「ニューノーマル」下で債券志向、水準観見直す必要も-みずほの高田氏

みずほ証券チーフストラテジスト の高田創氏は、世界の金融・経済は信用収縮と財政緊縮の下で新たな 潮流「ニューノーマル」という局面に入り、債券運用の志向が強まっ ていくとの見方を示した。1%を下回る日本の長期金利が急上昇する リスクは低く、投資家は「水準観を見直す必要がある」としている。

高田氏がいう「ニューノーマル」とは、実体経済に比べて金融資 産の拡大がピークを付けた2007年以降の状況を指す。25日に都内で 開催された講演の中で、世界の金融資産規模は国内総生産(GDP) の3.5倍まで膨らんだが、サブプライム危機など金融市場の混乱を経 て欧米では過剰債務のバランスシート調整が続いており、「ピークの状 況には戻らない」と述べた。

背景には信用収縮と財政緊縮の影響があると指摘。世界的に時価 会計制度や自己資本比率規制が強化されている上、米国など各国の金 融規制も強まっている。また、財政緊縮や為替切り下げによる自国本 位の政策は近隣窮乏化を招いている。高田氏は、金融規制と財政健全 化の流れを「合成の誤謬(ごびゅう)」と指摘し、全体のバランスが取 れていないと説明した。

こうした中で、海外の影響を受けやすい日本の債券市場も「ニュ ーノーマル」における発想の転換や運用方針の変更が必要だと主張。 「1%以下の長期金利が続くとは言わないが、待っていても金利はな かなか上昇しづらい状況を覚悟せざるを得ない」と述べた。

また、日本に加えて欧米でも物価下落の傾向が強まるなど、世界 的に低金利・低インフレのJapanisation(日本化)が進んでいる。高 田氏は「日米欧の銀行貸し出しが同時にマイナスになる状況は初めて。 世界的な信用収縮から、金融緩和による資金が債券に向かいやすい」 と話した。

債券志向

高田氏は、国債を「おコメ」に例えて「最近はカリフォルニア米 (米国債)もドイツパン(ドイツ国債)も大切」と述べ、欧米でも債 券運用の志向が高まっていると言う。

米国では信用リスクやコモディティリスクを取るより金利リスク を取る傾向が強まっている上、欧州でも高利回りのギリシャ国債から ドイツ国債に需要がシフトする中で、欧州銀行の国債保有額は1兆 5000億ユーロ(約161兆円)を超える歴史的な水準に達している。

一方、日本の債券市場では、おコメ(国債)の味を気にする投資 家も多いという。公的債務残高が国内総生産(GDP)の1.9倍と、 先進国の中でも群を抜く財政赤字を抱えているためだ。

これについて、高田氏は、日本国債とドルの暴落説を「世界の二 大狼」と表現。日本国債の約95%が国内で保有されている状況にも触 れ、「常に収支は赤字でみんなが不安視するが、結果的には資金繰りが 付いてしまう」として、経常黒字の日本の国債と南欧諸国の高利回り 債との違いを指摘した。

98年・03年のトラウマ

高田氏は、日本の長期金利が1%を下回った後に急上昇した1998 年と03年の経験が投資家のトラウマになっているとする一方、当時の 金利上昇は米国債が主導しており、米国が景気低迷で金融緩和を続け る今の状況は過去2回の局面とは異なると説明した。

財務省の統計から日本国債の過去の利率(クーポン)加重平均を 見ると、98年が4%近辺、03年は2%近辺で推移していたのに対し、 足元では1.3%台まで低下している。高田氏は、「平準的な債券投資を 続けた場合の利回りの低下に慣れる必要がある」との見方を示した。

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