円ほぼ全面高、世界経済に不透明要因-円高対応の具体策は先送り

東京外国為替市場では、円が主要 16通貨に対してほぼ全面高となった。欧州中央銀行(ECB)の金融 緩和長期化観測など世界経済の不透明要因を背景に円が買われやすい展 開が続いた。また、午前には菅直人首相と日本銀行の白川方明総裁との 間で電話会談が行われたが、円高対応の具体策は示されなかった。

日興コーディアル証券国際市場分析部の為替ストラテジスト、松本 圭史氏は、欧州の情勢やオーストラリアの政局不安など、「世界的に景 気の先行き不透明感を払しょくするような材料が見当たらない」として 、クロス・円(ドル以外の通貨と円の取引)の上値が重い(円には上昇 圧力)状態が続くと予想。さらに、この日は菅首相と白川総裁の会談内 容を受けて、目先は「拍子抜け」といった感があり、若干の円買いを誘 ったと説明している。

ユーロ・円相場は1ユーロ=108円台半ばから後半を中心に、前週 末のニューヨーク時間午後遅くに付けた108円83銭から円が水準を切 り上げて推移した。20日の海外市場では一時108円26銭と、7月1 日以来の水準まで円高が進む場面も見られていた。

ドル・円相場は午前の取引で徐々に円買いが優勢となり、一時は1 ドル=85円31銭と、前週末のニューヨーク時間午後遅くに付けた85 円62銭から円が上昇。午後も85円台前半で取引された。

この日の午前には、菅首相が白川総裁と電話で会談を行い、為替市 場の動向を含めて、金融経済情勢について意見を交換した。仙谷由人官 房長は会見で、為替介入の話は出たかとの質問に、「そんな話はきょう の電話会談ではまったく出ていない」と言明。追加的金融緩和について は「その件についてはノーコメントというふうにさせてほしい」と明言 を避けた。

松本氏は、仙石官房長官の会見内容について、為替介入に対しては っきりと「ノー」としながらも、追加緩和には「ノーコメント」として おり、緩和の可能性が残された感があると分析。早期緩和の期待は薄れ たものの、「緩和を織り込んでも大丈夫」というメッセージと受け止め られた面があり、午後にかけて円の上昇が抑えられる格好になったと説 明している。

欧州懸念が再燃

一方、ギリシャが20日に、欧州連合(EU)とECBに対し65 億ユーロ(約7100億円)の融資供与を正式に要請したことを明らかに したほか、フランス大統領府は同日に電子メールで、来年の経済成長率 予測を下方修正しており、欧州経済の先行き懸念に再び市場の焦点が向 かう可能性が生じている。

そうした中、この日は欧州で8月のユーロ圏総合景気指数が発表さ れるが、資産管理サービス信託銀行資金為替部の野村祥宏調査役は、弱 い指標内容が示されれば、「もう一段のユーロ安もあり得る」とみてい る。

ECB政策委員会メンバーのウェーバー・ドイツ連邦銀行総裁は 19日、フランクフルトでブルームバーグテレビジョンのインタビュー に応じ、ECBが緊急の融資措置を解除する時期を決定するのは、年末 越えの流動性確保で市中銀行を支援した後の来年1-3月(第1四半期 )にすべきだとの考えを示している。

リスク回避の「色合い」強い

また、豪州では、21日に投開票が行われた総選挙の結果で、与 党・労働党と最大野党・自由党率いる保守連合ともに下院(定数150 )で過半数(76議席)に届かなかった。

豪政局の先行き不透明感を背景に豪ドル売りが先行し、対円では一 時1豪ドル=75円53銭と、前週末のニューヨーク時間午後遅くに付 けた76円53銭から下落。クロス・円の円買いにつながった面もある。

東海東京証券金融市場部の二瓶洋トレーディンググループマネージ ャーは、再び「リスク回避の色合いが強まっている」として、ドルと円 の買いにバイアスがかかりやすいとみている。

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