日本株安値、米景気と円高警戒し全面安-政策と市場温度差

日本株相場は大幅反落し、日経平 均株価、TOPIXとも終値で年初来安値を更新した。米景気の減速懸 念を背景にした円高進行への警戒感が強いほか、日本の政策当局と市場 との現状認識ギャップを指摘する声もあり、リスク資産の株式を手放す 動きが広がった。

日本経済への先行き懸念から自動車や電機、機械、化学といった輸 出関連株中心に幅広く売られ、東証1部33業種はすべて下落。値下が り銘柄数は1598に達し、値上がりはわずか50にとどまった。個別では トヨタ自動車が昨年3月以来の安値を更新。

日経平均株価の終値は前日比325円20銭(3.6%)安の8824円6 銭、TOPIXは同24.54ポイント(3%)安の804.67。日経平均の 下落率は6月7日(3.8%)以来の大きさ。

ちばぎんアセットマネジメントの安藤富士男顧問は、「米景気減速 を背景に日米金利差が縮小しており、円高懸念がぬぐえない。日銀の追 加の金融緩和策は想定の範囲内で反応は限定的だった」と指摘。米国の 8月の自動車販売台数が大幅に悪化するとの観測も出ており、「買いを 入れづらい状況」と話していた。

日本銀行の追加金融緩和策への期待から急反発して始まった前日の 取引とは一転、この日は大幅反落で始まった。午後に入っても売りは止 まらず、日経平均、TOPIXともこの日の安値圏で終了。東証1部の 売買代金は1兆1718億円と、前日までの過去1年間の平均1兆3536億 円を13%下回った。

日銀とマーケットのずれ

日銀が30日に決定した追加金融緩和策では円を押し下げるには不 十分、との失望が広がる中、米景気減速を背景にした日米金利差の縮小 懸念もあり、為替相場では円高傾向が収まらない。東京時間31日の為 替市場は一時1ドル=84円10銭、1ユーロ=106円30銭台まで円高が 進み、前日の東京株式市場の通常取引終了時点の85円10銭台、108円 50銭台から大きく円高方向に振れた。

岩井証券イワイリサーチセンター長の有沢正一氏は、「政府・日銀 の政策に対する失望がある。日銀総裁が記者会見で、追加の金融緩和策 を『前倒し的に行った』と発言するなど、日銀とマーケットとの見方に ずれが生じている」と言う。

日銀は30日、臨時の金融政策決定会合を開催し、新型オペ(公開 市場操作)による資金供給額を20兆円から30兆円に引き上げることな どを決めたが、緩和策の内容は事前報道の範囲内で、サプライズはなか った。また白川方明総裁は会見で、「固定金利オペを拡充するというこ とで、景気の下振れリスクに対応して前倒しで追加の緩和を行った」と 述べた。

一方、前日の米国で発表された個人消費・所得統計は先行きに不安 を残す内容だった上、今週は9月1日に米自動車販売台数、ISM製造 業景況指数、3日に雇用統計など重要経済指標の発表も控える。ブルー ムバーグの調査では、8月の米自動車販売台数は28年ぶりの低水準と なる見通しだ。米景気の減速懸念は強まり、日米の10年債の利回り格 差は30日時点で1.5%ポイントと、2009年4月27日以来の低水準とな った。

米景気の減速懸念が強まれば、為替は一段とドル安・円高に振れか ねない状況。明和証券の矢野正義シニア・マーケットアナリストは「世 界の中央銀行と協力しない限り、状況は変わらない」と警鐘を鳴らす。

東証1部の売買代金上位にはトヨタ、ホンダ、キヤノン、東芝、ソ ニー、東芝、東京エレクトロンなど輸出関連株が下げて並び、TOPI Xの下落寄与度上位には電気機器、輸送用機器、機械、化学などが入っ た。海外原油相場の下落を受けて鉱業も安く、金融緩和期待から前日買 われた保険や証券など金融株も反落した。

エルピダが5日ぶり反落

個別では、ゴールドマン・サックス証券がDRAM価格の前提を引 き下げ、目標株価と業績予想を下方修正したエルピーダメモリが5日ぶ りに大幅反落。市場全体のPBR(株純資産倍率)が低下していること などから、野村証券が投資判断「1(買い)」を継続したものの、目標 株価を860円から760円に引き下げたアマダも売られた。

このほか、音楽公演の一部が延期・取り消しになったことなどで、 2-7月の連結営業利益が前年同期比1割減の40億円程度にとどまっ た公算が大きい、と31日付の日本経済新聞で報じられた東京ドームも 反落した。

半面、みずほ証券が「日本は本格的な情報爆発時代を迎えており、 その先導企業として評価する」とし、投資判断を引き上げたディー・エ ヌ・エーが大幅続伸。自社株買いを表明したイトーキ、利益率の高いベ ストアルバムの販売増などで、4-9月の連結営業利益予想を従来の 13億円から54億円に上方修正したエイベックス・グループ・ホールデ ィングスも買われた。

新興市場は新興不動産株が下落

新興市場も軒並み下落。ジャスダック指数は前日比0.4%安の

48.32、東証マザーズ指数は同1.4%安の363.75、大証ヘラクレス指数 は同0.7%安の559.45。

セイクレストやプロパストなど新興不動産株の下げが目立ち、AC CESSやスタートトゥデイといったネット関連銘柄も安い。半面、モ バイルネットワークテストの売り上げが増え、10年7月期の単独純損 益が赤字予想から一転黒字化したもようのアルチザネットワークスが4 日ぶりに反発。アジアで受注が想定を上回っていることから、11年3 月期の業績予想を上方修正したユタカ技研は続伸。

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