8月19日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場:ドル、円、スイス・フランが上昇-逃避需要

ニューヨーク外国為替市場では、ドルと円、スイス・フランが 主要通貨の大半に対して上昇。米経済指標が市場予想を下回った ことを受けて、安全需要が高まった。

この日発表された米新規失業保険申請件数は市場予想を上回 り、米フィラデルフィア地区の製造業景況指数は予想外に低下した。 これに反応し、ドルはユーロに対して上昇。円はドルに対し一時

0.6%高の1ドル=84円90銭を付けた。この日早くは、円高抑制 に向け介入が実施されるとの観測から下げていた。スイス・フラン はドルに対し7カ月ぶり高値に上昇。

MFグローバル・ホールディングスのシニア市場ストラテジス ト、デニス・カジガス氏は「米経済統計の悪化を受けて、他の通貨 からドルへと質への逃避が見られる」と指摘。「リスク回避にやや 傾いている」と加えた。

ニューヨーク時間午後4時40分現在、ドルはユーロに対し前 日比0.2%高の1ユーロ=1.2823ドル。一時は0.4%安まで下げ る場面もあった。円はドルに対し0.1%高の1ドル=85円38銭。 スイス・フランは対ドルで1%上昇。

米株式市場では、S&P500種株価指数が前日比1.7%安とな った。

米労働省が発表した14日に終わった1週間の新規失業保険申 請件数(季節調整済み)は前週から1万2000件増加して50万件。 ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は 47万8000件だった。

フィラデルフィア連銀景況指数

フィラデルフィア連銀が発表した8月の同地区製造業景況指 数はマイナス7.7と、前月の5.1から大きく低下し、2009年7月 以来の低水準となった。同指数はゼロが拡大と縮小の境目を示す。

バークレイズの通貨ストラテジスト、アループ・チャタジー氏 は「リスクが材料になっている面が強い」と分析。「これらの経済 指標で景気の先行きに対する情報がさらに得られ、全体として弱気 な見通しが強まりつつある」と述べた。

スイス・フランの上昇

スイス・フランはドルに対し、1月19日以来初めて1ドル=

1.03フランを上抜け、一時1.6%高の1.0258フランを付けた。

BNYメロンの為替グループのマネジングディレクター、サマ ルジット・シャンカー氏は「投資家は安全を求め始めており、そう した安全需要が、ここ数週間スイス・フランにある程度安定して買 いが入っている大きな理由の1つだ」と語った。

三菱UFJ銀行は顧客向けリポートで、ユーロの下落を見込ん だ逃避先としてフランを買うよう勧めた。フランは1ユーロ=

1.2000フランまで上昇する可能性があると指摘している。

フランはこの日、1ユーロ=1.3206フランと、7月1日以来 の高値を付けた。

◎米国株式市場:下落、S&P500種は1カ月ぶり安値

米株式相場は下落。主要株価指数は1カ月ぶりの安値で引けた。 失業保険申請件数が昨年11月以来の高水準に上昇したほか、フィラ デルフィア連銀が発表した製造業景況指数も落ち込んだ。

複合電機のゼネラル・エレクトリック(GE)やアルミ生産の アルコア、住宅関連用品小売りのホーム・デポが下落。大型株への売 りが目立った。半導体のインテルも安い。同社はオンラインセキュリ ティソフトウエアのマカフィーを約76億8000万ドルで買収するこ とで合意した。一方のマカフィーは急伸した。米百貨店最大手シアー ズ・ホールディグスは下落。同社の四半期決算では、売上高がアナリ スト予想を下回った。

S&P500種株価指数は前日比1.7%下落の1075.63。ダウ 工業株30種平均は144.33ドル(1.4%)下落の10271.21ドル。 いずれも7月21日以来の安値だった。ダウ平均は構成銘柄すべてが値 下がりした。米証券取引所の騰落比率は1対6。

