7月の消費者物価は3カ月ぶりに下落率が拡大-1.1%低下

(発表内容を追加し、更新します)

【記者:日高 正裕】

8月27日(ブルームバーグ):7月の全国の消費者物価指数は、前 年比の下落率が3カ月ぶりに拡大した。景気の減速が鮮明になってい ることで、日本経済全体の需要と供給のバランスの改善も緩やかにな っており、デフレ脱却の時期が後ずれする可能性が出てきた。

総務省が27日発表した7月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食 品、コアCPI)は前年同月比1.1%低下と17カ月連続のマイナスと なった。8月の東京都区部コアCPIも1.1%低下だった。ブルーム バーグ・ニュースがまとめた予想中央値は全国が1.1%低下、東京は

1.2%低下。前月はそれぞれ1.0%低下、1.3%低下だった。

16日発表された4-6月の実質国内総生産(GDP)1次速報値 は前期比年率0.4%増と事前予想を大きく下回った。コアCPIにつ いて日銀は「2011年度中にはプラスの領域に入る可能性が展望できる」 (経済・物価情勢の展望)としているが、需給ギャップの改善が遅れ ていることに加え、足元の為替円高が物価の下押し要因となることも あり、同年度のデフレ脱却は微妙な情勢になりつつある。

CPI総合指数は7月の全国が前年同月比0.9%低下、8月の東 京都区部は1.0%低下だった。前月はそれぞれ0.7%低下、1.2%低下 だった。変動の大きな食料(酒類除く)とエネルギーを除く「米国型 コアCPI」は、7月の全国が1.5%低下、8月の東京都区部は1.4% 低下だった。前月はそれぞれ1.5%低下、1.4%低下だった。

10月末に見通しの修正

4月から始まった高校授業料の実質無償化により、コアCPI前 年比は0.54ポイント押し下げられている。大和総研の熊谷亮丸チーフ エコノミストは「10月に実施されるたばこ増税とそれに伴う値上げに より、コアCPI上昇率は0.3ポイント押し上げられる」と指摘。加 えて、「11年4月以降は高校授業料実質無償化による押し下げがはく 落することから、下落幅は急速に縮小する公算が大きい」という。

ただ、景気の減速に加え、為替円高はデフレ脱却には強い逆風と なる。日興コーディアル証券の岩下真理チーフマーケットエコノミス トは「需給ギャップの改善は極めてゆっくりとなる可能性が高い。年 度で見れば11年度のコアCPIはプラスに転じる微妙なところにあ る。デフレ脱却と言えるのは12年度以降になるだろう」とみる。

日銀が4月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で示した11 年度のコアCPI前年比の見通し(政策委員の中央値)はプラス0.1%。 10月末には見通しの修正が行われる。11年8月には5年に1度の基準 年改定があるため、消費者物価指数は実績値を含めて下方修正される 可能性もある。

追加緩和の思惑も

バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは 「11年夏の基準改定においてCPIが下押しされれば、現状における 日銀の物価見通しは下方修正される可能性がある。11年度中にコアC PIの前年比が安定的にプラス圏内で推移する状況は、現時点では想 定されない」と指摘する。

円高、株安の進行により、金融市場では日銀が追加の金融緩和に 踏み切るのではないかとの思惑が高まっている。三菱UFJ証券の長 谷川治美シニア債券ストラテジストは「臨時会合の開催が見送られた としても、日銀が次回9月6、7日会合で追加緩和に踏み切る可能性 が高い」とみている。

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