日銀会合:新型オペ30兆円に増額、追加10兆円は期間6カ月

(発表内容を追加し、更新します)

【記者:日高正裕】

8月30日(ブルームバーグ):日本銀行は30日昼すぎ、同日開い た臨時の金融政策決定会合で、新型オペ(公開市場操作)による資金 供給額を20兆円から30兆円に引き上げるとともに、うち10兆円の資 金供給期間を6カ月とすることを賛成8、反対1で決定したと発表し た。反対したのは須田美矢子委員。円高、株安が進行し、景気・物価 の下振れ懸念が高まっていることに対応した。

日銀は声明で「米国経済を中心に先行きをめぐる不確実性がこれ まで以上に高まっており、為替相場や株価は不安定な動きを続けてい る」と指摘。今回の措置について「経済・物価見通しの下振れリスク により注意していくことが必要と判断した」としている。

仙谷由人官房長官は30日午前の会見で、菅直人首相と白川方明総 裁が同日午後に会談すると発表。政府がこの会談後に関係閣僚会議を 開き、経済対策の基本方針を決定することを明らかにした。日銀が臨 時会合を開いて金融緩和を行うのは昨年12月1日以来で、この時も翌 日に白川総裁と鳩山由紀夫首相(当時)の会談が予定されていた。

菅首相27日夕、円高に対し「必要なときには断固たる措置を取る」 と言明。日銀にも「機動的な政策運営」を求めるとともに、海外出張 中の白川総裁が帰国次第、「できるだけ早い機会にお会いしたい」と述 べた。白川総裁は予定を1日早めて29日夕刻に帰国。臨時会合を開催 し、3月17日会合以来の追加緩和に踏み切った。

織り込み済みで効果は限定的か

日銀は「景気は緩やかに回復しつつあり、先行きも回復傾向をた どるとみられる」として、政策金利は0.1%に、長期国債買い入れ額 は月1.8兆円に据え置いた。日銀が今回拡充した新型オペは、昨年12 月の臨時会合で導入。政策金利(0.1%)で期間3カ月の資金を供給す る仕組みで、当初の資金供給額は10兆円だったが、3月会合で20兆 円に拡大。今回は新たに10兆円を期間6カ月で供給する。

昨年12月の新型オペ導入後、一時1ドル=84円台まで上昇して いた円相場は1週間後に90円台に下落した。しかし、アールビーエス 証券の西岡純子チーフエコノミストは今回の追加緩和について「市場 に後押しされたものとの印象」が強く、市場が既に織り込んでいる内 容の政策対応をとったところで、効果は「限定的」とみる。

日銀は今月10日の決定会合で現状維持を決定したが、同日夜の米 連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和措置が講じられたことか ら、84円台まで円高が進行。12日夕に金融市場の動向やその影響を「注 意深くみていく」とする総裁談話を発表した。菅首相と白川総裁は23 日に電話会談を行ったが、一時83円台に高騰するなど円高は止まらず、 具体策を出さない政府・日銀への批判が高まっていた。

再び日銀に圧力も

三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストは 円高の進行に対し「政府の方では『断固たる措置をとる』と大風呂敷 を広げた以上、単独での円売り・ドル買い介入を実施してくるものと 見てよいだろう」と指摘。日銀の資金供給の拡大と組み合わされば、 円高阻止に向けて「一時的には効くかもしれない」と語る。

しかし、「今回の追加緩和で日銀に対するバッシングが収まるとは 到底思えない。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長はさ らなる追加緩和の可能性に言及しており、政府・日銀の今回の一連の 措置の賞味期限もそれほど長くないかもしれない」と指摘。「再び日銀 に圧力がかかってくることは火を見るよりも明らか」とみる。

バーナンキ議長は27日、白川総裁も参加したワイオミング州ジャ クソンホールでのシンポジウムで、この1年間の経済成長ペースは「遅 過ぎ」で、失業率は「高過ぎ」と指摘。景気見通しが著しく悪化した 場合、「必要と判断されれば非伝統的手段を通じて追加の金融緩和策を 講じる用意がある」と語った。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二 所長は「政治家たちが財政再建の中で景気回復の持続とデフレからの 脱却、加えて中期的な成長戦略の実現を企図するとすれば、誰が考え ても、日銀に対してこれまで以上の政治圧力が掛からざるを得ないだ ろう」としている。

--共同取材 広川高史 Editor:Hitoshi Ozawa,Keiichi Yamamura, Masaru Aoki

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