円反落、追加緩和や為替介入を警戒-15年ぶり円高への対応見極め

東京外国為替市場では円が反落。 前日に対ドルで15年ぶりとなる1ドル=83円台まで円高が進んだこ とを受け、円高阻止に向けた日本銀行の追加金融緩和や日本政府による 為替介入への思惑が強まった。

ドル・円相場は1ドル=83円90銭付近で東京市場を迎えた後、 じりじりと円売りが進み、正午前には一時、84円50銭を付けた。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の酒井聡彦グループマネージャーは 「きのうは米指標が非常に悪く、株が下落してドルが売られた。その部 分だけ見るとリーズナブルな動きで、それに対して対応しても意味があ るのかという問題は確実にある。ただ、何もしないで、円高を放置する ことは許されない。今は政治的な意思を示すべきと考えており、当局は 介入も含めて対応のタイミングを計っていると思う」と語った。

野田佳彦財務相は25日午前、前日の海外市場で円が対ドルで一時 83円台と15年ぶりの高値をつけたことを受け、「一方向に偏った動 きだという基本認識だ」とした上で、「為替の動きは重大な関心を持っ て極めて注意深く見守りたいが、必要な時には適切な対応を取らなけれ ばならない」と述べ、介入も辞さない構えを示した。

ユーロ・円相場は早朝に付けた1ユーロ=105円92銭から一時、 106円99銭まで円が反落。ブルームバーグ・データによると、円は全 面高となっていた前日から一転、主要16通貨すべてに対して前日終値 から値を切り下げた。

円高一服

25日付の日本経済新聞朝刊は、急速な円高・株安で日銀が追加金 融緩和策の検討に入ったと報じた。景気下振れリスクの一段の高まりを 懸念、市場への資金供給拡充が有力で臨時会合を開催して協議する案も 浮上しているという。1日で円の対ドル相場が数円単位で急騰した場合 、財務省は日本単独での円売り・ドル買いの為替介入を視野に入れると している。

欧米を中心とした世界景気の先行き懸念を背景に円高が進むなか、 24日には野田財務相が為替介入の可能性についてコメントを控えるな ど、具体的な円高対策を示さなかったことをきっかけに円買いが加速。 米国で発表された7月の中古住宅販売件数が1999年の統計開始以来で 最大の落ち込みとなり、米金利が一段と低下したことも円買い・ドル売 りに拍車を掛けた。

ドル・円は一時、1995年6月以来の円高値となる83円60銭を記 録し、ユーロ・円も一時、105円44銭と2001年7月以来の円高水準 をつけた。

もっとも、その後は日銀の追加金融緩和や為替介入の思惑から円高 が一服し、この日の東京市場では当局の対応をにらみながら円売りがや や先行。NTTスマートトレード・工藤隆市場情報部部長は、輸入決済 が集中する「五十日(ごとおび)」ということで、「実需の円売り需要 もそこそこあるようだ」と話していた。

円高阻止の具体策を注視

野田財務相は午後、菅直人首相、仙谷由人官房長官と官邸で景気動 向などについて協議後、その内容について「経済や景気の動向について の傾向や分析を中心に報告した」と述べた。また、足元の円高・株安の 状況については「市場の動向を注意深く見てほしいとの指示を踏まえて 、必要な時に適切な対応をすると申し上げた」と語った。菅首相からは 具体的な指示はなかったという。

円高阻止の具体策が示されなかったことで、午後にかけては日本株 が下げ幅を拡大。外国為替市場でもリスク回避に伴う円買い圧力がかか り、円は下げ渋る展開となった。

外為どっとコム総合研究所代表取締役社長兼主席研究員、植野大作 氏は、政策要求相場の色彩が強まる中、円高対策の具体策が提示される までのスピード感、およびその内容が大切、とした上で「市場の危機感 と政府・日銀の危機感に温度差があると判断された場合、株安・円高の 加速リスクを払しょくすることにはならないだろう」と語った。

25日の東京株式相場は4日続落。日経平均株価、TOPIXとも 連日で年初来安値を更新した。

一方、ユーロ・ドル相場は対円でユーロが買われた影響もあり、1 ユーロ=1.26ドル台前半から一時、1.2668ドルまでユーロが反発。 ただ、24日には米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P) がアイルランドの長期ソブリン信用格付けを「AA」から「AA-」に 一段階引き下げており、積極的にユーロの上値を追う動きは限られた。

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