アイルランドで増える「幽霊」ホテル-経営者は出血値下げで延命

アイルランドのホテル「グラスハ ウス」はかつて、首都ダブリン近郊の再生の象徴だった。それが今で は閉鎖され、同国が経験する厳しい経済状況を映し出している。

リアム・キャロル氏がこのホテルをダブリンの西に位置するトー ラフトにオープンした3年前、アイルランドは10年に及ぶ不動産ブー ムのピークだった。同氏の資産の多くは現在、債権者の管理下にあり、 グラスハウスは閉館。近くにある全186室のトーラフト・クロス・ホ テルも同様だ。

「まるで生き残りゲームだ」-。アイルランドのホテル業界団体 の幹部、ポール・ギャラガー氏は話す。「企業の利用が鈍ってリセッシ ョン(景気後退)が本格化すると、問題があまりにも大きいことがあ っという間に露呈した」という。

10年間の経済ブームの間に開業したホテルは200件以上。滞在客 の大幅減少で残されたのは空室と債務の山だった。一部は損失カバー をあきらめて撤退したが、ホテルを閉鎖すると税制上の優遇措置が受 けられなくなるため、値下げで事業存続を図っているところもある。

業界団体によると、過去最悪のリセッションに直面した2009年に アイルランドのホテルの客室稼働率は約54%と、1980年代初頭以来と なる低水準に落ち込んだ。経済ブームのピークだった07年の稼働率は 64%だった。

アイルランドの経済規模が3倍に拡大した1997年から2007年に かけて開業した多くのホテルは、7年以上の事業継続を条件に税制上 の優遇措置を受けている。ダブリン南部のラスサラ・カントリー・ハ ウス・ホテルのオーナー、ジョー・オフリン氏はこうしたホテルは長 期的な経営が打撃を受けるのを覚悟の上で、営業を続けようと値下げ に走っていると指摘。「幽霊が増殖するゲームだ。ここも幽霊の仲間入 りするのだろうか」と不安を隠していない。

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