7月の輸出額は8カ月連続増も伸び率縮小-貿易黒字は拡大

日本の輸出額は前年同月比で8カ 月連続増加したが、伸び率は5カ月連続縮小した。一方で輸入額も国 内需要の一服を背景に伸び率が鈍化したため、貿易黒字額は前年同月 比で拡大した。

財務省が25日発表した7月の貿易統計速報(通関ベース)による と、輸出額は前年同月比23.5%増の5兆9828億円となった。輸入額 は同15.7%増の5兆1786億円だった。この結果、貿易黒字額(原数 値)は8042億円となり、14カ月連続増加した。エコノミスト調査の 予想中央値は輸出額が同21.8%増、輸入額が同19.8%増。貿易収支は 4663億円の黒字予想だった。

6月の日本の鉱工業生産指数は、アジア向け輸出の鈍化や政策効 果の減退などにより、4カ月ぶりにマイナスに転じた。これを受け、 政府は10日に発表した8月の月例経済報告で「生産」を2009年1月 以来、1年7カ月ぶりに下方修正した。

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎主任研究員はリポートで、「輸出 数量は全体としては上昇基調を維持しているものの、上昇ペースはこ こにきて鈍化している」とし、米国経済が停滞色を強めていることや、 ドル安、ユーロ安が進んでいることもあり、「先行きは減速に向かう ことが予想される」と指摘。その上で、「輸出のけん引役となってき た中国を中心としたアジア向け輸出が低調な動きとなったことは、先 行きの輸出動向を見る上で懸念材料」と述べている。

対中国は4カ月ぶり黒字

輸出入の主要品目をみると、輸出では自動車が前年同月比27.1% 増、鉄鋼が同24.8%増、半導体等電子部品が同16.7%増となった一方 で、輸入では液化天然ガスが同44.7%増、鉄鉱石が同114.6%増、非 鉄金属が同65.5%増だった。

黒字額を地域別にみると、対米は前年同月比42.5%増の4723億 円、対欧州連合(EU)は同29.8%増の1336億円、対アジアは同42.2% 増の9894億円だった。うち、対中国は158億円の黒字と、4カ月ぶり の黒字に転じた。また、輸出額は対米が同25.9%増、対EUが同13.3% 増、対アジアが同23.8%増だった。中国向けは同22.7%増だった。

急激な円高が懸念材料

最近の急激な円高が輸出に与える影響も懸念材料だ。荒井聡国家 戦略兼経済財政相は24日の会見で、円高・株安の進行について注意深 く見ていく考えを強調。「内閣府として独自に、地方の経済も含めて 調査をするように私から指示した」ことを明らかにした。円高はその 後も加速、24日の海外市場では一時、1ドル=83円台と15年ぶり高 値を更新した。

大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストはリポートで「7月は欧 米の輸出数量の増加がアジアの減少を補う形となった」とし、「世界向 け輸出は2009年初めごろを底にV字回復が続いていたが、リーマンシ ョック前の水準に戻る前に頭打ちとなってしまった」と指摘した。そ の上で、「今回の結果を受けて輸出が明確な減少傾向へ転じたかどうか を確認するにはもうしばらく時間が必要」との見方を示している。

季節調整済みでみると、7月の輸出額は前月比1.4%減の5兆 5462億円、輸入額は同3.5%減の4兆9358億円だった。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE