8月18日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場:円は対ユーロ6週ぶり高値付近-景気失速懸念で

ニューヨーク外国為替市場では、円がユーロに対し約6週間ぶり 高値に近づいた。対ドルでも上昇。世界的に景気回復が勢いを失い つつあるとの懸念から、逃避先としての需要が高まった。

米国の景気減速で米連邦準備制度理事会(FRB)が債券購入を 増やすとの観測が広がり、日本が円高抑制に向け介入に踏み切るとの 懸念が後退したことから、円が買い進まれた。経済成長との関連性が 強い通貨の一角も値上がりした。住宅建設や商品関連の企業買収が増 加するとの観測から、株式相場が上昇に転じたことが材料視された。

コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジの主任市場アナリ スト、オマー・エシナー氏は、「世界の景気見通しに対して投資家が 懸念を深めていることから、リスクテークはなお抑制されている」と 指摘。「きょうの円上昇は大きな驚きではない」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時25分現在、円はユーロに対し1ユー ロ=109円85銭と、前日の110円19銭から0.3%高。前日は 109円7銭と、7月1日以来の高値を付ける場面があった。対ドル では0.1%上げて1ドル=85円47銭(前日85円53銭)。ドルは 対ユーロで0.3%上昇し、1ユーロ=1.2853ドル(前日1.2885 ドル)。

この日の米株式相場は午後に上昇に転じ、S&P500種株価指 数は0.7%高を付ける場面もあった。これを手掛かりに、円は上げ を縮小した。

M&A観測

シティグループは、住宅建設業界でM&A(企業の合併・買収) が増えると予想した。英・オーストラリア系の鉱山会社BHPビリト ンは、カナダの肥料メーカー、ポタシュに400億ドル(約3兆4200 億円)規模の敵対的買収を仕掛けた。これを受けて商品関連企業のM &A観測が高まり、カナダ・ドルを押し上げた。カナダは輸出収入の 約半分を原材料が占める。

カナダ・ドルは米ドルに対し、一時0.5%高の1米ドル=

1.0271カナダ・ドルと、約1週間ぶり高値を付けた。その後は

0.2%高の1.0302カナダ・ドル。

ウェルズ・ファーゴの通貨戦略責任者、ニック・ベネンブローク 氏(ニューヨーク在勤)は、「BHPがポタシュを買収することにな れば、オーストラリア・ドルを売って、カナダ・ドルを買う可能性が 考えられる」と述べた。

米ドルに対しては、主要通貨の中ではニュージーランド(NZ) ドルが0.3%高と最も上昇。一方、ノルウェー・クローネとオース トラリア・ドルは大きく下落。下落率はそれぞれ0.5%、0.8%と なった。

FRBの債券購入

米セントルイス連銀のブラード総裁は、インフレ率の低下が続い た場合、FRBは米国債を適度に購入する計画を始める必要があるか もしれないと述べた。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、 オンライン版)が17日、インタビューを基に伝えた。7月の米消費 者物価指数(CPI)は、食品とエネルギーを除いたコア指数が前年 同月比で0.9%上昇と、40年ぶり低水準にとどまっている。

FRBは17日、25億5100万ドル規模の米国債買い切りオペ を実施。19日には償還期日2016年8月から20年8月までの米国 債を購入する計画だ。

グッゲンハイム・パートナーズの米金利トレーディング責任者、 トーマス・ディガロマ氏は、「これから秋までの間に経済指標が悪化 した場合、FRBは本格的な量的緩和策を開始するだろう」と予想し た。

◎米国株式市場:上昇、M&A観測で買い-エネルギー株下落を相殺

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は3日続伸した。原油 安を背景にエネルギー株が値下がりしたが、住宅建設会社や資源関連企 業をめぐる買収観測を手掛かりに上昇した。

住宅建設のライランド・グループとメリテージ・ホームズはい ずれも上昇。シティグループが住宅建設業界の統合が進むと予測した のが材料だった。肥料メーカーのポタシュは続伸。同社に買収案を提 示した英豪系資源会社BHPビリトンが買収提示額を引き上げるとの 観測が広がった。鉄鋼のUSスチールも高い。同業の欧州アルセロー ル・ミタルがUSスチール買収を検討する可能性があるとの情報が買 いを誘った。

