8月20日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場:ユーロは5週ぶり安値、独連銀総裁発言で

ニューヨーク外国為替市場では、ユーロがドルに対し5週間ぶり安 値に下落。欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのウェーバー・ ドイツ連邦銀行総裁が、域内経済は年内はECBの支援を必要としてい るとの認識を示したことに反応した。

ユーロはスイス・フランに対しては7月1日以来の安値。ウェー バー総裁は、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、年末の 流動性不足を和らげるため、ECBは銀行を支援すべきだと説明した。 円は週間ベースでは主要16通貨中、15通貨に対して上昇の勢いと なっている。世界的な回復鈍化の兆候から、逃避先としての需要が高 まった。

ファン・エック・アソシエーツのポートフォリオマネジャー、エ リック・ファイン氏(ニューヨーク在勤)は、「このユーロの動きは 驚きではない」とし、「出口戦略に関する本格的な議論は2011年1 -3月になるとのウェーバー総裁の発言はどちらかと言えばハト派的 だ」と述べた。

ニューヨーク時間午後5時現在、ユーロはドルに対し前日比

0.9%安の1ユーロ=1.2712ドル。一時1.2664ドルと、7月13 日以来の安値を付ける場面もあった。円は対ユーロで1ユーロ=108 円83銭(前日は109円49銭)。一時108円26銭と、7月1日以 来の高値を付けた。

ユーロはスイス・フランに対し、1ユーロ=1.3143フラン(前 日は1.3233フラン)。一時1.3140フランを付けた。円の対ドル 相場は、0.3%安の1ドル=85円62銭。

株価下落

株式市場では、欧米ともに主要株価指数が下落。これに反応し、 ユーロは下げを加速した。

ウェーバー総裁は19日、フランクフルトでブルームバーグテレ ビジョンのインタビューに応じ、「出口戦略続行に関する議論の大半 は、第1四半期に集中して行われると考えている」と述べた。「手順 の正常化に向けた動きの再開が必要なことは明白だ」と付け加えた。

総裁の発言を受け、欧州債市場ではドイツの10年債と30年債 の利回りがともに過去最低に低下。独10年債利回りは一時、

2.26%まで下げ、30年債利回りは一時8ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)低下し、2.89%を下回った。

ブルームバーグの調査によれば、来週発表される4-6月(第2 四半期)の米実質国内総生産(GDP)改定値は、前期比1.4%増 と、速報値の同2.4%増からの下方修正が見込まれている。

モントリオール銀行のグローバル為替ストラテジスト、アンドル ー・ブッシュ氏(シカゴ在勤)は顧客リポートで、「米国で失業保険 申請件数が50万件に増加し、これが株式相場の重しとなるなか、リ スク回避への逆戻りでドルは主要16通貨すべてに対し上昇している」 と記した。

幅広い上昇

ドルは主要通貨すべてに対して値上がり。相対的な安全性から需 要を集めた。円は対ドルで一時上げていたものの、節目となる1ドル =85円の水準を上抜けられず、下げに転じた。

ウエストパック銀行のシニア通貨ストラテジスト、リチャード・ フラヌロビッチ氏(ニューヨーク在勤)は「市場は85円を大きく割 るような円買いには慎重だ。ドルはこの水準で底堅さを見せている」 と分析した。

◎米国株式市場:下落、ダウ平均とS&P500は2週連続安

米株式相場は続落。S&P500種株価指数は前週に続き週間ベー スで下落した。商品安を背景に石油会社や金属会社の株価が下げた。投 資家の間では景気回復が下降線をたどる可能性が懸念されている。

携帯端末「ブラックベリー」を製造するリサーチ・イン・モー ション(RIM)は下落。モルガン・スタンレーが同社の株式投資 判断を「アンダーウエート」に引き下げた。モルガンSはまた、コ ンピューターのヒューレット・パッカード(HP)の株価予想を引 き下げ、HP はダウ工業株30種平均銘柄の値下がりトップとなっ た。資源大手のフリーポート・マクモラン・カッパー・アンド・ゴ ールドと油田サービスのシュルンベルジェを中心に資源株が下げ た。

S&P500種株価指数終値は前日比0.4%下落の1071.69。 週間では0.7%下げた。ダウ工業株30種平均は57.59ドル (0.6%)安の10213.62ドル。週間ベースでも下落し、両指数とも 7月2日以来で初の2週連続安となった。終値ベースでは7月21日以 来の安値だった。

