円が全面高、対ドル84円台前半-米景気懸念でリスク回避根強い

東京外国為替市場では円が主要16 通貨に対して全面高となった。対ドルでは1ドル=84円台前半まで水 準を切り上げた。週内に米国で各種経済指標の発表を控えて、景気の 先行き不透明感が根強く、リスク回避に伴う円買いが進みやすい展開 が続いた。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは「本日からは米経 済指標、およびその株式に対する影響が注目」だと指摘。その上で、 指標の結果次第では、円は対ドルで再び84円ちょうどを突破する展開 となり、83円まで上値の余地が広がる可能性もあるとみている。

ドル・円相場は午後に入ってじりじりと円買い圧力が強まり、一 時84円8銭と、4営業日ぶりの水準まで円高が進行。ユーロ・円相場 も一時1ユーロ=106円25銭と、同じく4営業日ぶりの円高値を付け ている。

前日の米株式市場では、一部指標の結果が弱かったことから、主 要3株価指数が反落。株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オプシ ョン取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX指数)は2営 業日ぶりの水準に上昇しており、リスク資産向け投資が敬遠される可 能性が示された。

この日の東京市場では日経平均株価が大幅安で推移し、終値は前 日比325円20銭(3.6%)安の8824円6銭と年初来安値を更新した。

米指標を警戒

米景気の先行き懸念がくすぶる中、今週は各種指標が市場の予想 比で下振れする可能性が警戒されている。9月3日には景気動向を見 極める上で最も注目度の高い雇用統計の発表を控えているが、ブルー ムバーグ・ニュースがまとめた市場予想では、8月の非農業部門雇用 者数は前月比で10万人の減少が見込まれている。予想通りとなれば、 3カ月連続の雇用減となる。

クレディ・スイス証券経済調査部の小笠原悟エコノミストは、米 国の雇用統計が最大の焦点となっており、雇用の減少傾向が再確認さ れる可能性が警戒されていると指摘。さらに、その他の指標も含めて 結果が悪ければ、米国の金融緩和観測につながる可能性があるとして、 「ドル安・円高方向に振れるリスクを念頭に入れておいた方がいい」 とみている。

あす9月1日には米供給管理協会(ISM)が8月の製造業景気 指数を発表する。小笠原氏は、各連銀がこれまでに発表した製造業景 況指数の結果を踏まえると、「ISMの製造業景気指数も悪い内容が見 込まれる」としている。

政府・日銀の対応は期待外れ

一方、国内では株安・円高の進行を食い止めるため政府と日本銀 行が30日に、相次いで対策を打ち出した。日銀は臨時の金融政策決定 会合で新型オペ(公開市場操作)の拡充を決定。また、政府は企業の 設備投資促進策や住宅・家電エコポイント制度の延長などを盛り込ん だ追加経済対策の基本方針をまとめた。

しかし、政府・日銀による対策が明らかになった後は、海外市場 にかけて円高が進行。クレディ・スイス証の小笠原氏は、中長期的に はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の改善と、米金融政策 の正常化が展望されないうちは、日本側の対応だけで円を押し下げる ことは難しいとしたうえで、「期待外れ」だったというところもあり、 円買いの流れに歯止めはかけられなかったと説明している。

--取材協力:山口祐輝 Editor:Masaru Aoki, Joji Mochida

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