金融政策についてのまずい判断を招く方程式 であることが、証明されている」と述べた。

前議長

FRBに新たな規制権限を与えることへの反対者の中にはグリー ンスパン前議長もいる。

グリーンスパン氏は7月16日のインタビューで、「FRBに与え られた追加権限についてわたしは賛成ではなかった」とし、「彼らが実 際に次の危機を阻止できるとは思わない」と述べた。

バーナンキ議長とその支持者らはFRBへの歴史的な評価をてこ に、FRBの権限拡大への反対派に勝利した。

ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのチーフエコノミスト、 ジョン・シルビア氏は「民主党も共和党も、FRBの独立性は他のど の機関よりも高いという点では異論がないので、最終的にFRBの権 限拡大を容認した」と解説した。

格別適任

バーナンキ議長は、FRBが引き続き米国の銀行監督の中心を担 うことが重要だとし、FRBは他のどの機関よりも銀行を知り尽くし ていると説く。議長は3月17日に下院金融委員会の公聴会で「その幅 広い経験の故に、FRBは大規模で複雑な金融機関の監督に格別適任 だ」と語った。

議長は09年3月のCBS放送の番組「60ミニッツ」や講演、質 疑応答などを通じて、自身の見解を公にしてきた。

議長の支持者らは金融規制改革法が同議長への最大級の信頼の証 しだと考える。ドッド委員長も、議会が同法案について議論を続けて いた数カ月の間に、議長支持に転じた。

「FRBがもっと積極的に行動するべきだった時にしなかったと 考え、心底から懸念したが、バーナンキ議長もその経緯から多くを学 んだと思う。今は、政策トップとしての議長に大きな信頼を寄せてい る」とドッド委員長は述べた。

-- With assistance from Scott Lanman in Washington. Editors:Michael Serrill

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