ラッセル・インベストメンツの主任市場ストラテジスト、ステ ィーブン・ウッド氏(ニューヨーク在勤)は、「信頼感が失われて いる」と述べ、「経済統計は失望を誘う内容であり、速報値から修 正された統計の中にはひどいものもあった。市場は成長を求めてい る」と続けた。

S&P500種は4月に記録した年初来の高値から12%下落し た。各社が発表する四半期利益はアナリスト予想を上回っているが、 米景気回復のペースが減速している兆候が示され、投資家はこれを 懸念している。

前日の米株は、失業保険申請件数が昨年11月以来の高水準に 上昇したほか、フィラデルフィア連銀が発表した製造業景況指数も マイナスに落ち込んだのを売り材料に下落。

RIM、HP

RIMは3.5%安。モルガン・スタンレーは、RIMの投資判 断を「オーバーウエート」から「アンダーウエート」に引き下げた。 同社はRIMが他社との競争に伴い、予想より速いペースで市場シ ェアを失う可能性があることを示す兆候が増えていると指摘した。

HPは2.2%下落。モルガンは、株価を引き上げるためにHP はより積極的に株式を買い戻す必要があると指摘し、同銘柄の株価 見通しを56ドルと、従来予想の62ドルから引き下げた。

S&P500種の産業別10指数の中でエネルギー株が1.2%安 と、下げ率最大だった。素材株価指数も安い。この日は銅、金およ び原油はいずれも下落した。ドル上昇に伴い代替投資の魅力が後退 した。フリーポートは1%下げた。

今こそ買い

一方、インターネットベースの顧客管理ソフト販売最大手、セ ールスフォース・ドット・コムは17%高と、S&P500種銘柄の 中で値上がり率トップだった。セールスフォースの第2四半期決算 は、売上高と利益がアナリスト予想を上回った。新規顧客の獲得や 既存顧客からの追加発注などが業績を支えた。

資産家のケネス・フィッシャー氏は、景気減速懸念から株式相 場が下落すると見込まれている今こそ、買いの好機だとの認識を示 した。

米フィッシャー・インベストメンツ(カリフォルニア州ウッド サイド)の会長として350億ドルの資産運用に携わる同氏は、ブ ルームバーグラジオのインタビューで、「誰もが悲観的なときに私 は決して弱気にはならない」と述べ、「非常に悲観的な環境では株 式を保有するというのが私の考え方だ」と語った。

◎米国債市場:10年債、週間で4週連続高-逃避需要続く

米国債市場では10年債相場が週間ベースで4週連続上昇。2月以 降で最長の上昇局面となった。世界的な景気減速兆候を背景に逃避需要 が高まった。

2年債利回りは過去最低に低下し、10年債利回りは2009年3 月以来の最低となった。欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバー のウェーバー独連銀総裁の発言が買いを誘った。同総裁はECBが緊 急の融資措置を年末まで維持する必要があるかもしれないと述べた。 プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)18社のうち米 国債相場に最も弱気だったモルガン・スタンレーは、米国債利回りが 今年上昇するとの同社の予測が間違いだったことを認めた。

バークレイズの金利ストラテジスト、マイケル・ポンド氏は「上 昇には勢いがあるようだ」と述べ、「米連邦準備制度理事会(FRB) が量的緩和を強める可能性もある」と話した。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後3時13分現在、10年債利回りは2.61%。前週末の2.67% から6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。10年 債価格(表面利回り2.625%、償還2020年8月)は前週末比 16/32上昇の100 3/32。利回りは前日比では3bp上昇。3日ぶ りの上げとなった。過去4週間では38bp低下した。

2年債利回りは前日比ほぼ変わらずの0.49%。一時は

0.4547%まで低下し、過去最低を更新した。30年債利回りは前週 末比19bp低下の3.66%。

MSCI世界指数は2日連続で下落。比較的安全とされる政府債 への需要が高まった。

独30年債利回りは過去最低まで低下。ウェーバー総裁の発言は ECBが一部の予想よりも長く域内の銀行を支援するものと受け止め られた。

「買いの青信号」

ジェフリーズ・グループのチーフ・テクニカル・ストラテジスト、 ジョン・スピネロ氏(ニューヨーク在勤)は顧客向けリポートで、 「米国とECBの当局者が必要に応じて追加の刺激策や量的緩和を実 施する用意があると示唆しており、相場は極端な上昇局面を経てもな お押し目買いの青信号は灯ったままだ」と語った。