一方、石油のエクソンモービルは下落。米石油在庫が20年ぶり の高水準に増加して嫌気された。

S&P500種株価指数は前日比0.2%上昇の1094.16。一時 は0.6%安となる場面もあった。ダウ工業株30種平均は9.69ドル (0.1%)上昇の10415.54ドル。

フィデュシャリー・トラスト(ボストン)のマイケル・マレー ニー氏は、「綱引きの状態だ」と述べ、「企業のバランスシートには 手持ち資金が豊富にある。M&A(合併・買収)や株式買い戻しに充 当されるだろう。BHPは買収提示額を上乗せする可能性がある。景 気見通しはやや曇っているように見受けられるが、決算を発表した企 業の過半数は良好な業績を出している」と続けた。

S&P500種は4月23日に記録した年初来の高値から10%下 落した。各社が発表する四半期利益はアナリスト予想を上回っている が、米景気回復のペースが減速している兆候が示され、投資家はこれ を懸念している。

ブルームバーグのまとめたデータによると、7月12日以降に四 半期決算を発表したS&P500種銘柄447社のうち、利益がアナリス ト予想を上回ったのは約4分の3に達した。

ポタシュは3.3%高の147.93ドル。BHPはポタシュの株主 に対し、1株につき130ドルでの買い取りを提案した。この日の終値 が提示額を上回ったことで、BHPはポタシュ取得に一段の買収額引 き上げを迫られる可能性がある。マッコーリー・グループはBHPが提 示額を最大165ドルに引き上げる可能性があると指摘した。

住宅建設株

この日のS&P500種住宅建設株は1.8%高。構成12銘柄い ずれも値上がりした。米シティグループのアナリストによると、米住 宅建設会社の合併が今後増加する可能性がある。新築需要の低迷や米 景気回復のもたつきを背景に住宅建設業者が合併し、市場シェアを拡 大するのが狙いだ。

シティのアナリスト、ジョシュ・レビン氏は18日、顧客向け リポートで、ライランド・グループやメリテージ・ホームズ、ビーザ ー・ホームズUSAが最も買収の標的になりやすいだろうと指摘した。 D.R.ホートンやKBホーム、MDCホールディングス、さらにパ ルトグループが買い手側になる可能性があるという。

ライランドは3.8%高、メリテージは5.1%値上がりした。

USスチール、エクソンモービル

USスチールは4.8%上昇。アルセロール・ミタルがUSスチー ル買収を検討する可能性があると業界ブログのベンジンガが伝えたの が手掛かり。アルセロールとUSスチールの広報担当者はいずれもコ メントを避けた。

石油のエクソンは1.1%安。同業のシェブロンも0.9%下げた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は

0.5%安の1バレル=75.42ドルで取引を終了した。一時は73.83 ドルと、7月7日以来の安値を付ける場面もあった。米エネルギー省 (DOE)のエネルギー情報局(EIA)が発表した13日終了週の在 庫統計によると、原油と燃料を合わせた在庫は534万バレル増の11 億3000万バレルだった。

◎米国債市場:30年債上昇、FRBが国債購入を拡大との観測

米国債市場では30年債が上昇。利回りは1年4カ月ぶり低水準 付近に下げた。景気減速から米連邦準備制度理事会(FRB)が国債 購入を拡大するとの思惑を背景に、米国債のなかで最も利回りが高い 30年債を求める動きが強かった。

FRBは19日に償還期日2016年8月から20年8月までの 米国債を購入する計画だ。借り入れコストの低下を狙い、17日に は25 億5100万ドルを買い入れた。米連邦公開市場委員会(FO MC)は10日の声明で、住宅ローン担保証券の償還金を使い米国 債に再投資する方針を打ち出した。米国債購入は昨年10月以来で 初めて。株式の上昇に伴い、短期国債は上げ幅を消した。

