リーマン切り捨て、「不適切な情報」が根拠-ファルド氏証言

経営破たんした米証券会社リーマ ン・ブラザーズ・ホールディングスのリチャード・ファルド元最高経 営責任者(CEO)は、同社が同業他社のように公的支援を受けられ なかったのは米当局の決定が「不適切な情報」に基づいていたからだ との認識を示した。

ファルド元CEO(64)は1日にワシントンで開かれた金融危 機調査委員会(FCIC)の公聴会で証言し、「他社も株価急落の影 響を受けていた」と指摘。「米当局から破産法適用の申請を命じられ たのはリーマンだけだ。その後政府は、他社と金融システム全体を守 るための介入を余儀なくされた」と続けた。

米不動産市場の活況時に住宅ローン担保証券引き受けで最大手だ ったリーマンは、2008年9月に米史上最大の破たん劇を演じ、市場 は混乱して世界の信用危機は悪化した。サブプライム(信用力の低い 個人向け)住宅ローン危機に同社は屈した格好となった。

ファルド氏は「リーマンが経営破たんを強いられた理由は、責任 を持った行動や危機解決策の模索をしなかったからではなく、同業他 社や金融以外の企業がその後に受けられた支援をリーマンには提供し ないという当局の決定にあり、その決定は不適切な情報に基づいてい た」と指摘した。

リーマンが破たんした週に米政府は米保険会社アメリカン・イン ターナショナル・グループ(AIG)を救済。自動車メーカーへの支 援も実施している。

「無数の問題」

ニューヨーク連銀の法務顧問、トーマス・バクスター氏は、公聴 会への証言原稿で、米連邦準備制度理事会(FRB)による各種貸し 付けファシリティーは市場を「沈静化させた」だけでなく、リーマン に対しても「複雑化した無数の問題」の解決策を模索する時間を与え たと述べた。その上で「しかしながら、リーマンが9月に起きた出来 事を乗り越えるだけの十分な流動性を確保していたと確信する人間は、 ニューヨーク連銀には一人もいなかった」と続けた。

バクスター氏はさらに、AIGには採算の取れる事業部門もあり、 公的資金注入を裏付ける十分なリソースがあったという点でリーマン とは異なると指摘した。

「犠牲者」

ファルド氏はまた、08年9月にリーマンが銀行持ち株会社への 転換許可を求めたが当局から却下されたと述べ、当局はその後リーマ ンが要請したのと似たような救済策で他社を支援したと指摘した。同 業のモルガン・スタンレーとゴールドマン・サックス・グループは同 じ月に業態転換を認められた。

FRBの法律顧問のスコット・アルバレス氏は1日にFCICに 対し、リーマンが銀行持ち株会社への転換を申請したことはないと 述べ、FRBがリーマンの破たん直前に融資しなかったのは、返済 を保証する十分な担保がリーマンに不足していたためだと説明。「リ ーマンの破たんは政府が支援に前向きでなかったためではなく、リ ーマンが当時の状況や経済、長年行ってきた一部の誤った判断の犠 牲になったということだ」との見解を示した。

ファルド氏は証言で、リーマンが「積極的なリスクテークの姿 勢」だったとの見方を否定し、同社は「9月15日に起きた事態を避 けられるように全力を尽くしていた」と反論した。

同氏はまた、リーマンの資本が不十分との「うわさ」は真実では なく、同社は資金調達を済ませ、流動性の乏しい資産へのエクスポー ジャーをほぼ半分に減らしていたと強調。08年早くに米銀JPモル ガン・チェースによる米証券ベアー・スターンズの救済合併を支援し て批判を浴びた米当局が「次の問題には手を付けない方法」の先例と してリーマンを救済しなかったのかもしれないとの見方を示した。