今日の国内市況:日本株は続伸、債券急落、円反落-円高対策表明で

東京株式相場は続伸。円高対策を 早急に打ち出す方向で菅内閣閣僚の意見が一致した、などと市場で伝 わった午後に円相場が下落し、政策進展への期待や採算悪化懸念の後 退で輸出関連株が持ち直した。東証1部の業種別33指数では電機や輸 送用機器、ゴム製品、機械などが高い。

日経平均株価の終値は前日比84円58銭(1%)高の8991円6銭。 朝方は100円近く下げる場面もあったが、午後はプラスに転じ、一時 3営業日ぶりに9000円を回復する場面もあった。TOPIXは同7.83 ポイント(1%)高の819.62。

仙谷由人官房長官は27日の閣議後会見で、この日の閣僚懇談会で、 日本銀行との連携強化を求める声が多数を占め、円高対策を早急に打 ち出す方向で閣僚が一致したことを明らかにした。また、菅直人首相 はこの日午後、円高対策の方針について記者団に対し表明すると同時 に、現在の経済・金融情勢についての対処方針を説明する意向だ。

個別銘柄を見ても、ホンダやソニー、TDK、オリンパス、ニコ ンなど時価総額上位、指数寄与度の高い輸出関連銘柄がプラス圏に浮 上。朝方に連日の年初来安値更新となっていたトヨタ自動車も切り返 し、小幅高で終えた。

また、米国で27日発表予定の4-6月の国内総生産(GDP)の 改定値は、エコノミスト調査の中央値で前期比年率1.4%増と速報値 の同2.4%増から下方修正される見込み。昨年7-9月にプラス成長 に転じて以来、最も低い伸びが予想されている。今週米国で発表され たマクロ経済指標は総じてエコノミストの事前予想に届かず、米景気 の先行きに不安が広がっており、今週後半の反発トレンドが週明けも 続くかどうかには不透明感も残る。日経平均はこの日午前、一時8810 円と25日に付けた年初来安値(8807円)に接近する場面もあった。

東証1部の売買高は概算で16億9862万株、売買代金は1兆1827 億円。騰落銘柄数は値上がり1256、値下がり292。業種別33指数では ゴム製品、繊維製品、精密機器、証券・商品先物取引、機械、電気機 器など32業種が上げ、下落は保険の1業種のみ。

個別では、自社株買いを実施する方針のヘリオステクノホールデ ィングは需給改善期待から急伸。キリンホールディングスが完全子会 社化すると発表したメルシャンも大幅続伸となった。みずほ証券が投 資判断を引き上げた協和発酵キリン、いちよし経済研究所が投資判断 を上げたミヤチテクノスも高い。

半面、配当権利落ち日を迎えたビックカメラが急落し、みずほ証 券が投資判断を引き下げたKDDIも安い。第一生命保険は6日続落 し、上場来安値を更新した。札幌支店で不適切な会計処理が行われて いたことが判明したと午後に発表した愛知時計電機は18%安で、東証 1部の値下がり率トップ。

国内新興3市場は、ジャスダック指数が前日比0.1%高の48.26、 東証マザーズ指数が1.3%高の366.41、大証ヘラクレス指数は0.6% 高の559.54とそろって続伸。

個別では、2010年12月期業績は会社計画から上振れの可能性が 高まっていると東洋経済四季報オンライン版が伝えたシコーがストッ プ高(値幅制限いっぱいの上昇)。開発中の抗がん剤の第3相臨床試験 の計画に進展が見られた、と25日に発表しているメディビックグルー プは連騰。パピレスやフェローテック、ミクシィ、スカイマークも高 い。半面、第一精工、サイバーエージェント、スタートトゥデイ、テ クノアルファが下げた。

債券急落

債券相場は午後に急落し、長期金利は2週間ぶりに1%台に乗せ た。民主党代表選をめぐり、財政拡大懸念が強まる中、菅直人首相が 27日中に会見し、円高対策を表明するとの報道を受けて、株式相場が 上昇に転じたことが売り材料となった。

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の309回債利回 りは、前日比0.5ベーシスポイント(bp)低い0.93%で始まった。そ の後は売りが増えて徐々に水準を切り上げる展開。午後に入ると13 日以来の1%台に乗せており、一時は8bp高い1.015%まで急上昇し た。午後3時前からは6.5bp高い1.00%で推移している。

長期金利は25日には0.895%まで下げ、7年ぶりに0.9%割れを 記録しており、最近の金利低下に対する警戒感が出ていた。

民主党の小沢前幹事長が前日、代表選への出馬を表明したことで 財政懸念が強まっている。財政規律を重視する菅直人政権と違い、2009 年の衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ政策を実行する ことが想定されているためだ。

