BHPの買収案をはねつけた男-加ポタシュのドイルCEOの横顔

カナダの肥料メーカー、ポタシュ のビル・ドイル最高経営責任者(CEO)は、中国を訪れた際の食事 の思い出を語った。

「1979年に初めて中国に行った時は、猿の脳みそやコオロギ、ウ ニを食べた。今中国に行けば、牛ヒレ肉を勧められるよ」。同CEOは 23日にインタビューに応じた。

中国が急速に豊かになるにつれて食肉需要も急激に増加。これが 飼料用作物と肥料の需要拡大につながっている。ポタシュ株式の時価 総額はカナダ企業5位となった。世界最大の鉱山会社、英・オースト ラリア系のBHPビリトンもこれに目を付け、ポタシュに対して400 億ドル(約3兆3900億円)規模の敵対的買収を仕掛けた。ポタシュは この申し出を拒否し、他の買い手候補と協議する考えだ。

ドイルCEO(60)の就任は99年。ブルームバーグのデータによ ると、その後の同社株の年平均リターンはプラス26%で、S&Pトロ ント総合指数のプラス6.9%の3倍余りとなっている。同指数を構成 する229銘柄の中で20位に位置する。

株主には責任を果たす一方、ポタシュが手掛ける炭酸カリウムの 価格が2年前に急騰した際は世界中の農家から批判を浴びた。昨年、 計970万ドルの報酬を受け取ったことにも労働組合が疑問を呈してい る。BHPによる買収が成立した場合、ドイルCEOは保有する株式 とストックオプションで総額4億4500万ドルを手にすることになる。

同CEOはインタビューで、「わたしの収入に関するコメントには 笑うだけだ。まったく気にしていない。この仕事が好きなので、やる ことをやるだけだ」と語った。

バイク旅行で農業に関心

ドイルCEOは、72年に米ジョージタウン大学を卒業。その後、 バイクで欧州旅行に出かけた。2008年5月のインタビューで同CEO は、その時の経験についてこう語っている。「37カ国で農業を見てき た。1年2カ月のうち1年1カ月は戸外で独りで寝泊まりした。帰っ てきてから言ったんだ。『指を土で汚して毎年何かを収穫している彼ら とかかわっていきたい』と」。

同CEOはこの旅行の後、炭酸カリウムメーカーの米インターナ ショナル・ミネラルズ・アンド・ケミカル(IMC)に入社。カナダ の人名録によれば、82年までに輸出販売部門の副社長となった。炭酸 カリウムは植物の茎や根を強くするほか病気への抵抗力を強める性質 を持ち、肥料として使われる。ポタシュはウェブサイトで、世界の供 給量の2割を自社が押さえていると説明する。

ドイルCEOは、先に転職していたIMC元幹部の要請で87年に ポタシュに入社。CEO就任後の2003年と04年には、炭酸カリウム の需要が伸びると読んで鉱山拡張のための投資を増やした。

妻と子供3人がいる。シカゴ市内のカトリック系学校の支援団体 やカナダの学生にリーダーシップやビジネススキルを教える団体の理 事も務めている。

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