2年債と10年債の利回り差は2.09ポイントに縮小した。今週 は過去およそ1年4カ月で最小となる2.06ポイントまで縮小する場 面もあった。

オバマ政権の8620億ドル規模の刺激策やFRBによる追加の資 産購入にもかかわらず、米国債利回りは低下傾向が続いている。ノバ スコシア銀行の米国債トレーディング責任者、チャールズ・コミスキ ー氏(ニューヨーク在勤)はこれについて、「市場は成長重視の政策 とはみなしていない」と指摘。「これらは異常な数字で、異常な時代 だが、市場は真実を語っている」と述べた。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの指数によると、米国債 の年初からの投資収益率はプラス8.2%。株安を受けた安全への逃 避が活発化した。前年はマイナス3.7%だった。

モルガン・スタンレー

モルガン・スタンレーの米金利戦略責任者、ジェームズ・キャロ ン氏は19日付の顧客向けリポートで、「当社は金利に関して予想を 誤り、米国債をロング(買い持ち)にする今年の素晴らしい機会を逃 した」と認めた上で、「市場には現在、相対価値に注目した戦術的な 取引の機会が多々あり、当社は今後、そこに注力していく」と説明し た。

モルガン・スタンレーは米経済が力強さを増し、民間の信用需要 につながり、株価が上昇すると予想。その結果、米国債の逃避需要が 弱まり、利回りが上昇するとみていた。昨年12月、同社は10年債 利回りが5.5%まで上昇するとの見通しを示した。その後、5月に

4.5%に下方修正し、前週には3.5%まで引き下げていた。

◎金先物市場:3週間ぶり大幅安、景気回復減速の兆しで

ニューヨーク金先物相場は3週間ぶりの大幅安。景気回復減速の兆 しから、投資家が現金を保有するために金など商品や株を売った。

世界的に株価が下落。19日に発表された米新規失業保険申請 が増加し、フィラデルフィア連銀景況指数がマイナスに落ち込んだ ことから、米経済がリセッション(景気後退)に逆戻りしつつある との懸念が高まった。来週発表される米住宅統計はさらに悪化が見 込まれ、日本の輸出額は減少、独景況感も低下したと予想されてい る。商品19銘柄で構成するロイター・ジェフリーズCRB指数は 7月29日以来の低水準まで下げた一方、ドルは上昇した。

インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズのヘッドデ ィーラー、フランク・マギー氏(シカゴ在勤)は、「金は他のすべ ての商品とともに下げている」と指摘。「株安をきっかけに、換金 目的の資産売却が見られる」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先 物相場12月限は前日比6.60ドル(0.5%)安の1オンス=

1228.80 ドルで取引を終了。中心限月としては7月27日以来の 大幅安となった。週間ベースでは1%上昇した。

◎原油先物市場:6週間ぶり安値、米景気回復足踏みの兆しで

ニューヨークの原油先物相場は6週間ぶりの安値まで下落。米新規 失業保険申請の増加で、石油の最大消費国である米国で景気回復が足踏 みしているとの懸念が強まった。

原油は一時1.7%安。米労働省が19日発表した14日に終わっ た1週間の新規失業保険申請件数は増加、昨年11月以来の高水準を 記録した。米エネルギー省(DOE)が18日に発表した13日終了 週の在庫統計によると、原油と燃料を合わせた在庫合計は少なくとも 1990年以来の高水準に増加した。

BNPパリバ・コモディティ・フューチャーズのブローカー、ト ム・ベンツ氏は、「米経済統計は弱い内容が続いており、原油は最近 の安値からさらに下げた」と指摘。「在庫は20年ぶりの高水準にあ り、需要の伸びもあまり見込めない。需給要因を考えれば相場はまだ まだ高過ぎる」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は前日 比97セント(1.30%)安の1バレル=73.46ドルで取引を終了し た。一時は73.19ドルと、7月7日以来の安値を付ける場面もあっ た。週間ベースでは2.6%下げた。9月限はこの日が最終取引だった。

◎欧州株式市場:下落、自動車株に売り-デナ・ペトロリウムは上昇

欧州株式相場は下落。1カ月ぶりの低水準をつけた。自動車メーカ ーや建設会社の株を中心に売られた。エネルギー企業は買収に向けた動 きが好感され、値上がりした。

フランス自動車部品ヴァレオとイタリアの自動車メーカー、フ ィアットが下落。仏建設資材会社サンゴバンを中心に建設資材株は下 落した。スイスのセメントメーカー、ホルシムはアナリストによる株 価予想引き下げを材料に下落した。英石油・ガス会社デナ・ペトロリ ウムは上昇。韓国石油公社がデナに敵対的買収を仕掛けたことが手掛 かりだった。

