円が底堅い、米景気減速懸念で買い圧力-日銀の早期緩和観測は不発

東京外国為替市場では円が底堅く 推移し、対ユーロでは一時、約7週間ぶりの高値を付けた。日本銀行 による早期追加金融緩和の思惑から売りに押される場面もあったが、 米国の景気減速懸念を背景に株価が下落するなか、リスク回避に伴う 円買い圧力が根強く残った。

円は対ユーロで朝方に一時、7月1日以来の高値となる1ユーロ =109円2銭まで上昇。その後、正午にかけていったん109円62銭ま で反落したものの、円売りは続かず、午後には再びじり高となった。

みずほコーポレート銀行国際為替部の原田雄一朗参事役は「世界 経済の先行きの見方が完全に二分され、相場にこう着感が高まるなか、 日本の円高対応をめぐる観測に振り回されている」と解説。その上で、 日本の金融緩和政策は限界に近く、仮に追加的な措置があったとして も、円高トレンドを反転させ、円安トレンドを定着させるには力不足、 との見方を示した。

仙谷由人官房長官は20日午前、閣議後の記者会見で、菅直人首相 と日銀の白川方明総裁との直接会談の具体的な日程について言及を避 けたが、日銀とはこれまでも必要な意思疎通をしているとの認識を強 調した。

緊急会合観測再び

この日の東京市場は、米経済指標の悪化を受けた米国の金利低下 や株安を背景に円が買われた海外市場の流れを引き継いで始まった。

円は対ドルで1ドル=85円台前半で推移し、午前9時前後には一 時85円19銭まで値を切り上げる場面が見られた。その後、前日に続 いて、日銀がきょうにも臨時の金融政策決定会合を開くとの観測が浮 上すると円はじりじりと軟化。正午ごろには85円54銭まで値を切り 下げた。

しかし、うわさされた時刻になっても臨時会合は開かれず、円は 午後にかけて下げ渋る展開となった。

NTTスマートトレードの工藤隆市場情報部部長は、「前日に続 き日銀がきょうにも臨時の金融決定会合を開くとのうわさが出て、円 が売られた。うわさが本当でなければ再び円は買われる可能性はある が昨日の今日なので、市場も懐疑的になっており、インパクトはそれ ほど強くないだろう」と語っていた。

20日の東京株式相場は3日ぶりに反落。新規失業保険申請件数や 米フィラデルフィア連銀発表の同地区製造業景況指数など前日発表さ れた米指標の悪化が嫌気されたほか、為替の円高警戒も根強く、日経 平均株価は午後に一段安となった。

円高対策にらみ

野田佳彦財務相は午前の閣議後会見で、円高で推移している為替 相場を「重大な関心をもって」注視していく姿勢をあらためて示すと ともに、菅首相に来週会い、為替動向を中心に報告することを明らか にした。

一方、玄葉光一郎公務員制度改革担当相(民主党政調会長)は、 外為市場での円高の最大の要因は米連邦準備制度理事会(FRB)と 日銀の姿勢の違いだ、との認識を示した。

米セントルイス連銀のブラード総裁は19日の講演で、「経済の動 向に過剰なディスインフレリスクの強まりが示唆されるようになれば、 バランスシートを一定に維持する以上の規模で米国債を購入すること が妥当と考えられる」と述べ、日本型の物価下落を回避する必要性を 指摘した。

FRBは10日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、2009年3 月以来となる新たな景気浮揚策として、政府支援機関債や住宅ローン 担保証券(MBS)の償還資金を米国債に再投資することを決定。こ れに対し、日銀は同日の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決 めた。

19日の米国債市場では2年債利回りが過去最低を更新。みずほ証 券の林秀毅グローバルエコノミストは「来週も米国では耐久財受注や 住宅関連の指標が発表され、どちらかというと金利低下圧力がかかり やすい展開が予想される。ただ、米国の指標悪化、金利低下でドル安・ 円高圧力が強まれば、結局は日本から金融緩和などの円高対策が出て くるだろう。株に押されて今日にもやるのか、後手に回っていったん 円高に振れてから来週以降となるのかだ」と話していた。

ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.2800ドル前後で一進一退の展開 が続いたが、欧州市場に向けては1.28ドル台前半へややユーロが強含 む展開となっている。

--共同取材 関泰彦 Editor:Masaru Aoki, Hidekiyo Sakihama

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