国内年金、バフェットに倣いインフラ投資拡大-野村はファンド設立へ

国内年金基金の間でファンドなどを 通じ、運用資産を有料道路や鉄道、水道、電力施設などのインフラ(社 会資本)に投資する動きが広がってきた。少子高齢化で加入・受給者構 造が変化するなか、中長期的に安定的な収益を期待する基金が新たな分 散投資先として資金を振り向けている。

JPモルガン・アセット・マネジメントの調査によると、インフラ 投資は2008年度の7基金から09年度は14基金まで増え、10年度も新 たに4基金が検討しているという。こうしたなか、野村ホールディング スが投資先に海外企業を含むインフラファンドの設立準備に入るなど 受け皿づくりも進んでいる。

資生堂企業年金基金では今年度から北米、欧州を投資対象とするイ ンフラファンドで15億円の運用を開始した。同基金の六田嘉孝常務理 事は「きちんとインカムが得られる投資先はインフラだ」と指摘。安定 収益の期待できるインフラ投資は、分散投資先としても有効であるとの 認識を示した。

一方、「リスクを抑え予定利率を達成できるかが課題」というアス テラス企業年金基金の田島一郎常務理事は、先進国や新興国などのイン フラファンドへの投資を検討中であることを明らかにした。また、年金 積立金管理運用独立行政法人(GPIF)はインフラ投資の検討に向け 近く具体的な調査に入る方針を公表している。

インフラは「廃れない」

鉄道などのインフラ事業は、建設や維持にコストがかかるが、参入 障壁が高く経営は独占的になることが多い。このため料金の値上げも需 要に大きな影響を及ぼさず、インフレヘッジ機能が期待できる。また、 景気に左右されにくく20-30年の長期間、安定的したキャッシュフロ ーが見込めるなどの特徴がある。

野村証券では、海外投資も念頭に置きカントリーリスクをカバーす る機能を持つインフラファンドの設立に向け日本貿易保険(NEXI) と提携。アセット・ファイナンス・ストラテジー室の園山俊雄氏は「イ ンフラは流行り廃りでなく、どんな産業でも使う。経済成長に応じてイ ンフラの需要は伸びる」とファンド運営に意欲を示した。

経済産業省の資料によると、海外機関投資家の運用ではすでにイン フラ資産が一定の規模で組み込まれている。世界でインフラファンドに 投資する公的・民間年金基金数は全体の36%。年金規模が100兆円の豪 州では、約5%がインフラ投資で運用されているという。

バフェットも投資を急拡大

米資産運用サービス会社ラッセル・インベストメンツでは、インフ ラ事業は物価や金利上昇への対応力が強いなどの点から、世界の機関投 資家の資産ポートフォリオ全体に占めるインフラ投資の割合は09年の

0.3%から12年には4倍の1.4%に上昇すると予想している。

世界では米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシ ャー・ハサウェイも分散投資の観点などからインフラ投資を急拡大して いる。同社は今年2月、鉄道会社を260億ドル(約2兆1900億円)で 買収。これにより、3月末時点でインフラ資産は1109億ドルと同社の 資産の3分の1を占め、3カ月間で2.5倍になった。