米ゴールドマン:日本企業の株式引き受けシェア、過去最大に

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米ゴールドマン・サックスは、2010 年度の日本企業の株式引き受け業務で、同社として過去最大の市場シェ アを獲得する見通しだ。国際ビジネス拡大をにらむ日本企業が海外で同 時に公募増資するグローバル・オファリングの増加が背景。外国銀行の 活躍が目立つ一方、国内勢のシェアが落ちている。

ゴールドマンは、4月以降これまでに日本株式関連の引き受け(自 社発行を除く)で18.4%のシェアを獲得。約5000億円に上る国際石油 開発帝石や、みずほフィナンシャルグループの8000億円規模の公募増 資で主幹事を務め、シェアはブルームバーグがデータ集計を開始した 1999年以降で最大を記録した。

米銀JPモルガン・チェースも、大和証券グループ本社や大手邦銀 グループからシェアを奪う格好で日本株引き受け実績を拡大している。 成長の活路を国外に求める日本企業がグローバル・オファリングで海外 市場でのプレゼンスを高めようとする中、外銀勢は海外拠点や機関投資 家とのネットワークを生かして案件を獲得している。

ゴールドマン(東京)のマネージング・ディレクターで資本市場本 部長のジャスパー・タンス氏(38)は、「国内機関投資家の需要が伸び 悩む中、海外での販売能力の高い外資系の果たす役割はますます重要に なっている」と指摘。その上で、「海外企業の買収を意識した日本企業 などによる活発な資金調達は今後も続く」との見通しを示した。

高まる海外投資家の存在感

ブルームバーグ・ニュースの集計によれば、今年度の金額ベースで の上位5社の公募増資では、調達額全体に占める海外投資家の比率は 45%だった。5年前のグローバル・オファリングも同様に集計したとこ ろ、同比率は32%で増加傾向にある。

オーストラリアの液化天然ガス・プロジェクトを手掛ける国際帝石 は7月の公募増資での海外調達率が50%に達した。みずほFGでも同月 の公募増資では同様に5割となった。同調達率は、それぞれ04年の新 規株式公開(IPO)時の27.5%、06年の売り出し時の40%から大幅 に高まった。

一方、国内機関投資家の日本株投資は減少傾向にある。JPモルガ ン・アセット・マネジメントの調査によれば、日本国内の135年金基金 (総額12兆円)の資産配分は2010年3月末で国内株式が20.1%で2年 前の23.5%から低下した。日本企業にとって海外投資家の存在感は大き くなってきている。

大和が失速

国際帝石は、7月の公募増資でゴールドマンを野村ホールディング スとともに共同主幹事に起用した。池田寛経営企画グループマネージャ ーは「グローバルな調査・分析能力と優良な機関投資家とのネットワー クを有し他社を上回っていた」とし、国内外13社から選んだという。 ゴールドマンは約30人の金融シニアアナリストを擁している。

ブルームバーグ・ニュースの集計によれば、外国銀行5グループの 10年度これまでの株式引き受けシェアは40.3%と02年度以降で最大。 ゴールドマンは18.4%でランキングは第2位。09年度の11.5%から急 拡大した。JPモルガンも4.7%から12.8%とし4位につけた。トップ は、野村HDで39.2%と昨年度の42.5%からやや減らした。

大和証Gは昨年、三井住友フィナンシャルグループと投資銀行業務 での合弁を解消し、自前で引き受け業務を手掛け出した。今年度の引受 けシェアは4%と、09年度の8.8%、08年度の25.9%から大きく後退 している。

日本経済は4-6月期の国内総生産(GDP、1兆2883億ドル) が初めて中国(1兆3369億ドル)に抜かれた。今後も少子高齢化など による生産力の低下が懸念され、日経平均株価は1989年のピークから 77%下落している。

シェアを拡大したJPモルガン(東京)キャピタルマーケッツ本部 長のダグラス・ハウランド氏は、「日本経済が人口減少と高齢化で中国 やインドに比べて劣っていくなら、日本企業はより海外での成長を求め ていくことになるのは明らかだ」と指摘。海外でのM&A(合併・買収) や海外進出関連の資金調達が増えていくとの見通しを示した。

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