【日本株週間展望】円高懸念薄れ反発へ、下げ過ぎ修正し輸出に買い

8月第4週(23-27日)の日本株 は、反発が予想される。日本銀行が追加の金融緩和に動く可能性を意 識して為替市場で円高進行が一服し、採算悪化の懸念が和らぐ輸出関 連株を中心に買われそう。世界の株式相場のなかで下げが目立ってい た日本株が見直される公算が大きい。

BNPパリバ・インベストメント・パートナーズの清川鉉徳執行 役員は、「欧米発の突発的なネガティブ・ショックがなければ、目先は 行き過ぎた為替の円高修正が見込まれ、日本株はひとまず買い戻され やすい局面」と見ている。

8月3週の日経平均株価終値は前週末比74円(0.8%)安の9179 円と続落した。週初に発表された4-6月の実質国内総生産(GDP) が前期比年率0.4%増と事前予想中央値(2.3%増)を大きく下回った ことなどをきっかけに売りが先行、17日には9161円と終値ベースの 年初来安値を更新した。その後は日銀や政府の対策に対する期待感な どで持ち直したが、米国の経済指標悪化を受けた週末に再び売られた。

菅直人首相と日銀の白川方明総裁の会談が23日にも設定される との報道が相次ぎ、追加金融緩和や景気対策が近々打ち出されるとの 見方が広がっている。しんきんアセットマネジメント投信の藤本洋主 任ファンドマネジャーは「政策当局が景気失速や円高進行の阻止に向 けた姿勢を示すことに大きな意味がある。当局の対抗策が出れば投資 家の悲観は薄れ、少なくとも目先の株価にはプラス要因」と話す。

独自のマイナス材料

世界各国で景気回復鈍化が連動して進むなか、為替の円高進行が 輸出依存度の高い日本株に独自のマイナス材料となっている。年初か らの日米欧の株価騰落率(19日時点)を見ると、米ダウ工業株30種 平均が1.5%安、ストックス欧州600指数がほぼ横ばいなのに対し、 日経平均は11%下落。円高を主因とした日本株の劣勢が際立つだけに、 「為替さえ落ち着けば、自動車や電機など主力輸出業種中心に上昇し やすい」と、しんきんアセットの藤本氏は指摘している。

野村証券の岩澤誠一郎チーフ・ストラテジストは、バリュエーシ ョン面に着目すると「現在の日本株は企業業績が来年度に減益転換す るシナリオを織り込んでいる感がある」と分析した。過度の悲観論が 後退すれば日本株は割安修正が生じる公算が大きく、「底値圏にあると みられる景気敏感株(高ベータ株)の中で、商社や建機など新興国景 気に敏感な業種をオーバーウエートするのが目先は有効」と判断する。

東証1部の各投資指標は、予想PER(株価収益率)が足元で15 倍台と年初来最低、PBR(株価純資産倍率)は会社解散価値に当た る1倍近辺に落ち込み、予想配当利回りは今年最高水準の2.1%と、 そろって割安圏にある。

買いの力は限定的

もっとも、株価の反発力は弱そう。大和総研の渡辺浩志シニアエ コノミストは、いまの円高が輸出企業の収益を悪化させ、国内の雇用・ 所得環境にも悪影響を及ぼすまでに1年から1年半程度かかることを 考えると、「先行き警戒感から投資家が日本株を買う力は限られる」と の見方だ。

米バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチが毎月まとめ る世界のファンドマネジャー調査でも、8月は日本株をアンダーウエ ート(オーバーウエートを引いたネット)とする比率が7月から16 ポイント増加し27%となった。また、今後1年間に日本株を最もオー バーウエートしたい投資家は前月比8ポイント減のマイナス17%と、 9カ月ぶりに日本株が世界で最も投資魅力に乏しい市場になった。

海外投資家は、円高による日本経済への打撃に対する警戒感を根 強く持っている。同時に、BNPパリバの清川氏によると、民主党政 権では9月の党代表選まで思い切った対策を取りにくい現状も見透か しており、「乗数効果が大きく即効性のある公共事業の積み増しや、法 人税減税の早期実施を海外勢は催促している」という。

懐痛む個人

また、日経平均が年初来高値を付けた4月上旬以降に、「押し目買 いを入れてきた個人投資家の含み損が拡大しており、個人の買い意欲 が衰えている点も気掛かり」と、いちよし投資顧問の秋野充成運用部 長は話している。信用取引で株式を買った投資家の含み損益の度合い を示す信用評価損益率は、13日申し込み時点でマイナス17.1%と昨年 12月11日(マイナス17.5%)以来、約8カ月ぶりの水準に悪化した。

スケジュール面では、米国で24日に7月の中古住宅販売件数、25 日に7月の新築住宅販売件数、6月の米連邦住宅金融局(FHFA) による住宅価格指数、7月の耐久財受注など。欧州では、25日に独I fo経済研究所による8月の企業景況感指数の発表が予定されている。 日本では、25日に7月の貿易収支、27日には7月の家計調査や失業率、 消費者物価指数などの公表を控える。

市場関係者の間では米住宅関連指標への関心が高い。住宅購入者 向け税控除終了に伴う市場の落ち込みを背景に、7月の中古住宅販売 件数については、エコノミストの予測中央値が前月比14%減と大幅マ イナスが予想されている。

【市場関係者の当面の日本株見通し】 ●日興コーディアル証券・国際市場分析部の河田剛シニアストラテジ スト

「日経平均は9000-9400円のレンジを想定。米経済は回復にブレ ーキがかかっているような数字が出てきている。予定される中古住宅 販売件数や耐久財受注の結果も不透明感が漂い、下振れた場合は米国 株が敏感に反応する恐れがある。ただ、追加金融緩和がないと確定し ない限り、9000円は維持すると見る。業種別では、関連製品の在庫が 積み上がりを見せており、テクノロジー関連株が敬遠されそうだ」

●太田忠投資評価研究所の太田忠社長

「為替と米国株に左右され、企業のファンダメンタルズは関係な いという主体性のない相場だ。米企業の7-9月決算発表までカタリ ストがなく、急激な円高修正がない限り、こうした状況はあと2、3 カ月続くだろう。今は株式投資をする時期ではない。それでも個別銘 柄を買うなら、流動性がある優良株を安くなったときに拾い、最近の レンジの上限に近づいたらためらわずに売却することを勧める」

●中央証券株式部の大越秀行部長

「下振れる可能性の方が高い。米国で週末に発表される4-6月 のGDP改定値が下方修正されるとの懸念が出ている上、重要な住宅 関連統計の発表も相次ぐ。国内は政局が混迷を極め、日銀の追加の金 融緩和、政府の経済対策の取りまとめは9月の代表選まで出て来ない との見方が強い。1カ月先の首相が誰になるかも分らない国の株式は 買えず、本格的なリバウンドに入るのは難しい。ただ、低金利メリッ トの不動産株、高配当銘柄などは堅調に推移し、下値を支えよう」

--共同取材:長谷川敏郎、浅井真樹子、常冨浩太郎 Editor:Makiko Asai、Shintaro Inkyo

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