8月31日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場:ドル、一時83円台-議事録公表後に売り

ニューヨーク外国為替市場ではドルが対円で下落。連邦公開市場委 員会(FOMC)が31日公表した議事録(10日開催)では、一部メ ンバーが一段の景気減速を懸念したものの、具体的に大規模な資産購入 を再開する計画は示されなかった。議事録に反応し、米国株は一時値を 消した。

円は月間ベースで対ドル4カ月連続高。過去1年7カ月で最長 の連続上昇となった。世界の景気回復が下降線をたどるとの観測が 安全な逃避先としての円買いを誘った。スイス・フランは対ユーロ で最高値を更新した。

MFグローバル・ホールディングスのシニア市場ストラテジス ト、デニス・カジガス氏は、「円は質への逃避から、さらに上昇す る可能性がある」と述べ、議事録では「追加金融緩和の時期をめぐ り、政策にまとまりが欠けていることが示された。投資家は不透明 感から様子見の姿勢だ」と説明した。

ニューヨーク時間午後4時43分現在、円は対ドルで0.6%上 げて1ドル=84円12銭(前日は84円62銭)だった。対ユーロ では0.5%高の1ユーロ=106円62銭、前日は107円14銭。 この日のユーロは対ドルで0.1%未満上げて1ユーロ=1.2674ド ル。前日は1.2633ドルをつけた。

ユーロは一時対ドルで0.6%高まで値上がりする場面もあっ た。米住宅価格指数が市場予想を上回る伸びを示したほか、消費者 信頼感も予想以上に拡大し、景気回復が減速しているとの懸念が緩 和されたのが手掛かり。

FOMC議事録

議事録では、米金融当局が景気浮揚のために「量的緩和」ある いは大規模な資産購入を再開するといった意向は示唆されず、投資 家の間では失望が広がった。議事録発表後、株は一時下落した。

議事録によると、会合で数名のメンバーは「先行きがかなり悪 化するような場合」はFRBは追加の金融刺激を検討する必要が出 てくると指摘した。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシニア為替ストラテジスト、 ウィン・シン氏は、「安全逃避としての円やスイス・フランへの投 資が今も続いている」と述べ、FOMC議事録は「非常にハト派的 だった。政策金利はしばらく上昇しないだろう」と指摘した。

月間ベースの円

円は月間ベースで対ドル2.9%高。24日には1ドル=83円 60銭と、1995年6月以来の高値を記録した。4カ月連続高は 2009年1月まで続いた5カ月連続上昇以来で最長。

スイス・フランはこの日、主要通貨すべてに対して上昇。一時、 対ユーロでは1ユーロ=1.2852フランと、1999年のユーロ導入 以来の最高値を更新した。前日は1.2933フランだった。

米民間調査機関のコンファレンス・ボードが発表した8月の消 費者信頼感指数は53.5に上昇した。前月は51。米スタンダー ド・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー住宅価格指数は 6月に前年同月比で4.2%上昇した。

◎米国株式市場:小反発、中国のモルガンS投資や米指標を好感

米株式相場は小幅上昇。米規制当局が中国による米モルガン・スタ ンレーへの投資を承認したことを好感したほか、米住宅価格指数や消費 者信頼感指数の上昇を受けて、景気腰折れ懸念が和らいだ。月間ベース では2001年以来最大の値下がりで8月を終えた。

モルガン・スタンレーは上昇。米連邦準備制度理事会(FRB) は中国政府系投資ファンドの中国投資(CIC)に対し、モルガン・ スタンレー株式最大10%の取得を承認した。AT&TやJPモルガ ン・チェース、メルクが大きく上昇し、ダウ工業株30種平均の値上 がり率上位を占めた。米主要株価指数は午後の取引で、FRBが景気 浮揚に向けた大規模な資産購入を再開する計画はないと示唆したこと を受けて1時間にわたって下げていた。

S&P500種株価指数は前日比0.1%未満上昇の1049.33。一 時は0.8%下落していた。ダウ工業株30種平均は4.99ドル (0.1%)高の10014.72ドル。

フィデュシャリー・トラスト(ボストン)のマイケル・マレーニ ー氏は、「株式市場は売られ過ぎていた。疑いの余地はない」と指摘。 「一時的な上振れのようなものかもしれない。マクロ経済は総じて悲 惨な環境が続いている。ある程度安定するまでは、市場で目に見える 改善はあまり期待できない」と述べた。