ストックス欧州600指数は前日比0.7%安の252.15。週間 ベースでは1.3%下げた。前日は米週間失業保険申請件数が9カ月 ぶりの高水準に増加したほか、フィラデルフィア連銀が発表した同地 区の製造業景況指数の落ち込みが嫌気され、欧州株が下落した。

シティ・インデックスの市場ストラテジスト、ジョシュア・レ イモンド氏は「米国で発表される経済統計の内容が景気の弱さを示唆 しており、投資家は景気回復が弱く緩やかなものになると懸念してい る」と述べ、「リスク志向は後退している。商いは最低限にとどまっ ており、値動きの多くは一段と大きく振れた」と述べた。

ヴァレオは2.5%下落。ドイツのポルシェは1.6%値下がり した。フィアットは2.2%安。

デナは6.1%高。韓国石油公社はデナへの友好的買収提案が 拒否されたことを受け、同社に対する総額18億7000万ポンドの 敵対的株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。

韓国石油公社の発表文によると、同社は1株当たり1800ペ ンスの買収額を提示。これはデナが拒否した買収提示額と同額だ。発 表によると、発行済み株式の計約49%を保有する株主から買収提案 を支持する趣意書を受け取ったという。デナは株主と転換社債(CB) 保有者に対し、行動を起こさないように呼び掛けた。

◎欧州債券市場:独30年債利回り、過去最低-緩和長期化の観測で

欧州債市場ではドイツ30年債利回りが過去最低を記録した。株安 に加え、世界景気の減速を示す経済データで、緩和的な金融政策は長期 化するとの観測が広がったことが背景にある。

独10年債利回りも過去最低まで下げた。欧州中央銀行(ECB) 政策委員会メンバーのウェーバー・ドイツ連邦銀行総裁は、来年1- 3月(第1四半期)まで待ってからECBは緊急の融資措置を解除す る時期を決定するべきだとの考えを示した。米セントルイス連銀のブ ラード総裁は前日の講演で、米国債の購入拡大が必要となる可能性に 言及した。

この日はギリシャとアイルランド、ポルトガルの国債相場が急落。 ウェーバー総裁がECBの国債購入についてあらためて反対の意向を 示したことが売り材料となった。

クレディ・アグリコルCIBの金利ストラテジスト、ピーター・ チャットウェル氏は、「世界的な見通しがますます曇る傾向が続いて いる」と述べ、「ブラード総裁の発言はこうした水準を当面維持でき る可能性を意味する。利回りをさらに押し下げるような材料が出てき ても驚かない」と続けた。

独30年債利回りは2.888%まで下げた後、ロンドン時間午後5 時14分現在は2.89%となった。同国債(表面利率3.25%、2042 年7月償還)価格は前日比1.555ポイント上げ107.37。

独10年債利回りは一時、前日比5ベーシスポイント(bp、1 bp=0.01%)低下し2.263%を付けた。ストックス欧州600指数 はこの日、前日比0.7%安となった。

ギリシャ債利回り

ギリシャ10年債利回りは12bp上昇の10.88%となり、同年 限のドイツ国債に対する上乗せ利回りは851bpと、前日から18b p拡大した。ギリシャ政府は20日、欧州連合(EU)とECBに対 し65億ユーロ(約7100億円)の融資供与を正式に要請した。緊急 融資プログラムに定められた目標を達成したとの評価を受けた措置。

◎英国債市場:上昇-2年債利回り0.611%、92年以来の最低

英国債相場は上昇。2年債利回りが過去最低を記録した。世界的な 景気回復鈍化への懸念を背景に、最も安全な資産とされる国債に対する 需要が高まった。

2年債利回りは0.611%まで下げ、ブルームバーグがデータ集計 を開始した1992年以来の最低を付けた。10年債利回りは前日比2ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.98%。10 年債 相場は週間ベースで6月以降、最大の上げとなった。

欧州証券アナリスト協会連合会(EFFAS)がまとめた指数によ ると、英国債のリターン(投資収益率)はプラス8.6%。これに対し、 ドイツ国債はプラス8.9%、米国債はプラス8.4%となっている。

ニューヨーク・ニューズルーム   1-212- 617-3007

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net Editor: Akiko Nishimae 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE