円売り介入、欧米と協調なしでは失敗も-ストラテジスト

円相場が15年ぶりの高値に上昇 したのを受けて、日本の当局が円の押し下げに動いても、米国と欧州 連合(EU)から支援が得られなければ、失敗する恐れがあると通貨 ストラテジストらは警告する。

菅直人首相が8月27日に外国為替市場の過度な変動に対して、必 要に応じて「断固たる」措置を取ると表明したことで、日本の当局に よる為替介入の観測が広がっている。この発言を受けて、バークレイ ズ・キャピタルのエコノミストらはリポートで、介入が差し迫ってい るようだとの見方を示した。日本銀行は30日に臨時会合を開催すると 報じられており、日銀の白川方明総裁は訪米日程を1日短縮して29 日に帰国した。

日本が円を下落させるには欧米当局の協調が必要になろうが、 欧米諸国は自国通貨を比較的弱い水準に維持し、輸出の促進と景気回 復の維持を図りたいと考えており、支援が得られる可能性は低い。ス イス国立銀行(中央銀行)は今年、単独で為替介入を実施したものの、 スイス・フランが対ユーロで最高値を付けるのを阻止できなかった。

INGファイナンシャル・マーケッツの通貨取引ディレクター、 ジョン・マッカーシー氏は「日銀の単独介入が中期的なセンチメント を変化させる公算は小さい」と述べ、「欧州中央銀行(ECB)と米財 務省の協力と支援をどうにか得られれば、状況は確実に変わってくる だろうが、それが実現するとは全く思えない」と話す。

日本時間30日午前7時26分現在、円は0.5%安の1ドル=85円 61銭。対ユーロでは1ユーロ=109円20銭と、先週の108円72銭か ら下落。円はドルに対して年初来8.7%、ユーロに対して22%上昇し た水準にある。対ドル相場の史上最高値は1995年4月に付けた79円 75銭。その後2007年6月には124円13銭まで円安が進んだ。

過去の教訓

経済産業省が今月11日から24日にかけて実施した調査で、円相 場が1ドル=85円で推移し続けた場合、日本の製造業の40%が生産工 場や開発拠点を海外に移転すると回答した。

日本の当局は円が約109円で推移していた04年3月以降、為替介 入を実施していない。日銀は財務省の委任を受けて、03年に過去最大 の20兆4000億円規模の円売りを実施した後、04年1-3月期には14 兆8000億円の円売り介入を行った。ただ、結局介入によって円高を阻 止できず、円は102円63銭に上昇した。

ドイツ銀行のマネジングディレクター兼通貨戦略責任者ビラル・ ハフィーズ氏(ロンドン在勤)は、スイス中銀が今年、フラン高阻止 に失敗しているだけに、日銀は単独での介入を思いとどまる可能性が あるとみる。

同氏は「米国が協調して介入する可能性は極めて低い。中国に人 民元に対する介入をやめるよう圧力をかけ続ける一方、日本に介入を 認めるわけにはいかないからだ」と説明。ドイツ銀は今月、円相場の 予想を上方修正し、年末までに80円、11年1-3月(第1四半期) 中に78円に達すると予想している。

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