S&P500種株価指数は今月4.7%下落。年初からは6%近く 値下がりしている。大恐慌以来最悪となった景気後退からの回復が失 速しているとの懸念が背景にある。

FOMC議事録

ニューヨーク時間の午後2時にFRBが連邦公開市場委員会(F OMC、8月10日開催)の議事録を公表すると、米主要株価指数は 一時上げを消した。景気浮揚に向けたFRBによる「量的緩和」の再 開、もしくは国債購入を予想していた投資家の失望を招いた。

議事録によると、一部メンバーは、証券保有額を一定水準に維持 する決定について、FRBに大規模な資産購入を再開する用意がある との誤ったシグナルを送ることになるとの懸念を示した。また、数人 のメンバーは、この決定の経済効果について「かなり小さなものにと どまりそうだ」と指摘。同時に、一部メンバーは「成長とインフレ見 通しの双方で下振れリスクが高まっている」とし、さらなら打撃を受 けた場合、「成長を著しく減速させることになる」との懸念を表明し た。

AT&Tは1.5%高。JPモルガン・チェースは1.4%、メル クは1.2%いずれも値上がりした。

住宅価格と消費者信頼感

米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー 住宅価格指数は6月に前年同月比で4.2%上昇した。米政府による 住宅購入者向けの税控除がまだ影響していたことが示唆された。ブル ームバーグがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は3.5%上昇 だった。

米最大の高級住宅建設業者トール・ブラザーズは1.3%高で終 えた。

米民間調査機関のコンファレンス・ボードが発表した8月の消費 者信頼感指数が53.5に上昇したことが示されると、株価は上げ幅を 拡大した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は

50.7だった。前月は51と、速報値(50.4)から上方修正されたも のの、5カ月ぶり低水準にとどまった。

銀行の利益

金融株指数はS&P500種の業種別10指数で値上がり率2位と なった。米連邦預金保険公社(FDIC)の報告書によると、米銀が 4-6月期に計上した四半期純利益は、過去約3年で最高だった。そ の一方でFDIC保証を受けている銀行のうち、破たんのリスクが指 摘された銀行は11%に増加した。

FDICが発表した業界動向に関する四半期報告書によると、米 銀の4-6月期利益は計216億ドルと、前四半期の180億ドルから 増加した。

モルガン・スタンレーは1.1%高。FRBはCICに対し、 2007年に取得したエクイティユニットの転換を通じたモルガン・ス タンレー株式最大10%の取得を承認した。

◎米国債市場:上昇、FOMC議事録で-月間でも大幅高

米国債相場は上昇。10年債は月間ベースでは2008年末以降で最 大の上げとなった。米連邦準備制度理事会(FRB)がこの日公表した 連邦公開市場委員会(FOMC、8月10日開催)の議事録で、一部メ ンバーが成長とインフレの見通しについて「下振れリスクの高まり」を 指摘したと記されたことが手掛かり。

2年債利回りは過去最低まで4ベーシスポイント(bp、1b p=0.01%)以内に迫った。今週発表される8月の雇用統計では、 3カ月連続での雇用減が見込まれているほか、製造業活動の減速も 予想されている。この日発表された8月の消費者信頼感指数が市場 予想を上回る伸びとなったことで、米国債は一時上げ幅を縮める場 面もあった。

モルガン・スタンレー・スミス・バーニーの債券ストラテジス ト、ケビン・フラガナン氏(ニューヨーク在勤)は「FRBは緩和 モードに戻った」と指摘。「FRBは景気動向を軽視していたわけ ではなく、景気の軟化を認めたのだ」と付け加えた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後4時4分現在、10年債利回りは5bp低下の2.48%。 同年債価格(表面利率2.625%、2020年8月償還)は15/32上 げて、101 9/32。

10年債利回りは8月に43bp低下と、月間ベースでは08年 12月以降で最大の下げ。金融当局が政策金利を0-0.25%に引き 下げた同月には71bp低下していた。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのデータによ ると、米国債の8月のリターン(投資収益率)は30日現在で

1.7%と、月間ベースとしては5カ月連続でのプラスとなった。こ れは、信用市場の損失が膨らみ経済がリセッション(景気後退)に 向かっていた08年3月までの連続高以来で最長。

