利回り低下、オバマ大統領の支出拡大に追い風-クリントン時代と一変

米債券市場は減速している米経済 のてこ入れに向けた財政支出拡大について、オバマ大統領にゴーサイ ンを出している。

米政府は取引可能な米国債残高を8兆1800億ドル(約700兆円) と、この2年間で70%増やした。しかし、米国債の需要拡大で利回り は極めて低水準で推移しており、2010会計年度(09年10月-10年 9月)のこれまでの利払いは08年度通年を17%下回っている。

投資家は、米議会予算局(CBO)が1兆3400億ドルと試算す る10年度の財政赤字をオバマ大統領が抱えていることに厳しい反応 を示すどころか、インフレ鈍化や株式相場の低迷を背景に債券市場に 資金を投じている。市場が財政赤字拡大を察すれば借り入れコストが 上昇するとの顧問の忠告で、16年前にクリントン大統領(当時)が景 気刺激策の積極的な推進を断念させられた状況が一変している。

サントラスト・バンクの個人資産運用部門でストラテジストを務 めるアンディ・リッチマン氏は「財政赤字懸念は棚上げされている」 とし、「より大きな懸念はデフレの気配や今年後半に景気が鈍化するこ とだ」と述べた。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によると、 昨年マイナス3.7%だった米国債のリターンは今年これまではプラス

7.87%。一方、株式指標のMSCI世界指数はマイナス5%(配当の 再投資分を含む)となっている。

利払いの減少

財務省によると、利払いへの税金投入額は10年度の最初の10カ 月で3752億ドル。09年度通年は3834億ドル、08年度は4512億ド ルだった。国内総生産(GDP)比では09年度が3.2%となってお り、最後に財政黒字を記録した01年度の4.1%を下回っている。

インフレ率が約40年ぶり低水準の0.9%に低下していることで、 財政規律を訴える「債券自警団」はおとなしくなっている。かつては こうしたトレーダーが長期金利を押し上げ、1993年に就任したクリ ントン大統領(当時)に支出公約の達成よりも財政赤字削減の優先を 促した。

2年物米国債利回りは、2年債入札(発行額370億ドル)が実施 された24日に一時、過去最低の0.4542%を記録した。94年は同利 回りが7%を超えていた。10年債利回りは25日に2.4158%と、1 年半ぶりの低水準となった。16年前は8%強だった。

リブリン元連邦準備制度理事会(FRB)副議長は、現時点での 市場の大きな懸念はリセッション(景気後退)への逆戻りだが、投資 家は財政赤字に無関心になるべきではないと指摘している。オバマ大 統領は2月にリブリン氏を財政赤字削減に関する委員会の委員に起用 した。

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