米国債:下落、ISM景況指数上昇で安全需要が後退

米国債相場は3日ぶり下落。米 供給管理協会(ISM)の製造業景況指数が予想外に上昇したこと で、比較的安全な国債への需要が後退した。

2年債利回りは過去最低付近から上昇。世界的な景気回復の兆 候が手掛かりとなった。この日は、中国で製造業活動の拡大が示さ れたほか、オーストラリアの4-6月(第2四半期)国内総生産(G DP)は、3年ぶりの大幅な伸びとなった。

三菱UFJフィナンシャル・グループのシニア米国債トレーダ ー、トーマス・ロス氏は「この相場水準では多くの悪材料が織り込 まれている」とした上で、「織り込み過ぎたかもしれないと感じさ せるような数字が経済指標で出た場合、市場では売りが出る」と指 摘した。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後4時12現在、10年債利回りは前日比11ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)上昇の2.58%。同年債(表面利率

2.625%、2020年8月償還)価格は、29/32下げて100 14/32。

2年債利回りは、3bp上げて0.51%。一時は0.47%に下 げる場面もあった。同利回りは8月24日に過去最低となる

0.4542%を付けた。30年債利回りは13bp上昇し、3.64%。

利回り格差

2年債と10年債の利回り格差は2.07ポイントに拡大。景気 回復が失速しつつあるとの懸念が後退したことが背景にある。

米国債のボラティリティ(変動性)は今週、3カ月ぶり高水準 に達した。償還年限2-30年の米国債の店頭オプション価格を基 にしたボラティリティの指数であるバンク・オブ・アメリカ(BO A)メリルリンチのMOVE指数は、8月30日に109.7と6月1 日以来の水準に上昇した。

ISMが発表した8月の製造業景況指数は56.3と、前月の

55.5から上昇した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノ ミスト予想中央値は52.8への低下だった。同指数では50が製造 業活動の拡大と縮小の境目を示す。

ドイツ銀行のプライベート・ウェルス・マネジメント部門の債 券トレーディング責任者、ゲーリー・ポラック氏(ニューヨーク在 勤)は、製造業景況指数について、「景気に関するプラスのサプラ イズだ」とした上で、「債券市場は買われ過ぎの状態だ」と語った。

雇用情勢

ブルームバーグが実施したエコノミスト調査によれば、3日に 発表される8月の雇用統計では、10万人の雇用減が見込まれてい る。

米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMC O)の市場ストラテジスト兼ポートフォリオマネジャー、アンソニ ー・クレセンツィ氏は、顧客向けの調査リポートで、「多くの投資 家はISM製造業景況指数の数字に疑問を感じており、景気回復の 持続性を見極めるため雇用統計を待っている」と説明した。

給与明細書作成代行会社のオートマティック・データ・プロセ ッシング(ADP)エンプロイヤー・サービシズが発表した給与名 簿に基づく集計調査によると、米民間部門の雇用者数は前月比で1 万人減少した。ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央 値は1万5000人の増加だった。