円が反発、日銀の緩和策は想定範囲内-米指標焦点へ、対ドル84円台

東京外国為替市場では、午後の取 引で円が反発。対ドルでは一時1ドル=84円91銭と、前週末のニュ ーヨーク時間午後遅くに付けた85円22銭から水準を切り上げた。日 本銀行の臨時金融政策決定会合や白川方明総裁の会見を通過し、市場 の想定範囲内の結果にとどまったことから、朝方の円売りの動きが調 整される格好となった。

バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は、白 川総裁の会見について「例えば、当座預金残高の増加を容認するなど、 臨時会合での決定以上に何か出ないかという期待をした向きがあった のかもしれない」と指摘。「さらなる金融緩和の観測には必ずしも結び ついていない可能性がある」として、会見後の円買いにつながった面 があると説明している。

この日の東京市場では、朝方に日銀が午前9時に臨時会合を開く との発表を受けて、円売りが先行。ドル・円相場は一時85円91銭と、 19日以来の円安値を付けていた。円は対ユーロでも一時1ユーロ= 109円56銭と、20日以来の安値を付けていた。

しかし、正午すぎに臨時会合での決定内容が伝わると、円はじり じりと値を戻し、白川総裁の会見後は対ドルで84円91銭、対ユーロ では108円16銭まで一段高となった。

日銀会合後は「材料出尽くし」

日銀は臨時会合での決定内容を正午すぎに発表。新型オペによる 資金供給額を20兆円から30兆円に引き上げるとともに、うち10兆円 の資金供給期間を6カ月にすることを賛成8、反対1で決定した。反 対票は須田美矢子委員だった。

日興コーディアル証券国際市場分析部の為替ストラテジスト、松 本圭史氏は、日銀会合の結果が事前の予想通りというところでいった ん「材料出尽くし」のような反応になっていると説明。また、新型オ ペ(公開市場操作)の拡充に反対票が一票あったことも、「嫌気」され ている面があるといい、先行きの不透明感は払しょくされず、円の買 い戻しにつながったとみている。

午後には白川総裁が記者会見で、追加緩和に踏み切ったことにつ いて「下振れリスクにより注意する必要があると判断した結果、前倒 し的に緩和を行った」と説明。先行きについては、日銀の「標準シナ リオそれ自体を幾分下方修正する可能性も否定できない」と指摘、情 勢の変化によって「必要と判断される場合は適時適切に対応を行って いく」との姿勢を示した。

仙谷由人官房長官によると、菅直人首相は白川総裁と、午後4時 半をめどに会談する予定となっている。さらに、同会談後には関係閣 僚会議を開き、経済対策の基本方針を決定するという。

米景気動向を見極め

一方、米国では米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議 長が27日にワイオミング州ジャクソンホールで開かれたカンザスシ ティー連銀主催の年次シンポジウムで、「連邦公開市場委員会(FOM C)は、必要と判断されれば、非伝統的手段を通じて追加の金融緩和 策を講じる用意がある。景気見通しが著しく悪化した場合には特にそ うだ」と言明。景気回復の継続を確実にするため、「あらゆる可能な手 段を講じる」姿勢を示した。

バーナンキ議長の発言内容を受けて、27日の米株式市場では買い 安心感が広がり、ダウ工業株30種平均は大幅反発。株価の予想変動率 の指標であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリテ ィ指数(VIX指数)は17日以来の水準まで低下しており、投資家が リスク資産向け投資を敬遠する姿勢が緩和する可能性が示されている。

さらに、27日には4-6月期の米国内総生産(GDP)改定値が 発表された。成長率は前期比1.6%増と、速報値の2.4%増から下方修 正されたものの、ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想の

1.4%増は上回っており、米国市場でリスク回避姿勢の緩和につながっ た面もあったようだ。

この日の東京市場では、日経平均株価が午後にやや伸び悩みとな ったものの、100円を超える上昇幅を維持して取引を終了している。

ただ、今週は、米国の景気動向を見極める上で注目度の高い雇用 統計の発表が控えている。市場予想では、8月の非農業部門の雇用者 数は前月比で10万人の減少と、前月の13万1000人減から雇用の減少 ペースが鈍化すると見込まれている。

資産管理サービス信託銀行資金為替部の野村祥宏調査役は、米雇 用統計について「基本的には悪い数字を織り込みに行く展開」を予想。 さらに、日銀が追加緩和に踏み切ったとしても、「持続的な円安にはな らない」として、ドル・円相場は86円台で円の下値が限定される可能 性もあるとみている。

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