ドイツにインフレ脅威なし、30年債利回り3%割れはデフレ方向を反映

ドイツのメルケル政権は、帝 政時代、2つの世界大戦、近代債券市場の発展の時期を通じて実現 したことのなかったものを、ドイツにもたらした。期間30年で3% 未満という低金利だ。

19日の欧州債市場で、ドイツ30年物国債の利回りは前日に 続き3%を割り込んだ。18日は過去最低となる2.96%まで低下 した。国際通貨基金(IMF)によれば、ドイツの今年の消費者物 価は世界景気回復の弱さを背景に、0.9%の上昇にとどまる見込み だ。これは1980年以降の平均の半分以下。

200億ドル(約1兆7110億円)相当の資産運用に携わるフラ ンクフルト・トラストの資産配分責任者、クリストフ・キント氏は 「デフレのリスクはインフレリスクよりもはるかに現実味がある」 として、「利回り動向は、環境がデフレへと向かいつつあることを 明確に反映している。インフレ加速のリスクがあるなら、誰も長期 債を買わないだろう」と話した。

1923年にドイツ経済を破壊した「ハイパーインフレ」の記憶 が、第二次世界大戦後の金融政策の方向を決めた。しかし現在の国 債相場は、デフレの方が景気安定に対するはるかに大きな脅威であ ることを示唆している。

フランクフルト時間19日午前11時24分(日本時間午後6 時24分)現在、30年物国債の利回りは前日比3ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)上昇の3.005%。

伝統

1920年代に超インフレがワイマール共和国への信頼を揺るが せた歴史を踏まえ、ドイツ連邦銀行(中銀)がインフレとの闘いの 先駆者となった。この伝統の中で、各国中銀は物価下落を心配する ことに慣れていない。

欧州国際政治経済研究所(ECIPE)のディレクター、フレ ドリック・エリクソン氏は「インフレとの闘いは古くからの独連銀 的な思考で、ドイツの銀行家の遺伝子にはこれが組み込まれている。 過去20年の間に、この考え方が他の多くの中銀に広がった」と解 説した。

米国でも、債券ファンド大手のパシフィック・インベストメン ト・マネジメント(PIMCO)が同国経済のデフレ入りの確率が 25%あるとみており、米2年債利回りは過去最低を更新している。

PIMCOのモハメド・エラリアン最高経営責任者(CEO) は、企業が手元資金を厚くし個人が貯蓄に励む中、当局はデフレと の闘いで苦戦するだろうと指摘している。

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