パナソニック:3Dテレビに暗雲、予想外のサムスン安売りで

プラズマテレビ世界最大手パナソニ ックの今年度の3次元(3D)テレビ販売計画の達成に暗雲が広がって いる。主力市場の米国でサムスン電子が発売当初から大幅に値下げして おり、サムスンの安さに太刀打ちできないためだ。パナソニックは価格 で争う戦略はとらない方針で、同計画は修正を迫られる可能性がある。

「サムスンに他社はついていけない」――。テレビ事業を担当する 宮田賀生常務は8月30日のブルームバーグとのインタビューでこう述 べた。宮田氏は、サムスンが米国で3Dテレビを約3割値下げし、イン ターネットで3D対応のブルーレイディスクプレーヤーとソフト、専用 メガネ2個もつけたセットを廉価で販売しており、サムスンは「誰もも うからない形でやっていると思う」と話す。

パナソニックは3Dテレビを米国で3月から投入、これまでの販売 実績は明らかにしていない。宮田氏は、米国でのサムスンの動きは「想 定していなかった」といい、10年度の3Dテレビ販売目標100万台が達 成できるかどうかは「分からない。分からなくなってきた」と懸念をの ぞかせた。

米家電量販店最大手ベスト・バイのウェブサイトによると、サムス ンの3D対応プラズマテレビは50型で安価なタイプでは989.99ドル(約 8万3500円)と1000ドルを切る安さ。一方、パナソニックの3Dプラ ズマテレビ「ビエラ」は同じ50型で2499.99ドル。46型のソニーの3 D液晶テレビ「ブラビア」は2299.99ドル。

この比較で画質に違いの出る解像度の点では、サムスンが720ピク セルなのに対し、ソニーとパナソニックはともに1080ピクセルと高い。 しかし、同じ解像度の50型でみてもサムスン製は1399.99ドル。価格差 は一目瞭然だ。

だが、パナソニックは米国でサムスンとは価格で対決しない方針。 特に発売1年目の今年度は画質の良さなど商品力をアピールし、価格で は「後を追いかけない」という。サムスンの価格攻勢が米国ほど強くな い欧州、日本では善戦しているため、米国での落ち込みを他市場で補い たい考え。テレビ全体の販売計画2100万台は維持する。

サムスンの米国シェア88%

一方、テレビ世界最大手のサムスンは8月31日、3Dテレビの出 荷台数が6カ月間で累計100万台を超えたと発表した。特に米市場では 1-7月に販売された3Dテレビのうち88%(台数ベース)がサムスン となり圧倒的なシェアを獲得したという。同社は10年の3Dテレビ販 売目標を260万台としている。

みずほインベスターズ証券の倉橋延巨アナリストは「日系メーカー は3D優位といっていたが、3Dでシェアが巻き返せるというものでは ない」と指摘し、「大型プラズマではパナソニックに競争力があるはず だったが、ここまで差がつく背景にはサムスンの圧倒的な収益力、ブラ ンド力の強さがある。まさに競争力の差」と分析する。

サムスンが7月30日に発表した4-6月期(第2四半期)の純利 益は、前年同期比83%増の4兆2800億ウォン(約3040億円)と四半期 ベースの過去最高益を更新。同四半期に計上したパナソニックとソニー の純利益合計の4倍以上だ。

速い値下がりペース

ソニーの石田佳久業務執行役員は先月26日の3Dテレビ新製品発 表会で、景気悪化により北米テレビ市場が毎週、前年割れの状態が続い ていると説明。現地で数量調整をしており、3Dテレビの販売も想定を 下回っていることを明かした。世界全体の3Dテレビの価格動向は当初 の見立てから「2割程度下がっている」といい、値下がりペースは「や や速いかもしれない」とも語っていた。

ソニーは3Dテレビを6月から順次、世界市場へ投入。同社も販売 実績を公表していないが、日本、英国など一部の市場で好調なため、テ レビ全体の販売計画2500万台、このうち10%程度とする3Dテレビの 販売目標のいずれも現時点では変更しない。

米調査会社のディスプレイサーチは7月、10年に3Dテレビの世界 出荷が340万台、14年には4290万台に拡大すると予測している。

1日午後1時16分現在の株価は、パナソニックが前日比1円(0.1%) 高の1069円。ソニーは同5円(0.2%)高の2373円だった。今年に入り、 パナソニック株は約19%、ソニー株は約11%下落している。

--取材協力:Adam Le, Jun Yang Editors:Tetsuki Murotani Hitoshi Ozawa

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