ジェフリーズのシニア金利トレーダー、クリスチャン・クーパ ー氏は「FRBは現実に国債を購入する必要がある。こうした市場 参加者の認識の変化が相場を支えている。デフレが引き続き懸念材 料になるようなら、長期債の方が上昇するだろう」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後3時52分現在、30年債利回りは3ベーシスポイント(b p、1bp=0.01%)低下の3.74%。一時は3.68%と、2009 年4月以来の最低となった。同年債(表面利率3.875%、2040年 8月償還)価格は1/2上げて102 14/32。

10年債利回りは前日比ほぼ変わらずの2.64%。2年債利回り は変わらずの0.5%。前日につけた過去最低の0.48%近くにとど まった。

量的緩和

ゴールドマンの米国担当チーフエコノミスト、ジャン・ハッチ ウス氏は18日付の顧客向けリポートで、FRBが打ち出した資産 購入計画と「長期にわたり」異例の低金利を続けるという文言の影 響で、10年債利回りが約45bp低下したと指摘した。

スタイフェル・ニコラスのボルティモア部門で政府債トレーデ ィング責任者を務めるマーティン・ミッチェル氏は「われわれはま だ、量的緩和あるいはその可能性のある新たな時代への適応過程に ある。失業保険統計が現在の水準にとどまるようなら、FRBが行 動を取らざるを得なくなると市場は認識し、買いを入れ続けるだろ う」と述べた。

ブルームバーグの調査によると、19日発表の失業保険統計で は7日に終わった週の継続受給者数が450万人と、前週の445万 人からの増加が見込まれている。14日に終わった週の新規失業保 険申請件数は47万8000件(前週は48万4000件)が予想されて いる。

来週の入札

ブルームバーグがプライマリーディーラー(政府証券公認ディ ーラー)7社を対象に実施した調査によれば、来週の米国債入札の 規模は2年債が370億ドル、5年債が360億ドル、7年債は290 億ドルが予想されている。予想通りとなれば、発行額は2年債と5 年債が少なくとも過去1年で最小、7年債は前回入札と並ぶ。イン フレ連動国債(TIPS)の予想規模は70億ドル。財務省は19 日に発行額を発表する。

◎金先物市場:3日続伸、安全への逃避買いが続く

ニューヨーク金先物相場は3日続伸。安全への逃避先としての買い が続いた。

17日に集計されたデータによると、世界の金連動型ETF(上場 投資信託)の金保有量は5日連続で増加し、6月30日以降で最長の伸 びを示した。金融市場の混乱や通貨下落に対するヘッジ買いで、金は6 月にはオンス当たり1266.50ドルと、過去最高値を付けた。

ETFセキュリティーズの米国営業・マーケティング責任者のウイ リアム・リンド氏は、「金への資金配分を増やしている投資家は多い」 と述べ、「経済成長をめぐる先行き不透明感から、安全への逃避が再び 活発になっている」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物相 場12月限は前日比3.10ドル(0.3%)高の1オンス=1231.40 ドルで取引を終了。

◎原油先物市場:1カ月ぶり安値、在庫統計を嫌気-75.42ドル

ニューヨークの原油先物相場は下落。先週の米在庫統計で原油と燃 料の在庫合計が少なくとも20年ぶりの高水準に増加したことを手掛か りに、1カ月ぶりの安値まで売り込まれた。

米エネルギー省(DOE)のエネルギー情報局(EIA)が発 表した13日終了週の在庫統計によると、原油と燃料を合わせた在 庫は534万バレル増の11億3000万バレル。ヒーティングオイル (暖房油)とディーゼル油を含む留出油在庫は1983年以来の高水 準に達した。原油とガソリンを合わせた在庫は減少幅がアナリスト 予想よりも小幅となった。燃料需要は増加した。

シティ・フューチャーズ・パースペクティブ(ニューヨーク) のエネルギーアナリスト、ティム・エバンス氏は、「在庫は通常減 少する時期に増加しており、過剰在庫の状況に拍車がかかっている」と 指摘。「需要は改善しているが、それよりも早いペースで在庫が増えて いる」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は前 日比35セント(0.46%)安の1バレル=75.42ドルで取引を終了 した。一時は73.83ドルと、7月7日以来の安値を付ける場面もあっ た。

