香港IPO銘柄狙うファンドが日本で登場、国内脱出マネー取り込む

中国・香港市場の新規株式公開(I PO)銘柄を投資対象とした日本のファンドが9月7日に運用を開始 する。日本株相場の長期低迷によって個人の海外資産運用に対する関 心が高まるなか、日本から個人が直接投資しにくい同市場の投資機会 を提供し、高リターンを求めるニーズにこたえる。

ファンドは、中国株に強みを持つオンライン証券のユナイテッド ワールド証券が運用・販売する「中国・香港IPOファンド2010年9 月号」。同証券の林和人社長はブルームバーグの取材に、「IPO銘柄 は基本的に成長企業という前提がある」としたうえで、税制の違いや 言語の問題、情報の不足から個人投資家が香港のIPOに直接投資す るのは困難だが、「ファンドという形なら実現できる。日本では初めて になる」と述べた。

同証券によると、05年から09年まで5年間の香港IPO297銘柄 のうち、全体の65%に当たる194銘柄の初値が公募価格を上回り、下 回ったのは103銘柄だった。過去3年の年間ベースでの平均初値騰落 率は、07年がプラス22%、08年プラス6.7%、09年プラス16%。

「中国・香港IPOファンド」では赤字企業など一部を除き、香 港市場で行われるIPOの申し込みにほとんど参加する。取得できた 公募株は上場初日か、遅くとも3日以内に売却する。信託期間は1年。

国内IPO社数は香港市場に遅れ

ブルームバーグ・データでことし上半期(1-6月)の世界の時 価総額上位10カ国・地域のIPOで社数が多いのは、①中国175社、 ②カナダ118社、③米国82社などで、香港は24社、日本は12社にと どまる。

いちよし証券によると、日本で07-09年までの過去3年間にIP Oした189銘柄のうち、初値が公募価格から上昇したのは全体の65% に当たる122社。初値の平均パフォーマンスは07年がプラス50%、 08年プラス18%、09年プラス35%だった。ただ、10年のIPO社数 は香港の半分にとどまっており、「IPO市場としての機能を十分果た していない」と、同証券投資情報部の宇田川克己課長は指摘する。

国内IPO市場が停滞するなか、ユナイテッドワールド証券では、 今回と同様の「同10月号」も9月7日から募集を開始する予定。「今 後も継続してこうしたファンドを出したい」と、林社長は言う。

大和総研の齊藤尚登シニアエコノミストは、「IPO銘柄は利益を 得られる確率が高く、香港でも個人はみな参加したいと思っている。 面白い試みだ」と話した。ただ、その人気ぶりによって当選確率が低 くなれば、「当たらなかった資金を含めた全体の期待収益率が低くなる リスクはある」とも指摘している。

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