8月30日の海外株式・債券・為替・商品市場(Update2)

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎NY外為:円上昇、日銀決定に失望-円高反転に不十分

ニューヨーク外国為替市場では円が主要16通貨すべてに対して 上昇した。日本銀行が決定した追加緩和策では、約15年ぶり高値水 準にある円を押し下げるには不十分との観測が背景。

円は月間ベースで対ドル4カ月連続上昇。菅直人首相は、9200 億円の今年度予算余剰金を活用する追加的経済対策の基本方針を決定 した。また日銀は資金供給額の10兆円増額を決めた。ドルとスイ ス・フランは主要通貨の大半に対して上昇。米国株の下落で安全性が 高いとされる資産の需要が高まった。

ウェルズ・ファーゴの為替ストラテジスト、ヴァシーリ・セレブ リアコフ氏(ニューヨーク在勤)は、「円上昇を反転させるため、日 本当局に今できることはほとんどないという認識が広がりつつある」 と述べ、「安全逃避先としてみなされる通貨に買いが入っている」と 続けた。

ニューヨーク時間午後4時18分現在、円は対ドルで前週末比

0.8%高の1ドル=84円52銭(前週末は85円22銭)。月間ベ ースでは2.3%高で8月を終える勢い。

円は対ユーロで1.6%高の1ユーロ=107円4銭。前週末は 108円72銭だった。ドルは対ユーロで0.8%上昇して1ユーロ=

1.2664ドル(前週末1.2763ドル)。

スイス・フランは対ユーロで1%高の1ユーロ=1.2996フラ ンと、8月25日に記録した最高値の1.2972フランに迫った。フ ランは月間ベースでは主要16通貨のうち15通貨に対して上昇する もよう。

PCE

米商務省が発表した7月の個人消費支出(PCE)は前月比で

0.4%増、個人所得は0.2%増加した。

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は先週、連邦 公開市場委員会(FOMC)が景気回復の継続を確実にするため、 「あらゆる可能な手段を講じる」と表明した。

商務省の27日の発表によると、第2四半期(4-6月)の米 実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率で1.6%増、速報値 から下方修正された。

日銀の決定

日銀は30日の臨時会合で、0.1%で長めの資金を供給する新型 オペを20兆円から30兆円に引き上げた。

日銀は今月9-10日の会合で政策金利を0.1%で据え置き、追 加緩和策も決定しなかったことから、日銀への圧力が強まっていた。 今月24日には1ドル=83円60銭と、1995年以来の高値を付け た。

ブルームバーグがまとめた通貨データによると、先進諸国通貨の うち円は年初から16%上昇と、最大の値上がりを記録している。ユ ーロは9.4%下落、ドルは3.9%高となっている。

日本銀行の白川方明総裁は「前回の会合以降、米経済について弱 めの指標が相次いだ。そうした中で円高、株安も生じた。こうした動 きを見ると経済・物価の先行きのリスクについてより注意する必要が あると判断した」と指摘した。

◎米国株:下落、個人所得の伸び悩み嫌気-景気減速懸念

米株式相場は下落。前営業日の上げを消した。7月の米個人所得 の伸びが予想を下回ったことから、景気回復が一段と減速するとの懸 念が強まった。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)やホーム・デポ、アメリカ ン・エキスプレスが大きく下落し、ダウ工業株30種平均の値下がり 率上位を占めた。米商務省のデータによると、7月の個人消費支出 (PCE)は3月以来最大の増加率となったものの、個人所得がこれ に追い付いていないことが示された。インテルも安い。同社は独イン フィニオン・テクノロジーズのワイヤレス部門を現金約14億ドル (約1200億円)で買収することで合意した。

S&P500種株価指数は前週末比1.5%安の1048.92。ダウ 工業株30種平均は140.92ドル(1.4%)下落の10009.73ド ル。

リッジワース・キャピタル・マネジメントのシニア投資ストラテ ジスト、アラン・ゲイル氏は、「7月の個人消費支出の伸びは心強く、 市場予想をわずかに上回った。一方、可処分所得の減少で、こうした 支出増加の持続性がいっそう疑わしくなる」と指摘。「この統計で、 経済の有機的成長は引き続き低迷し、回復は崩れやすいとの確信が強 まった」と述べた。

金融株や半導体株、小売株指数を中心に、S&P500種の業種 別24指数すべてが値下がりした。7月の個人所得は前月比0.2% 増加(前月横ばい)と、増加率はブルームバーグがまとめたエコノミ スト予想平均の0.3%増を下回った。7月の個人消費支出は前月比

0.4%増加した。インフレ調整後の可処分所得は7月に0.1%減と 今年1月以来初のマイナスとなった。

BOA、ホーム・デポが安い

資産規模で米銀最大のBOAは2.5%安の12.32ドルと、13 カ月ぶりの安値。住宅関連用品小売りで米最大手のホーム・デポは

2.6%下落。アメリカン・エキスプレスは2.5%値下がり。

インテルは2.2%(41セント)安の17.96ドル。半導体メー カー最大手の同社は、インフィニオンのワイヤレス部門を買収するこ とで合意。携帯電話関連事業への参入を図る10年来の取り組みを前 進させる。インフィニオンの30日の発表によると、買収は2011 年1-3月(第1四半期)中に完了する予定。

