円反落、円高対策期待で株高・リスク回避緩和-菅首相が方針表明へ

東京外国為替市場では円が反落。 菅直人首相が27日中に円高対策の対処方針を表明することが明らかと なり、円の買い持ち高をいったん手じまう動きが強まった。円高是正へ の期待感から日本株が上昇に転じたことも、リスク回避姿勢の後退につ ながり、円売りを後押しした。

円は対ドルで一時、1ドル=84円85銭まで下落。朝方には米景 気の減速懸念などから84円28銭まで円が強含んでいた。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏は 「経済対策の方針表明を前に、財源に対する懸念から長期債が売られた 一方、対策そのものへの期待から株価が上昇し、結果、為替はリスク回 避後退で円売りになっている」と解説。「為替対策というよりは円高の 影響を受けた景気対策となりそうだが、株が上がれば結局は円売りにな る。日本株が高いまま引ければ、市場の雰囲気も多少変わる可能性があ る」と話していた。

円は対ユーロで朝方に付けた1ユーロ=106円99銭を高値に、一 時、107円92銭まで下落。ブルームバーグ・データによると、円は韓 国ウォンを除く主要通貨に対して前日終値から水準を切り下げている。

菅首相、円高対策の方針表明へ

菅首相は27日午後、円高対策の方針について、記者団に対して表 明する。正式な記者会見は行わないという。仙谷由人官房長官が同日昼 の記者会見で明らかにした。現在の経済金融情勢についての対処方針を 説明する意向だという。

この日の東京外国為替市場は、米国株の下落や米金利低下を背景に 円買い・ドル売りが徐々に強まった海外市場の流れが引き継いで始まっ た。週末に米国の4-6月期の国内総生産(GDP)改定値の発表を控 えて、米国の景気減速が意識されるなか、為替市場はリスク回避の連想 から円買い優勢の展開となった。

しかし、日本の当局による円売り介入や日本銀行の追加金融緩和へ の警戒感がくすぶるなか、午前9時ごろには円買いも一巡。ドル・円は 84円台前半でもみ合う展開となったが、正午ごろに「菅首相が円高対 策の対処方針表明」との一報が伝わると、一転して円は売り優勢の展開 となった。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、政府・日銀の円高 対応について、既に様々な観測報道がされている中で、「何もないとい うことはないだろう」という期待感がくすぶっているとし、ドル・円相 場の下支え要因になっていると話していた。

野田佳彦財務相は閣議後会見で、政府・与党が月内に策定する追加 経済対策の規模について「経済危機対応・地域活性化予備費」の約 9200億円の範囲内になるとの考えを明らかにした。

27日の東京株式相場は反落して始まったが、政策期待から午後に はプラスに転じ、続伸して取引を終了した。一方、債券相場は下落し、 長期金利は2週間ぶりに1%台に乗せた。

米GDP改定値、FRB議長講演

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、 27日発表の4-6月の米実質GDP改定値は、前期比年率1.4%増と 速報値の2.4%増から下方修正され、昨年7-9月(第3四半期)にプ ラス成長に転じて以来、最も低い伸びになると予想されている。

また、この日は米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長 がワイオミング州ジャクソンホールでのカンザスシティー連銀主催の年 次シンポジウムで講演する。

同議長は先月、上院銀行委員会での証言で、経済の見通しを「引き 続き異常なほど不透明」と表現し、今月10日の米連邦公開市場委員会 (FOMC)では、米景気が予想より低調になるとして、住宅ローン担 保証券(MBS)の償還資金を中長期の米国債に再投資することを決め た。

クレディ・スイス証券経済調査部の小笠原悟エコノミストは、「今 回のバーナンキ議長の講演では市場が期待しているような先行きの政策 についての話は出ないと思う。ただ、仮に追加緩和の発言がなかったと しても、米国の経済指標が下向きということであれば、引き続きドル・ 円に関しては下押し圧力が残る」との見方を示した。

今週は米国で発表された7月の中古住宅販売件数が統計開始以来で 最大の落ち込みを記録するなど米景気の減速懸念が一段と強まり、米金 利が低下。24日には2年債利回りが過去最低を更新し、10年債利回り は2009年3月以来、初めて2.5%を下回った。

小笠原氏は、来週はISM(米供給管理協会)の景況感指数や雇用 統計の発表が予定されており、バーナンキ議長が今回、追加緩和に言及 しなくても、「結局はデータで市場が9月21日のFOMCを予想する 展開になる」と予想。半面、「84円を割れてくると為替介入や追加緩 和に対する警戒感が出てくる」とし、ドル・円は「下に行きたいが、行 けない」という「神経質な展開」が続くと話していた。

-- Editor:Joji Mochida, Hidenori Yamanaka

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