RBCウェルス・マネジメントの株式戦略ディレクター、フィ リップ・ダウ氏は、「市場参加者はフラストレーションを感じている」 と述べ、「企業利益が好調にもかかわらず、経済統計は予想よりも悪 い内容だ。投資家は景気動向をみながら、株を保有すべきなのか自問 している」と続けた。

失業保険申請件数

朝方発表された2種類の経済統計を嫌気し、売りが先行した。

米労働省が発表した14日に終わった1週間の新規失業保険申請 件数(季節調整済み)は前週から1万2000件増加して50万件、昨 年11月以来で最多だった。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコ ノミスト予想の中央値は47万8000件だった。

フィラデルフィア連銀が発表した8月の同地区製造業景況指数は マイナス7.7と、前月の5.1から大きく低下し、2009年7月以来 の低水準だった。

ヘイバーフォード・トラストの最高投資責任者(CIO)、ハン ク・スミス氏は、「景気回復が停滞している」と述べ、「今の回復局 面を持続可能とみなすには、雇用の改善が必要だ」と指摘した。

S&P500種産業別指数

S&P500種の産業別10指数はいずれも下落。特に金融株や素 材株は売りを浴びた。

GEは2.9%安。アルコアは2.5%の値下がり。ホーム・デポ も2.2%下げた。

シアーズは9.2%下落と、S&P500種銘柄の中で値下がり率 最大。同社の5-7月(第2四半期)決算は売上高が1%未満減少し て105億ドル、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均の106 億ドルに及ばなかった。

インテルは3.5%安でダウ平均構成銘柄の中で最大の下げ。イン テルの発表によると、マカフィーの株主は1株当たり48ドルを受け取 る。これはマカフィー株の18日終値を60%上回る水準。この日、マ カフィーの株価は57%急伸した。

◎米国債市場:2年債利回り過去最低、一時0.48%割れ

米国債市場では2年債利回りが過去最低を更新した。フィラデルフ ィア連銀の製造業景況指数が低下し、新規失業保険申請件数が予想外に 増加したため、回復腰折れへの懸念が強まった。

フィラデルフィア連銀の製造業景況指数は予想外にマイナスとな り、2009年以来の低水準。これをきっかけに2年債利回りは

0.48%を割り込んだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は今週再開 した国債購入プログラムの一環として、この日は36億900万ドル の米国債を購入した。セントルイス連銀のブラード総裁はディスイン フレ傾向が強まれば、米国債購入の拡大による一段の量的緩和が必要 になると発言した。

クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、アイラ・ジ ャージー氏は、「フィラデルフィア連銀指数と失業保険申請件数がと もに予想より悪い内容となり、景気の二番底や成長鈍化、デフレの可 能性への懸念が高まった」と説明。「2年債利回りは年末までに

0.40-0.44%に低下するだろう。今後2年間は金利据え置きが予想 されているためだ」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時12分現在、2年債利回りは1ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)低下の0.49%。一時は0.4715%と、財務省が 1975年に定例入札を始めて以来の最低水準をつけた。30年債利回 りは8bp低下の3.65%。一時は3.62%と、2009年4月以来の水 準まで低下した。

財務省は来週、2、5、7年債の入札を実施する。発行総額は 1020億ドルと、4カ月連続の減少。

フィラデルフィア連銀指数はマイナス7.7と、前月の5.1から 大きく低下。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査 の予想中央値は7への上昇だった。同指数はゼロが拡大と縮小の境目 を示す。

先週の失業保険申請件数は市場予想に反して増加、昨年11月以 来の高水準を記録した。

モルガン・キーガンの債券セールス・トレーディング・調査責任 者、ケビン・ギディス氏は顧客向けリポートで、「これは明らかに労 働市場の後退を示すものだ」と指摘。「トレーダーは相場の長期見通 しに自信を持っており、短期的な値動きはさほど気にしていない」と 付け加えた。