防衛最大手のロッキード・マーチンは2%安。ウェルズ・ファー ゴ・セキュリティーズは同社の投資判断を「アウトパフォーム」から 「マーケットパフォーム」に引き下げた。

S&P500種は27日に1.7%上昇したが、この大半が帳消し になった。同日には、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議 長が景気回復の継続を確実にすると表明した。同株価指数は先週、週 間ベースで0.7%下落。米住宅販売の統計が失望を誘う内容となり、 景気回復がリスクにさらされているとの懸念が高まった。同指数は4 月23日に付けた年初来高値からは14%値下がりしている。

見通し下方修正

バークレイズ・キャピタルは年末のS&P500種の見通しを 1120と、従来予想の1220から下方修正した。「市場が示唆する リセッション(景気後退)の可能性が高まっている」ためと説明した。

バークレイズのストラテジスト、バリー・ナップ氏は顧客向けリ ポートで、「当社は年末にかけての上昇予想をあきらめたわけではな い」と指摘。「ただ、多くの要因がうまく収まる必要がある」と続け た。その中にはブッシュ減税の延長や議会の主導権変更、「量的緩和」 として知られるFRBの資産購入プログラムの復活などが含まれると した。

◎米国債:反発、統計控え安全志向-雇用減と製造業減速警戒

米国債相場は急反発。先週の下げを埋めた。今週発表される8月 の米雇用統計では、3カ月連続での雇用減が見込まれているほか、製 造業活動の減速も予想されている。

2年債利回りは27日、過去最低付近から上昇していた。バーナ ンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言を受け、金融当局が 国債買いを加速させるとの観測が後退したのが背景。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダの米国債トレーディング責任者、 トーマス・トゥッチ氏は、「雇用統計を控え、市場は守りの姿勢に入 っている」と指摘。「これはショートカバー(買い戻し)の動きだ」 と付け加えた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時7分現在、10年債利回りは前週末比12ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)低下の2.53%。同年債価格(表面利 率2.625%、2020年8月償還)は1 1/32上げて100 26/32。

10年債利回りは先週、週間ベースで3bp上昇。週間での上げ は7月以来となる。25日には1年7カ月ぶり低水準となる

2.4158%を付ける場面もあった。2年債利回りは先週6bp上昇と、 4月以降で最大の上げとなった。24日には0.4542%と過去最低を 付けた。

「買いの好機」

プライマリーディーラー18社の一角である野村ホールディング スの金利戦略責任者、ジョージ・ゴンキャルべス氏は、「金曜日 (27日)の急落は、買いの好機ととらえられている」と指摘した。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によると、 8月の米国債のリターン(投資収益率)は1.2%。このままいけば 5カ月連続でのプラスとなり、信用市場の損失が膨らみ経済がリセッ ション(景気後退)に向かっていた08年3月までの連続高以来、最 長となる。

ブルームバーグ・ニュースが実施したエコノミスト調査によれば、 8月の米雇用統計では非農業部門雇用者数は10万人減少が見込まれ ている。7月は13万1000人の減少だった。また8月の失業率は

9.6%と、前月の9.5%からの上昇が予想されている。労働省は3 日に雇用統計を発表する。

ISM製造業景況指数

また別の調査によると、米供給管理協会(ISM)が1日に発表 する8月の製造業景況指数は52.8と、前月からの低下が見込まれ ている。

日本銀行は、30日開いた臨時の金融政策決定会合で、新型オペ (公開市場操作)による資金供給額を20兆円から30兆円に引き上 げるとともに、うち10兆円の資金供給期間を6カ月にすることを決 定したと発表した。これも手掛かりに米国債は買い進まれた。

日銀は声明で「米国経済を中心に先行きをめぐる不確実性がこれ まで以上に高まっており、為替相場や株価は不安定な動きを続けてい る」と指摘。今回の措置について「経済・物価見通しの下振れリスク により注意していくことが必要と判断した」としている。

◎NY金:上昇、米国株の低迷で逃避需要が高まる-1239.20ドル

ニューヨーク金先物相場は上昇。米国株の下落を背景に安全への 逃避先としての需要が高まり、月間ベースの上昇率をさらに高めた。

株は下落。週間ベースでは前週まで3週間連続マイナスとなって いた。米商務省が30日に発表した7月の個人所得の伸びが予想を下 回ったことで、景気回復ペースが緩慢になるとの懸念が強まった。金 は年初から13%上昇。6月にはオンス当たり1266.50ドルと、過 去最高値を更新した。