FOMC議事録

今月のリターンは、2年債が0.16%で10年債は3.4%。30 年債は6.9%と、08年12月以降で最大となった。

この日公表されたFOMCの議事録によると、一部メンバーは、 証券保有額を一定水準に維持する決定について、FRBに大規模な 資産購入を再開する用意があるとの誤ったシグナルを送ることにな るとの懸念を示した。

また数人のメンバーは、この決定による経済効果について「か なり小さなものにとどまりそうだ」と指摘。同時に、一部メンバー は「成長とインフレ見通しの双方で下振れリスクが高まっている」 とし、さらなる打撃を受けた場合、「成長を著しく減速させること になる」との懸念を表明した。

2年債利回りは前日比2bp低下の0.48%、月間ベースでは 7bpの低下。24日には過去最低となる0.4542%を付けた。

ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査によれば、米供 給管理協会(ISM)が1日に発表する8月の製造業景況指数は

52.8と、前月(55.5)からの低下が見込まれている。

雇用統計見通し

別の調査によると、3日に発表される8月の米雇用統計では非 農業部門雇用者数は10万人減少が見込まれている。7月は13万 1000人の減少だった

モルガン・キーガンの債券セールス・トレーディング・調査責 任者、ケビン・ギディス氏は顧客向けリポートで、「われわれはあ らためて雇用の厳しい現実を目の当たりにする可能性が高く、これ により、追加刺激策の必要性に再び注目が集まるはずだ」と指摘。 「景気の先行指標は、さらなる軟化のシグナルを送っているように 見受けられる」と加えた。

◎金先物市場:1250ドル突破、月間では4月以来の大幅高

ニューヨーク金先物相場はオンス当たり1250ドルを突破。月間 ベースでは4月以来の大幅高となった。ドル先安観で安全への逃避先と しての金の魅力が増した。

主要6通貨に対するドル指数は一時0.3%下落。米国債は月間 ベースで上昇した。金は一時1オンス=1251.80ドルと、6月28 日以来の高値を付ける場面もあった。景気回復減速への懸念から、先 進国23市場で構成するMSCI世界指数は8月に4.2%下げた。

リンド・ウォルドックの市場担当シニアストラテジスト、アダ ム・クロプフェンシュタイン氏(シカゴ在勤)は、「米国が安全な投 資先であり続けるのか、懐疑的な見方は強い」と指摘。「米国債に安 心感を持てなければ、投資資金は金に流れるだろう」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 相場12月限は前日比11.10ドル(0.9%)高の1オンス=

1250.30ドルで取引を終了。月間ベースでは5.6%高。年初からは 14%上昇した。過去最高値は6月21日に付けた1266.50ドル。

◎原油先物市場:下落、月間では5月以来の大幅安-71.92ドル

ニューヨークの原油先物相場は下落。月間では5月以来の大幅安と なった。米景気減速の兆候と原油在庫の増加傾向が相場を圧迫した。

この日の原油相場は12週間ぶりの大幅安。シカゴ購買部協会 が31日に発表した8月の景況指数は前月から低下し、年初来で最 低となった。ブルームバーグの調査によると、エネルギー省が9月 1日に発表する先週分の在庫統計は1カ月ぶりの高水準への増加が 予想されている。

ストラテジック・エナジー・アンド・エコノミック・リサーチ のマイケル・リンチ社長は、「米経済に大きな変化が見られ始めな い限り、全体的に地合いは弱い」と指摘。「在庫統計は弱材料にな るような内容が再び予想されている」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は 前日比2.78ドル(3.72%)安の1バレル=71.92ドルで取引を 終了した。一時は4.2%安と、6月4日以来の大幅安となる場面も 見られた。月間ベースの下落率は8.9%となった。過去1年間では

2.8%上昇している。

◎欧州株式市場:総じて上昇、米統計を好感-月間ベースでは大幅安

欧州株式相場は総じて上昇。米消費者信頼感指数や住宅価格指数が 予想を上回ったことが好感された。ストックス欧州600指数は月間ベ ースでは5月以来の大幅安。

仏通信会社イリアッドは2008年以来の大幅高。同社が発表 した1-6月(上期)決算は2倍以上の増益となった。アイルラン ドの食品最大手、ケリー・グループは5.4%高。同社は利益見通し を上方修正した。