米国債購入

FRBは17日に始めた今回の米国債購入プログラムで、この日 の分を含め61億6000万ドル相当を購入した。FRBは公開市場操 作用口座、システム・オープン・マーケット・アカウント(SOMA) を8月4日時点での約2兆540億ドルで維持する方針を示している。

ブラード総裁は「経済の動向に過剰なディスインフレリスクの強 まりが示唆されるようになれば、バランスシートを一定に維持する以 上の規模で米国債を購入することが妥当と考えられる」と述べた。

ソシエテ・ジェネラルの米国債トレーダー、ショーン・マーフィ ー氏は、「弱い経済指標が続いている」と指摘。「経済が二番底を付 けにいくとの見方を支持するものだ」と述べた。

14日に終わった1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み) は前週から1万2000件増加して50万件。失業保険の継続受給者数 が減少した一方、緊急失業保険給付制度(ECU)に移行した受給者 とECUも使い切って延長給付を受給している受給者は増加した。

米民間調査機関コンファレンス・ボードが発表した7月の米景気 先行指標総合指数(LEI)は前月比0.1%上昇と、ブルームバー グ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値と一致した。6月 は前月比0.3%低下。

腰折れ懸念

米国債は今年、景気回復が腰折れするとの懸念を背景に上昇して いる。

7月31日―8月9日にエコノミスト67人を対象に実施した調 査では、今年下半期の米実質国内総生産(GDP)伸び率予想は平均 で2.55%と、7月の調査結果2.8%から下方修正された。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのデータによると、世界 ソブリン債指数の年初からの投資収益率は5.9%。安全性を求める 資金が国債に流れた。一方、MSCI世界指数(配当再投資後)はマ イナス2.2%。社債はプラス8.1%となっている。

◎金先物市場:7週ぶり高値、失業保険申請の増加で逃避需要

ニューヨーク金先物相場は上昇。米失業保険申請が予想に反し て増加したことで景気減速への懸念が強まり、金は逃避先としての 需要から7週間ぶりの高値を付けた。

米労働省が発表した14日に終わった1週間の新規失業保険申 請件数は前週から1万2000件増加して50万件と、ブルームバー グ・ニュースがまとめたエコノミスト予想を上回った。世界経済が 成長の勢いを失いつつある兆しから、金は年初から13%上昇して おり、株のパフォーマンスを上回っている。

ガムコ・ゴールド・ファンドで運用に携わるシーザー・ブライ アン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「先行 き不透明感は極めて強く、景気回復はまだらだ」と指摘。金は「複 数年にわたる強気市場に入っている。相場は上昇するだろう」と加 えた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先 物相場12月限は前日比4ドル(0.3%)高の1オンス=1235.40 ドルで取引を終了。一時は1239.50ドルと、中心限月としては7 月1日以来の高値を付けた。

◎原油先物市場:下落、米経済統計で回復失速を懸念-74.43ドル

ニューヨークの原油先物相場は下落。米失業保険の申請件数が 増加したほか、フィラデルフィア地区の製造業活動が縮小したこと で、石油の最大消費国である米国で景気の回復ペースが失速しつつ あるとの懸念が強まった。

原油は一時1.9%安。米労働省が発表した先週の新規失業保険 申請件数は予想に反して増加し、昨年11月以来の高水準を記録し た。また、フィラデルフィア連銀が発表した8月の同地区製造業景 況指数は前月から低下し、2009年7月以来の低水準となった。米 エネルギー省(DOE)が18日に発表した13日終了週の在庫統 計によると、原油と燃料を合わせた在庫合計は少なくとも20年ぶ りの高水準に増加した。

エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイ ン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ 氏は、「雇用状況の暗さと、記録的高水準にある原油と燃料の在庫 合計が今後もエネルギー相場を圧迫する」と予想。「フィラデルフ ィア連銀景況指数が悪かったことも景気の力強さに対する懸念を 一段と強めた」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は前 日比99セント(1.31%)安の1バレル=74.43ドルで取引を終 了。一時は73.96ドルまで下げる場面もあった。

