【今週の債券】長期金利は7年ぶり0.8%台も、日銀緩和でも効果疑問

今週の債券市場で長期金利が7年 ぶりに0.8%台まで低下する場面もありそうだ。為替相場の動向次第 で日本銀行が実施するとみられる金融緩和策について、市場では新味 のある内容は期待しづらいとの見方が有力。円高進展リスクが意識さ れる中で、引き続き金利には低下圧力がかかりやすい。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、日銀が遅か れ早かれ金融緩和に踏み出すというのが市場コンセンサスだとした上 で、「米国の景気や金融政策の見通しが改善しない限り、ドル安・円高 や金利低下基調が転換するとは考えにくい」とみている。

長期金利の指標とされる新発10年国債利回りについて、ブルーム バーグ・ニュースが前週末に市場参加者4人に聞いた予想レンジは全 体で0.87%-1.00%となった。10年債利回りが0.9%台を下回れば、 2003年8月13日以来、7年ぶりの低い水準となる。

前週の長期金利は一段と水準を切り下げた。米国債市場での金利 低下を背景に週初から7年ぶり低水準の更新が続き、18日の午後遅く には0.90%まで買い進まれた。その後も日銀の追加緩和観測を手掛か りに0.9%台前半で一進一退が続き、結局は13日終値より5.5ベーシ スポイント(bp)低い0.925%で終了した。

日銀緩和でも円安転換は困難か

今週も日銀の金融緩和実施の有無やその場合の為替相場の反応に 注目が集まる。為替市場でドル安・円高が加速する場合には、日銀が 臨時の金融政策決定会合で緩和策を打ち出すとの見方が多く、具体策 としては期間3カ月の資金を政策金利で貸し出す新型オペの20兆円 から30兆円への拡大や、6カ月への期間延長などが見込まれている。

また、4-6月には予想外の低成長にとどまったため、足元で円 高進行が抑制されても日銀は9月以降に緩和に踏み切るとみられるが、 為替相場に及ぼす影響は限定されると指摘される。みずほ証券の野地 慎シニアマーケットアナリストは、日銀が新型オペ拡充以上の国債買 い入れ増額などに踏み込まなければ新味は乏しいと言い、「市場は円高 や金利低下といった催促相場に移行する可能性がある」とみる。

実際、為替市場で円高圧力が根強いことの背景には、米連邦準備 制度理事会(FRB)による景気判断の下方修正を受けたドル安とい った側面があるだけに、日銀の緩和策が市場の想定範囲内にとどまれ ば為替が円安方向に転換するのは困難といった声が聞かれる。

ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、日銀の緩和実 施となれば材料出尽くしでいったんは債券売りが出る可能性があるが、 新型オペの期間延長などがあれば資金は長期から短中期ゾーンにシフ トしやすく、その後は長期債が買い直される展開ではないかと言う。

需給面で20年債入札に注目

今週は24日に20年利付国債の価格競争入札が行われる。超長期 ゾーンの需給動向を占う上で、同入札に注目が集まる。前週には20 年債利回りも7年ぶりの低水準を付けたが、日興コーディアル証券の 野村真司チーフ債券ストラテジストは、「20年ゾーンには銀行勢など まで投資家層が広がっていることから無難な結果が見込まれる」と言 う。

20年債利回りは20日午後の取引で1.5%台半ばだったため、新発 債の表面利率(クーポン)は0.2-0.3ポイント低下の1.5-1.6%と なり、いずれの場合も03年6月の入札以来の低い水準に決まる見通し。

このほか26日には2年債の入札が実施される。みずほ証の野地氏 は、超長期ゾーンなどで金利低下が加速した反動の売りに注意は必要 だが、9月に国債の大量償還を控えるタイミングに当たって、月末に かけては債券インデックス(指数)が伸びることから足元の需給は悪 くないとみている。

市場参加者の予想レンジとコメント

8月20日夕までに集計した市場参加者の債券相場に関する今週 の予想レンジは以下の通り。

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物9月物142円75銭-143円50銭

新発10年債利回り=0.87%-0.95%

「相場は底堅く推移しそう。好需給のほか円高・株安傾向、また 米国の弱い経済動向など外部環境が支えとなる。20年債入札ではクー ポン引き下げが見込まれるが、需給環境が良い中で無難な結果を予想 する。政府と日銀が円高対策への対応を不透明なままにして置くと、 過剰に円高に動くこともあり、その場合には株価も下げるだろう」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物9月物142円40銭-143円40銭

新発10年債利回り=0.87%-0.97%

「長期金利は一進一退とみている。金利水準が低いことへの警戒 感があるのは事実だが、米景気に対する弱気の認識が変わらない限り、 債券残高は圧縮しづらい。米国債市場も景気の先行き不透明感のほか、 FRBによる国債買い入れに伴う好需給が材料となって金利は上がり にくい。円高などのきっかけ次第では0.9%割れをうかがいそうだ」

◎みずほ証券の野地慎シニアマーケットアナリスト

先物9月物142円40銭-143円40銭

新発10年債利回り=0.87%-0.97%

「長期金利は一時的に0.9%割れがありそう。日銀の金融緩和策 の効果に懐疑的な見方から円高懸念が根強い。低成長が続く見通しの 下ではデフレが意識されやすく、長期ゾーン中心に金利低下余地があ るとみる。月末に債券インデックスが伸びることも需給面からの支援 要因だが、10年債の0.9%割れでは戻り売りが相応に出てこよう」

◎日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト

先物9月物142円15銭-143円15銭

新発10年債利回り=0.90%-1.00%

「相場は高値圏でのもみ合いか。最近の急伸でスピード調整の可 能性もある。昨年末のドバイ・ショック時の連想もあって、債券市場 は前のめりに追加緩和を織り込んでいる。ただ、為替や株式市場は小 康状態ですぐに景気後退という感じでもない。政府の経済対策に伴い、 日銀も協力が見込まれているが、与党で協議が進展していない」

--取材協力:池田祐美、菅野顕一郎 Editors:Hidenori Yamanaka,Joji Mochida

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