債券続落、長期金利が一時1.1%台に急騰-日銀緩和後は買い優勢に

債券相場は続落。米国の株高、債 券安を受けた持ち高調整売りが先行して、長期金利は一時1カ月半ぶ りに1.1%台まで上振れた。一方、日本銀行の金融緩和策発表後に株 高やドル高・円安が一服すると、債券先物や中期債は買い優勢となっ た。

三菱UFJ投信債券運用部の倉林俊之次長は、米金利上昇や国内 での財政規律維持への懸念がくすぶる中、8日の30年債入札を通過す るまで本腰を入れて買える雰囲気ではないとしながらも、「パニック的 な売りは一巡したのではないか」との見方も示した。

現物市場で新発10年物の309回債利回りは、前週末比4ベーシス ポイント(bp)高い1.035%で開始。直後に売りが膨らむと一時は

1.105%まで急騰して、7月15日以来の高い水準を記録した。その後 はじりじりと上昇幅を縮めており、午後3時15分現在では3bp高の

1.025%で取引されている。

27日の米国市場が株高、債券安となったことを受け、午前には日 経平均株価が3%強も続伸する一方、国内債市場は売り優勢の展開が 続いた。大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループ リーダーは、内外市場で株安、金利低下基調に変化が生じたことから、 大手銀中心に持ち高調整売りが殺到したと言い、「少なくともあさって の10年債入札通過までは買いづらい地合いだ」と話した。

米国では4-6月期の実質国内総生産(GDP)改定値が市場予 想ほど落ち込まなかったことから、ダウ工業株30種平均など主要な株 価指数が軒並み1.6%強反発。一方、米国債市場では10年債利回りが 17bp高の2.64%付近で引けた。

また、民主党の小沢一郎前幹事長が26日に代表選出馬を表明した ため、市場では2009年の衆院選マニフェスト(政権公約)に盛り込ん だ政策実行が意識されている。財政規律維持に対する懸念が超長期ゾ ーンで売り材料視され、20年物の120回債利回りは開始直後に14bp 高の1.835%を付け、新発20年債として7月半ば以来の高い水準を記 録。30年物の32回債は午後に20.5bp高の1.82%まで上振れた。

日銀緩和が短中期ゾーンを下支え

一方、日銀が午後に金融緩和策を発表すると、先物市場や短中期 ゾーンを中心に買いが優勢となった。みずほ証券の野地慎シニアマー ケットアナリストは、緩和の内容自体はすでに市場で織り込みだった としながらも、今後は緩和的な金融調節を通じて6カ月物のターム物 金利低下を促すと言い、「結果的に中期ゾーンまでの金利安定要因とな る」との見方を示した。

5年物の90回債利回りは午前の取引で0.31%まで上昇して、新 発5年債として11日以来の高い水準を付けたが、午後3時前には

0.5bp低下の0.28%まで買われている。

日銀は30日に開いた臨時の金融政策決定会合で、新型オペ(公開 市場操作)による資金供給額を20兆円から30兆円に引き上げるとと もに、うち10兆円の資金供給期間を6カ月にすることを賛成8、反対 1で決定したと発表。須田美矢子委員が反対した。政策金利は0.1% に据え置いたほか、長期国債買い入れ額も月1.8兆円に維持した。

先物は午後に下げ幅縮小

東京先物市場の中心限月9月物は前週末比15銭安い142円40銭 で始まり、開始後まもなくには7月29日以来の安値圏となる141円 60銭まで急落した。しかし、その後は日中を通してじりじりと下げ幅 を縮小させており、結局は10銭安の142円45銭で終了した。

みずほ証の野地氏は、日銀の緩和策に対して株式や為替市場がや や失望していると指摘。また、日銀が緩和的な環境を維持する姿勢を 示したことで短中期ゾーンの金利安定が見込まれており、先物市場で も買い戻しが入ったとの見方も示した。

この日の日銀の金融緩和では円高阻止に不十分とみられているこ とが、午後に先物買いが膨らむ一因となったもよう。米国で今週に発 表される供給管理協会(ISM)製造業景況指数や雇用統計ではあら ためて景気減速が示される見通しのため、市場では円高が再燃するリ スクも意識されており、三菱UFJ投信の倉林氏は「日銀の政策につ いても緩和強化の方向性は変わらない」との見方を示した。

白川方明日銀総裁は30日午後の記者会見で、臨時の金融政策決定 会合で追加緩和に踏み切ったことについて、「下振れリスクにより注意 する必要があると判断した結果、前倒し的に緩和を行った」と述べた。 先行きについては、日銀の「標準シナリオそれ自体を幾分下方修正す る可能性も否定できない」と指摘、情勢の変化によって「必要と判断 される場合は適時適切に対応を行っていく」と述べた。

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