超長期債が大幅続落。新発20年債利回りは一時14.0bp高い

1.705%、新発30年債利回りは3bp高い1.615%まで上昇した。

こうした中、菅首相は27日午後、円高対策の方針について、記者 団に対して表明する。現在の経済金融情勢についての対処方針を説明 する意向。円高対策への期待感から国内株式相場はプラス圏に浮上し たことも、債券売り材料となった。

東京先物市場で中心限月9月物は、前日比17銭高の142円99銭 で始まり、直後に143円ちょうどまで上昇した。しかしその後は売り が優勢となり、午後に入って下げに転じた。取引終盤には46銭安まで 下落して、結局は27銭安の142円55銭で引けた。

朝方は、前日の米国市場で景気の先行き懸念が強まり、ダウ工業 株30種平均が1万ドルの節目を割り込み、債券相場が上昇した地合い を引き継ぎ、買いが先行した。しかし、財政懸念の強まりから売りが 膨らんだことで下落に転じた。

26日の米株式相場は下落。ダウ平均は7週間ぶりに1万ドルを割 り込んだ。朝方発表された週間の米新規失業保険申請件数は予想以上 に減少したものの、27日発表の4―6月期の米実質国内総生産(GD P)改定値が大幅に下方修正されることへの警戒感から、株価は下げ に転じた。ブルームバーグ調査では第2四半期実質GDP改定値は前 期比年率1.4%増の予想。速報値は2.4%増だった。一方、米国債相場 は上昇した。

円反落

東京外国為替市場では円が反落。菅直人首相が27日中に円高対策 の対処方針を表明することが明らかとなり、円の買い持ち高をいった ん手じまう動きが強まった。円高是正への期待感から日本株が上昇に 転じたことも、リスク回避姿勢の後退につながり、円売りを後押しし た。

円は対ドルで一時、1ドル=84円85銭まで下落。朝方には米景 気の減速懸念などから84円28銭まで円が強含んでいた。

円は対ユーロで朝方に付けた1ユーロ=106円99銭を高値に、一 時、107円92銭まで下落。ブルームバーグ・データによると、円は韓 国ウォンを除く主要通貨に対して前日終値から水準を切り下げている。

菅首相は27日午後、円高対策の方針について、記者団に対して表 明する。正式な記者会見は行わないという。仙谷由人官房長官が同日 昼の記者会見で明らかにした。現在の経済金融情勢についての対処方 針を説明する意向だという。

この日の東京外国為替市場は、米国株の下落や米金利低下を背景 に円買い・ドル売りが徐々に強まった海外市場の流れが引き継いで始 まった。週末に米国の4-6月期の国内総生産(GDP)改定値の発 表を控えて、米国の景気減速が意識されるなか、為替市場はリスク回 避の連想から円買い優勢の展開となった。

しかし、日本の当局による円売り介入や日本銀行の追加金融緩和 への警戒感がくすぶるなか、午前9時ごろには円買いも一巡。ドル・ 円は84円台前半でもみ合う展開となったが、正午ごろに「菅首相が円 高対策の対処方針表明」との一報が伝わると、一転して円は売り優勢 の展開となった。

野田佳彦財務相は閣議後会見で、政府・与党が月内に策定する追 加経済対策の規模について「経済危機対応・地域活性化予備費」の約 9200億円の範囲内になるとの考えを明らかにした。

27日の東京株式相場は反落して始まったが、政策期待から午後に はプラスに転じ、続伸して取引を終了した。一方、債券相場は下落し、 長期金利は2週間ぶりに1%台に乗せた。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、 27日発表の4-6月の米実質GDP改定値は、前期比年率1.4%増と 速報値の2.4%増から下方修正され、昨年7-9月(第3四半期)に プラス成長に転じて以来、最も低い伸びになると予想されている。

また、この日は米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議 長がワイオミング州ジャクソンホールでのカンザスシティー連銀主催 の年次シンポジウムで講演する。

同議長は先月、上院銀行委員会での証言で、経済の見通しを「引 き続き異常なほど不透明」と表現し、今月10日の米連邦公開市場委員 会(FOMC)では、米景気が予想より低調になるとして、住宅ロー ン担保証券(MBS)の償還資金を中長期の米国債に再投資すること を決めた。

今週は米国で発表された7月の中古住宅販売件数が統計開始以来 で最大の落ち込みを記録するなど米景気の減速懸念が一段と強まり、 米金利が低下。24日には2年債利回りが過去最低を更新し、10年債利 回りは2009年3月以来、初めて2.5%を下回った。

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