◎欧州株式市場:4週ぶり安値、米経済指標悪化で景気懸念

欧州株式市場では、ストックス欧州600指数が4週間ぶり安 値に下落。米新規失業保険申請件数が9カ月ぶり高水準となったほ か、フィラデルフィア地区の製造業景況指数が低下したことで、米 経済が再びリセッション(景気後退)に陥るとの懸念が高まった。

セメントメーカー2位、スイスのホルシムなど建設関連の銘柄 が大きく売られた。同社の4-6月(第2四半期)決算は、純利益 が市場予想を下回った。水処理の英ペノン・グループやユナイテッ ド・ユーティリティーズ・グループも安い。投資判断の引き下げが 嫌気された。英石油大手BPと鉱業大手ベダンタ・リソーシズは、 商品価格の下落を受けて値下がりした。

ストックス欧州600指数は前日比1.4%安の253.9で終了。 一時は、ドイツ連邦銀行(中央銀行)が2010年の独成長率予想を 上方修正したことに反応し、0.7%高まで上げる場面もあった。

コムインベスト・アセット・マネジメントのポートフォリオ戦 略部門責任者、トーマス・ティルゼ氏(フランクフルト在勤)は、 ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「われわれは短期 的に株式には慎重だ」と説明。「困難な時期になるだろう。消化す べき材料がまだいくつか残っている。例えば、欧州の財政政策は調 整が必要だ」と語った。

ホルシムは6.3%安。ユナイテッド・ユーティリティーズは

2.9%下落。ペノンは3.5%下げた。

BPは2.7%下落。ベダンタ・リソーシズは4.8%値下がり。

◎欧州債券市場:ドイツ債上昇、10年債利回りは過去最低

欧州債市場ではドイツ国債相場が上昇。独10年債利回りが過 去最低を記録した。米国の景気鈍化を示す経済データが世界的な景 気減速懸念につながり、域内で最も安全とされるドイツ国債に対す る需要が高まった。

独30年債利回りは2日連続で3%を下回る水準にとどまった。 米フィラデルフィア連銀が19日に発表した8月の同地区製造業景 況指数が予想に反して低下した。また、先週の米失業保険申請件数 は1万2000件増の50万件となった。アナリスト予想では47万 8000 件への減少が見込まれていた。

BNPパリバの金利ストラテジー責任者、パトリック・ジャッ ク 氏(パリ在勤)は、フィラデルフィア連銀の製造業景況指数が 「最悪の予想よりもはるかに悪い内容だったのは明らかだ」と述べ、 「こうした指標が、米国を含めて全世界で成長鈍化とインフレ低下 のシナリオを支える要因となっている。これは国債にとっては好材 料だ」と付け加えた。

ロンドン時間午後5時半現在、独10年債利回りは前日比5ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.302%と、過 去最低となった。同国債(表面利率2.25%、2020年9月償還) 価格は0.4ポイント上げ99.535。30年債利回りは2.97%と、前 日から3bp低下した

◎英国債市場:2年債利回り過去最低、10年債は3%割れ

英国債相場は上昇。2年債利回りが過去最低を記録したほか、 10 年債利回りは昨年3月以来の3%割れとなった。英政府の財政 赤字が減少したことが背景にある。

2年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)低下の0.66%。一時は0.646%まで下げ、ブルームバ ーグがデータ集計を開始した1992年以来の最低を付けた。10年 債利回りは2.99%まで下げた後、前日比3bp低下の3%となっ た。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)のメリルリンチ部門がまと めた国債指数によれば、英国債の年初来のリターン(投資収益率) はプラス8.4%。これに対しドイツ国債はプラス8.7%となってい る。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net Editor:Tsuneo Yamahiro, Akiko Nishimae 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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