原油流出事故:基金の賠償受けても企業を提訴可能-ファインバーグ氏

メキシコ湾で英BPが保有する油 井で発生した原油流出事故の被害者への損害賠償支払いのために創設 された200億ドル(約1兆7100億円)規模の基金を管理するケネス・ ファインバーグ氏は23日、この基金の運用を開始する。被害者らがこ の基金から最終的な賠償金の支払いを受ける場合、事故に関与した企 業を提訴する権利を放棄しなければならないかどうかについてはまだ 決まっていない。

同氏は22日、記者団との電話会議で「ある被告がある原告に対し て最終的な支払いを行うことにより補償問題が決着するかどうかとい う問題は、わたしとしてはまだ解決していない」と述べた。

この基金は、今後90日間にまず、今回の災害による損失の最大半 年分について、緊急賠償金を支払う予定。ファインバーグ氏によると、 これらの暫定的な支払いを受ける請求者は、BPなどの企業を提訴す る権利を保持する。この事故では作業員11人が死亡し、世界最大の原 油流出につながった。

BPなどの関係者によると、最終的な賠償金を受ける被害者の法 的権利をめぐる問題は、ファインバーグ氏が関与する交渉課題の1つ だ。爆発事故が発生したリグ(石油掘削装置)「ディープウォーター・ ホライズン」を運営していたトランスオーシャンや油井の権益の25% を保有するアナダルコ・ペトロリアムなどが被告となる可能性がある。

この基金から最終的な支払いを受ける被害者は、裁判でBPに対 し追加的な損害賠償を求めることはできない。ファインバーグ氏が未 解決の問題であると指摘したのは、被害者が流出事故に関与したBP 以外の企業を提訴することができるかどうかという問題だ。

厳しい線引き

BPの広報担当者、ダレン・ボード氏は20日、損害賠償の請求者 が最終的な賠償を受ける場合、請求者はBPや事故に関与した企業を 提訴する権利を放棄することになるとBPは理解していると表明。同 氏は電子メールで「どのような和解が成立しても、それは全額に関す る最終的な和解となるはずだ」と指摘した。

ファインバーグ氏は22日、賠償先の決定について裁判所より寛大 な判断を下す方針をあらためて示した。

同氏は「厳しい線引きが必要になるだろうが、『基金からの損害賠 償の対象として適格でなく、この自主的プログラムからの支払い対象 にならない場合、いずれの裁判所も適格とは判断しないだろう』と言 うことができるよう望んでいる」と語った。

ファインバーグ氏は「明らかに最も問題になる分野は観光業だろ う」と指摘。特にフロリダ州では、北西部を除く大半の地域が原油流 出事故の影響を大きく受けていないにもかかわらず、収入が落ち込ん だと主張している。不動産各社も売上高や仲介料の損失に基づき、同 氏に対して基金からの損害賠償の支払いを求めている。

ファインバーグ氏によると、不動産業者への支払いのため最大 6000万ドルを確保することで合意しており、賠償金はテキサス、ルイ ジアナ、ミシシッピ、アラバマ、フロリダのメキシコ湾岸5州の不動 産業協会を通じて配分される見通しだ。

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