一方、オーストリアのライファイゼン国際銀行ホールディング は2.3%安。同行の決算で純利益がアナリスト予想を下回ったこと が嫌気された。

ストックス欧州600指数は251.31と、前日比0.1%未満 の上げ。騰落比率は11対10だった。同指数は月間ベースでは

1.6%下げた。米連邦準備制度理事会(FRB)が景気回復は恐ら く予想よりも「緩やかなペースになる」との見方を示したほか、米 住宅統計や製造業受注がエコノミスト予想を下回ったことが売りに つながった。

チェルシー・フィナンシャル・サービシズ(ロンドン)の金融 アドバイザー、ダリウス・マクダーモット氏は、「市場は小さな悪 材料に反応して極めて動きが荒くなっているため、少しでも良い材 料が出れば大きく反発する可能性がある」と指摘。「米経済は懸念 材料だが、中長期的に見れば株価には割安感がでているようだ」と 語った。

イリアッドは6.8%高。同社の上期決算は純利益が1億7140 万ユーロと、前年同期の7200万ユーロから増加した。

ケリー・グループは2010年通期の利益見通しを上方修正した。 年初からの業績が「堅調」であることを理由に挙げた。

ライファイゼン国際銀行ホールディングが発表した4-6月 (第2四半期)の純利益は7100万ユーロと、前年同期の2200万 ユーロから増加したものの、アナリスト予想の9900万ユーロは下 回った。

◎欧州債券市場:ドイツ債上昇、質への逃避で

欧州債市場ではドイツ国債相場が上昇。月間ベースでも約2年ぶり の大幅高となった。株安を背景に域内で最も安全とされるドイツ国債に 対する需要が高まった。

10年債利回りは過去最低を記録し、30年債利回りは過去最低 まで8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に近づいた。ユ ーロ圏のインフレ率が7月に低下したことを背景に、代表的な先進 国株価指数であるMSCI世界指数は一時、0.1%安となった。そ の後発表された8月の米消費者信頼感指数が市場予想を上回る伸び となったことを受け、株価は回復し、国債相場の上げ幅は縮小した。

WestLBの債券ストラテジスト、ジョン・デービーズ氏は、 「ドイツ国債相場は米国の堅調な経済データを引き続き材料視して おらず、欧州が米国の景気鈍化の影響を受けると強く示唆している」 と述べた。ただ、「米国債を上回る上昇を続けることは困難となる だろう」とも語った。

ロンドン時間午後4時45分現在、独10年債利回りは前日比2 bp低下の2.12%。月間ベースでは55bp低下した。この日は

2.087%まで下げ、過去最低を記録した。同年債(表面利率

2.25%、2020年8月償還)価格は0.17ポイント上げ101.20。

30年債利回りは1bp低下の2.65%。27日には2.578% まで下げ、過去最低を付けた。2年債利回りも1bp低下の

0.59%。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)のメリルリンチ部門がまと めた指数によると、独国債のリターン(投資収益率)は8月にプラ ス3.8%と、昨年11月以来で最大となった。これに対し、米国債 は1.7%、英国債は4.2%。

◎英国債市場:上昇、株安で安全需要-月間では約2年ぶり大幅高

英国債相場は上昇。月間ベースでは約2年ぶりの大幅高となった。 株安を受け、安全資産とされる国債の需要が高まった。

この日の2年債利回りは約1週間ぶりの低水準となり、10年債 の2年債への上乗せ利回りは2009年4月以来の最小に縮小した。 株価指数では、MSCI世界指数が0.1%下げたほか、英国株式の 指標であるFT100種指数は一時、1.4%安まで落ち込んだ。

クレディ・アグリコルCIB(ロンドン)の資本市場戦略担当 アシスタントディレクター、オーランド・グリーン氏は、国債相場 の上昇は「全般的な回復見通しへの現在の懸念を反映している」と 述べた。

ロンドン時間午後4時48分現在、10年債利回りは前営業日比 8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.84%。 25日には2.79%まで下げ、ブルームバーグがデータ集計を開始し て以来の最低を付けた。

2年債利回りは5bp低下の0.64%。24日には0.559%ま で下げた。この日の利回り低下で、10年債とのスプレッド(利回り 格差)は218bpと、昨年4月22日以来の最小となった。

ニューヨーク・ニューズルーム   1-212- 617-3007

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net Editor: Akiko Nishimae, Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE