日本株は連日安値、米欧景気と円高を警戒-政策遅滞感も

東京株式相場は4日続落し、日経 平均株価、TOPIXとも連日で年初来安値を更新した。米国景気、 欧州のソブリンリスクなどの根深さから円高進行への警戒が強い上、 日本の政策サイドも今のところ有効な円高阻止策を示せておらず、リ スク資産の株式を手放す動きが続いた。

日経平均株価は前日比149円75銭(1.7%)安の8845円39銭で 終え、終値では昨年4月30日以来の安値水準。TOPIXは同10.42 ポイント(1.3%)安の807.31。東証1部33業種はすべて安く、輸送 用機器や海運、鉱業、精密機器、鉄鋼といった景気敏感業種、証券な ど金融株の下げが特に目立った。

MU投資顧問の森川央シニアストラテジストは、米経済への悲観 論の強まりから米金利が下げ止まらないため、「為替のドル安・円高圧 力を跳ね返すのは難しい。円高進行が、日本のデフレを深刻化してい る点も懸念される」と話した。

全米不動産業者協会が24日に発表した7月の中古住宅販売件数 は前月比27%減の383万戸と、エコノミスト調査の予想中央値465万 戸を大幅に下回った。実質的に4月に終了した政府の住宅購入支援措 置が需要を先食いし、さらに雇用市場の低迷で、今後の伸びを期待す ることも難しいことが示された格好だ。

米住宅不安再び、ソブリンリスク

中古住宅統計が事前予想に対し大幅未達となり、25日発表の新築 住宅統計や住宅価格指数の下振れ連想も働きやすかった。米住宅の先 行きについて、日興コーディアル証券エクイティ部の西広市部長は「米 経済の根幹部分をなすだけに、差し押さえ物件が再び増加傾向にある とみられることが気掛かり」と言う。

また、日産センチュリー証券ディーリング部の菊池由文部長は、 米住宅市場が悪化に向かうようなら、「米政府の管理下にあるファニー メイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社) が業績低迷で債務超過から抜け出せない懸念が高まる」と指摘。両社 の社債は世界中の投資家が保有しており、「金融市場の波乱や経済のリ セッションにつながるリスクを意識せざるを得ない」とした。

一方、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P) は24日、アイルランドの長期ソブリン信用格付けを「AA」から「A A-」に引き下げた。同国の金融セクター支援で見込まれるコストを 格下げの理由に挙げており、ソブリンリスクへの警戒も投資家心理に 悪影響を与えた面がある。みずほ証券の倉持靖彦投資情報部長は、「南 欧諸国の国債を保証するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS) のスプレッドが上昇傾向にあることが心配だ」と話している。

菅直人首相が24日記者団に、「為替の急激な変動というのは好ま しくない」と発言したが、同日の外国為替市場では円買いの流れが止 まらず、米中古住宅統計の不振やアイルランドの格下げが円買いに拍 車を掛けた。24日のニューヨーク市場で、円は対ドルで1995年6月 以来の高値となる83円60銭まで上昇。対ユーロでも一時105円44 銭と、2001年7月以来の高値を付けた。

世界的な需要減退と為替採算の悪化懸念から、自動車や精密、電 機、ゴム製品など輸出関連株が下落。海運や鉄鋼、ガラス・土石製品 など世界景気に敏感な業種、保険や証券、銀行など金融株も下げた。

当局動かず午後一段安に

この日は、日本銀行が追加的な金融緩和策の検討に入り、財務省 も日本単独での円売り・ドル買いの為替介入を視野に入れている、と 25日付の日本経済新聞朝刊で報じられた。金融当局による円高対策の 発動をにらむ格好で、日本時間25日の為替市場では1ドル=84円台 半ば、1ユーロ=106円台後半まで円安方向に戻したことを受け、日 本株は下げ渋る場面も見られた。

しかし結局、当局からの具体的な動きは聞かれず、午後の日本株 はじり安展開。日経平均は一時187円安の8807円まであった。みずほ 証の倉持氏は、「政策当局の動きに進ちょくが見られないことも株安が 止まらない要因」と見ている。

野田佳彦財務相は25日午後、菅直人首相、仙谷由人官房長官と官 邸で景気動向などについて協議後、会談内容について「経済や景気の 動向についての傾向や分析を中心に報告した」と述べた。また、足元 の円高・株安の状況には「市場の動向を注意深く見て欲しいとの指示 を踏まえ、必要なときに適切な対応をすると申し上げた」と発言。菅 首相からは、具体的指示はなかったという。

東証1部の売買高は概算で17億8479万株、売買代金は1兆2109 億円。騰落銘柄数は値下がり1119、値上がり406。

需給悪化銘柄安い、ジャスダック安値

個別では、三井住友海上火災保険など金融機関5社が保有してき た計1190万株を売り出す豊田通商、同様に金融機関3社が計80万株 を売り出す岩手銀行、公募増資計画を発表した日本板硝子がそろって 株式需給の悪化懸念などで下げた。野村証券が目標株価を引き下げた 三井海洋開発も安い。

半面、自社株買いを実施する方針の静岡銀行、シティグループ証 券が投資判断を「買い」に引き上げた大日本住友製薬が上昇。海外部 門の営業損益が11年3月期に黒字転換する見通しと、25日付の日経 新聞朝刊で伝えられたリョービも堅調だった。

国内新興3市場は、ジャスダック指数が前日比0.6%安の47.71、 東証マザーズ指数は2%安の359.25とともに年初来安値を更新。大証 ヘラクレス指数も0.9%安の554.74とそろって下げた。個別では、第 一興商、セブン銀行、フリービット、日本通信が安い。半面、自社株 買い実施の方針を示した第一建設工業が上昇。ジー・モード、スター トトゥデイ、マネーパートナーズグループが高い。

--取材協力:西沢加奈、下土井京子 Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

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