◎欧州株式市場:5営業日ぶりに下落、ベスタスなどエネルギー株安い

欧州株式相場は5営業日ぶりに下落。エネルギー株が下げの中心と なった。風力タービン製造最大手、デンマークのベスタス・ウインド・ システムズが売上高見通しを下方修正したほか、世界最大の鉱山会社、 英・オーストラリア系のBHPビリトンがカナダの肥料メーカー、ポタ シュに400億ドル(約3兆4200億円)規模の敵対的買収を仕掛けた ことが材料視された。

ベスタスは23%安。BHPビリトンはポタシュの株主に対し、 1株につき現金130ドルでの買い取りを提案したことを手掛かり に3.4%下げた。また、英資産運用会社ヘンダーソン・グループは

4.9%安。同社が発表した1-6月(上期)決算は利益がアナリス ト予想を下回った。

ストックス欧州600指数は前日比0.3%安の257.6と、4月 に付けた年初来の高値を5.3%下回る水準で取引を終了した。欧州 政府による財政赤字削減が難航するとの懸念に加え、米景気回復が 足踏みしているとの見方が背景にある。

バンク・ジュリアス・ベアの世界調査戦略責任者クリスチャ ン・ガティカー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビュー で「夏場であること、また債券市場で新規発行が活発化しつつある ことを考慮すれば、戦略上、急いで株に向かう必要はない」と述べ、 「当面は現金保有という手もある」と続けた。

スイス最大の生命保険会社、スイス生命は7.9%高。同社の1 -6月(上期)決算は、純利益が前年同期比で89%増加した。コ スト削減と、傘下の独AWDホールディングの業績回復が寄与した。 純利益は2億6800万スイス・フラン(約220億円)と、ブルーム バーグが集計したアナリスト7人の予想平均2億1900万スイス・ フランを上回った。

◎欧州債券市場:独30年債上昇、利回りは過去最低に

欧州債市場ではドイツ30年債利回りが過去最低を記録した。この 日実施された独10年債入札では落札利回りが少なくとも10年ぶりの 低水準となり、世界景気の回復失速への懸念が高まる中、需要が持続し ていることを示した。

独2年債相場も上昇。予算関連文書でドイツの今年の債券発行 額が当初予定を下回ることが示されたことも要因だった。ポルトガ ル国債相場も高い。この日の国債入札で調達額が当初予定を上回っ たことが手掛かり。また、米10年債利回りが1年5カ月ぶり低水 準にとどまったほか、日本の10年債利回りは7年ぶり低水準とな った。この日の欧州株は下げた。

ウニクレディト(ミュンヘン)の債券ストラテジスト、コー ネリアス・パープス氏は、「利回り低下が需要後退につながる兆候 はまったくない。債券市場はL字型の景気低迷に備えつつある」と 語った。

ロンドン時間午後5時現在、独30年債利回りは前日比3ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.99%。一時 は過去最低となる2.957%まで下げた。同国債(表面利率

3.25%、2042年7月償還)価格は0.67ポイント上げ

105.22。独2年債利回りは2bp低下し0.65%。

2020年7月償還のドイツ国債(表面利率3%)の利回りは

2.32%と、前日を4bp下回った。この日実施された10年債 (表面利率2.25%)入札の落札利回りは2.35%だった。

◎英国債市場:上昇、2年債利回りは過去最低-質への逃避で

英国債相場は上昇。2年債利回りは過去最低を記録した。株安に伴 う質への逃避で買いが入った。

2年債利回りは一時、0.665%まで低下し、ブルームバーグがデ ータ集計を開始した1992年以来の最低を付けた。

10年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)低下の3.03%。2009年3月20日以来の低水準となる

3.01%まで下げる場面もあった。同国債(表面利率4.75%、2020 年3月償還)価格は0.28ポイント上げ114.14。

この日の英株式相場は5営業日ぶりに下落。指標のFT100種 指数は前日比0.9%安となった。

イングランド銀行(英中央銀行)が18日発表した5日に開かれ た金融政策委員会(MPC)の議事録で、MPCメンバーが緊急的な 刺激策の拡大と引き揚げの双方について検討したことが明らかになっ た。アンドルー・センタンス委員は過去最低の政策金利の引き上げを 3カ月連続で主張した。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net Editor: Akiko Nishimae, Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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