猛暑の8月、軽油輸出量が過去最大へ-ガソリン活況の余波

国内石油元売り各社の軽油輸出量が 8月に過去最大となりそうだ。猛暑でガソリンや発電用燃料の重油の消 費拡大を背景に各社が原油処理量を増やした結果、内需の伸び悩みが続 く軽油で余剰が出たためだ。

ブルームバーグ・ニュースの調査によると、石油各社関係者の間で は、8月の軽油輸出量が2008年8月に記録した過去最高水準(143 万 9178キロリットル)を上回るのは確実との見方が強い。記録を更新すれ ば、前年同月比で少なくとも15%以上増加することとなる。

原油を精製すると一定の比率でガソリンや灯油、軽油、重油などが 同時に生産される。一つの製品の生産量の増減が他のすべての製品に影 響するのが石油製品の特徴。積極的にガソリンを精製した影響で軽油の 生産量も増え、国内で行き場を失うこととなった。軽油はトラックや建 設機械の燃料として使用されるため、長引く不況の影響で国内需要は精 彩を欠いており、常に輸出に回さざるを得ないのが実情だ。

JXホールディングス傘下の国内最大元売りJX日鉱日石エネル ギー関係者によると、同社は現在、日量約20万バレル弱の輸出能力の 上限に近い水準で海外向けに軽油を出荷しているという。コスモ石油も、 自社の能力をフルに活用して豪州やチリ向けに輸出している。

石油連盟が発表した週報によると、7月25-31日の週の軽油輸出 量は49万4545キロリットルと年初来最大を記録。24日までの週から倍 増した。8月14日までの週の製油所稼働率は81.4%と、年初来で最も 低かった6月19日までの週の61.5%から大幅に上昇。

カーエアコンで燃料消費は38%悪化

稼働率が上昇した一方で、猛暑が追い風となって消費が伸びたガソ リンの在庫は、7月10日以降減少を続けている。財団法人省エネルギ ーセンターの試験結果によると、外気温35度の時にカーエアコンを使 用すると、使用しなかった時と比べて燃料の消費量は38%増加するとい う。

増えた軽油輸出が利益をもたらすわけではない。FEアソシエイツ のオイルエコノミスト藤澤治氏は、「海外でも軽油は余りがちになって おり、輸出の採算性は決して良いわけではない」と指摘。そのうえで「9 月に入ればガソリンの消費も一巡することから、原油処理も減る見通し。 それに伴って軽油の輸出も減速するだろう」と話した。

商社関係者が匿名を条件に明らかにしたところによると、石油各社 は、シンガポールの価格と同水準で軽油を輸出しているという。ブルー ムバーグのデータによると、23日時点のアジアの指標価格であるシンガ ポールの軽油価格は1バレル=84.2ドル(1リットル当たり45 円)。

国内価格を下回る輸出価格

同価格は国内の業者間転売市場(スポット市場)の取引価格を約7 円下回っている。それでも輸出せざるを得ないのは、国内で無理に販売 すると需給バランスを崩すためだ。国内消費量の約半分に相当する量の 軽油を輸出することで、市況の崩壊を防ぐ狙いがある。

ある石油元売り関係者は、同社が8月に輸出する量を国内市場で売 るのは不可能に近いと話す。ガソリンや重油の国内販売が好調なため、 石油製品全体ではマージンは十分確保できていることから、採算の取れ ない価格で軽油を輸出しても大きな問題にはならないという。

08年に過去最大量の輸出を記録した時には、北京オリンピックの開 催で伸びた堅調な中国需要が背景にあった。それに合わせて国内の元売 りの多くが輸出関連の設備を増強した。今回は「お家の事情」に迫られ た「受身の輸出」との声が多く、過去最高の軽油輸出にわく声は少ない。

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