MFグローバルのアナリスト、トム・ポーリッキ氏(シカゴ在勤) は、「住宅市場と景気の弱さが株の下落につながっている状況で、ほ かの商品との比較で金が買われるというのはありそうなシナリオだ」 と指摘した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 相場12月限は前日比1.30ドル高の1オンス=1239.20ドルで取 引を終了。8月は月間ベースで4.7%上昇した。

◎NY原油:4日ぶりに下落、景気懸念とドル上昇で-74.70ドル

ニューヨークの原油先物相場は4営業日ぶりに下落。7月の米個 人所得の伸びが予想を下回り、米経済の回復が難航するとの懸念が強 まった。

原油は約1週間ぶりの高値から下落。米商務省が30日に発表し た7月の個人所得は前月比0.2%増と、ブルームバーグがまとめた エコノミスト66人の予想平均0.3%増を下回った。ドルがユーロ に対して上昇したことも代替投資先としての商品の魅力を弱めた。

コンフルエンス・インベストメント・マネジメント(セントルイ ス)のチーフ市場ストラテジスト、ビル・オグレイディ氏は、「景気 失速を示す兆候が多く見られる」と指摘。「政策当局者は平静を装っ て手段はたくさんあると言っているが、もう手は尽きているのではな いかと、私は思い始めている」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前 日比47セント(0.63%)安の1バレル=74.70ドルで取引を終 了した。月間ベースでは5.4%安と、5月以降で初めてのマイナス となった。過去1年間で2.7%上昇している。

◎欧州株:ほぼ変わらず、買収観測ゾディアック急伸-自動車株安い

欧州株式相場はほぼ変わらずで取引を終えた。ストックス欧州 600指数は先週まで週間ベースで3週連続安だった。この日は自動 車関連株が下落したものの、企業買収活動が再び活発化し、これが買 いを誘った。

欧州最大の航空機座席メーカー、ゾディアック・エアロスペース は急伸。仏電子機器メーカーのサフランがゾディアック買収案を再提 示する準備を進めているとの仏経済紙ラ・トリビューンの報道が手掛 かり。

仏医薬品メーカー、サノフィ・アベンティスも上昇。同社は遺伝 性疾患治療薬で世界最大手の米ジェンザイムに、約185億ドルの買 収案を提示したことを公表した。仏自動車部品2位のヴァレオは下落。 同社が年末に需要減速を見込んでいるとの報道が嫌気された。

ストックス欧州600指数は前営業日比0.1%未満下げて

251.16。今年5月に記録した年初来安値からは8.2%上げた。各 国中央銀行が低金利を維持し、景気浮揚のために国債を購入している のが材料となっている。

ベーデル・バンク(フランクフルト)の調査責任者、ロバート・ ハルベル氏(フランクフルト在勤)「われわれには中銀からの完全な 支援がある」と述べた。

ゾディアックは10%高。ラ・トリビューンは匿名の関係者の話 を基に、サフランがゾディアックに買収案を提示するかどうかを数日 以内に最終決定すると報じた。

サノフィは0.7%高。ジェンザイムはサノフィの提示額が安過 ぎるとして買収案を拒否した。

ヴァレオは2.4%下落。ストックス欧州600指数産業別19 指 数のうち自動車株は最大の下げだった。

◎欧州債:ドイツ国債上昇、米欧の景気失速懸念で買い

欧州債市場ではドイツ国債相場が上昇。日本銀行が米経済に関す る「不確実性」が高まっていると指摘したことから、世界経済の見通 しが悪化するなか、欧州の景気回復が行き詰まるとの観測が広がった。

ドイツ国債は月間ベースでのリターンが過去約2年間で最大とな る見通しだ。欧州中央銀行(ECB)は域内の市中銀行を支援する緊 急対策を来年に入っても継続する見込みだと、英紙フィナンシャル・ タイムズ(FT)が情報源を明らかにせず報じた。イタリアがこの日 2013年と2021年に償還を迎える国債を100億ユーロ以上発行し た。イタリア10年債相場は上昇したものの、同年物の独国債には及 ばなかった。

WestLBの債券アナリスト、ミヒャエル・レスター氏(デュ ッセルドルフ在勤)は、「現時点での最大の関心事は、二番底に陥る 可能性があるのは米国のみならず、欧州にも結果的に波及する恐れが あることだ」と指摘。「独国債には依然として相場上昇の余地がある」 と述べた。

ロンドン時間午後4時3分現在、独2年債利回りは前営業日比5 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の0.59%。同年 債(表面利率0.75%、2012年9月償還)価格は0.10ポイント上 げて100.33。独10年債利回りは6bp低下の2.14%。同利回り は25日に過去最低の2.09%を付けていた。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)のメリルリンチ部門がまとめ た指数によると、独国債のリターンは8月に3.4%と、金融危機の 真っただ中にあった2008年11月以来の最大となる見通し。米国 債のリターンは1.2%、英国債は4.1%。

◎英国債市場

30日の英国株式・債券市場は、バンクホリデーの祝日で休場。 取引は31日に再開される。

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