【今週の債券】長期金利1%付近で推移か、財政懸念も緩和観測が支え

今週の債券市場で長期金利は1% 付近での推移が予想されている。民主党の小沢一郎前幹事長が代表選 出馬を表明したことで、財政規律を重視する菅直人政権から政策転換 するとの懸念が出ており、売り圧力が高まりやすい。半面、日本銀行 による追加金融緩和の観測が相場の支えとなりそうだ。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、今週の債券 相場について、「先週末の金利急上昇の影響が残りそうだ。10年債利 回りは一時0.9%割れとなって達成感もある」と述べた上で、長期金 利のレンジは0.95%から1.05%になると話した。

長期金利の指標とされる新発10年債利回りについて、ブルームバ ーグが27日に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジは全体で

0.90%から1.10%となった。前週末の終値は0.995%。

前週の長期金利は25日に一時0.895%まで低下して、7年ぶりに

0.9%割れとなった。円相場が15年ぶりの円高・ドル安水準となった ほか、日本株が連日で年初来安値を更新したことで日銀による追加緩 和観測が強まったため。しかし、小沢前幹事長が民主党代表選への出 馬を表明したのをきっかけに財政拡大懸念が広がり、金利は大きく反 転。週末には2週間ぶりに1%台に乗せる場面があった。

引き続き財政拡大懸念が相場の重しとなりそう。小沢氏が代表選 に勝利すると、2009年の衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込 んだ政策の実行が想定され、国債増発という連想につながりやすい。 ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、「小沢氏の出馬表明 で、財政拡大方向に転じるリスクが出てきた」と警戒する。

14日の代表選が接近して票読みなど具体的な情勢が明確になら ないと債券相場の反応も限定的になるとの見方もある。岡三アセット の山田氏は、「菅政権が存続する可能性は5割以下とみるが、小沢政権 になれば財政拡大で金利上昇だと単純にも言えない。今後のシナリオ 修正も考えながら水準を見定めていく必要がある」と話した。

日銀が臨時決定会合開催

一方、日銀による早期の追加緩和期待が相場の下支えとなりそう。 菅首相は27日夕、記者団に対して「日銀の白川方明総裁が帰国すれば できるだけ早い機会にお会いしたい。機動的な金融政策実施を期待し たい」と述べた。日銀は30日朝、同日午前9時に臨時の金融政策決定 会合を開催すると発表した。

もっとも、市場では日銀の追加緩和策として、期間3カ月の資金 を年0.1%で金融機関に貸し出す「新型オペ」の拡充が軸になるとの 見方は織り込み済み。損保ジャパン・アセットマネジメントの平松伸 仁シニアインベストメントマネジャーは、「新型オペの発行枠拡大や期 間拡張などを行っても金利に影響があるかは疑問だ」と言う。

10年債入札に注目

こうした中、9月1日には10年利付国債(9月債)の入札が実施 される。長期金利は前週半ばに7年ぶり低水準を記録した後に急上昇 するなど、相場が不安定となっており、投資家の需要動向が注目され る。発行額は2兆2000億円程度。

トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジストは、 今回の入札について、「表面利率(クーポン)が0.9%に引き下げられ る可能性が出ていたのが、週末の金利上昇で1%台になりそう。1% を維持できれば需要が出てくるのではないか」との見方を示した。

市場参加者の予想レンジとコメント

27日に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は9月物、新発10年国債利回りは309回債。

◎日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト

先物9月物141円90銭-143円00銭

新発10年債利回り=0.93%-1.095%

「相場は高値圏でのもみ合いから弱含みか。長期金利が1%台に 乗せれば押し目買いも見込まれるが、先週には一時0.9%割れとなっ て達成感が出ている。ここからさらに買い進まれるには新しい材料が 必要。円高・株安のトレンドや米国債相場の行方次第だ。政府の経済 対策は民主党代表選の結果次第でひっくり返る可能性がある」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物9月物142円00銭-143円00銭

新発10年債利回り=0.95%-1.05%

「金利急上昇の影響が残りそう。10年債は0.9%割れを付けて達 成感もある。9月の国債償還を控える中、月末の長期債需要やディー リングの買いも予想されるが、相場の変動が大きくなったことへの警 戒もある。菅政権が存続する可能性は5割以下とみるが、小沢政権に なれば財政拡大で金利上昇だと単純にも言えない」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物9月物142円25銭-143円25銭

新発10年債利回り=0.95%-1.05%

「今週の相場は極端な動きにはならないだろう。米国で雇用統計 など重要指標の発表を控えており、様子見が強まりそう。10年債入札 は、クーポンが0.9%に引き下げられる可能性が出ていのが1%台に なりそう。1%を維持できれば需要が出てくるのではないか。相場が 調整局面となっても買い戻しもあり、下げは大きくならない」

◎みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジスト

先物9月物141円50銭-143円50銭

新発10年債利回り=0.90%-1.10%

「前週末に売られた後で方向感を探る展開。月末にかけて10年債 入札前に相場が落ち着くか見極めたい。9月に入って、利益確定の売 りを待っていた向きもいる。10年債入札が焦点となる。クーポンは

1.0%か1.1%ではないか。鉱工業生産は前月比0.2%減が予想されて いるが、7月以降の指標はプラス方向に振れやすい」

--取材協力:池田祐美、船曳三郎、菅野顕一郎 Editors:Hideki Asai,Masaru Aoki

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