日本電産:米エマソンのモーター事業を買収-海外展開加速

ハードディスクドライブ(HDD) 用モーター世界最大手の日本電産は18日、米エマソン・エレクトリッ クのモーター事業を買収すると発表した。米国で家電や産業用の大・ 中型モーターで実績を持つエマソン社の事業を傘下に収めることで、 同国および世界での事業拡大を狙う。

同日午後、都内で会見した日電産の永守重信社長は今回の買収に ついて、「米国では独自に販売してきたが、時間がかかっており、いわ ば時間をお金で買った」と説明。「為替変動で損をしないような体制を 作りたいという思いがあった」と語った。エマソンの制御技術を電気 自動車(EV)用モーターなど次世代製品の開発にも生かすという。

買収額は非公表だが、一部報道では600億-700億円規模と伝え られた。永守社長は「そんなに高い値段で買っていない」などとし額 は明示しなかったが、「円高進行で安く買えた」と述べた。買収資金に は手元の現預金を充て、9月末までに決済する。

永守社長は、エマソンとは地域的な補完関係がある上、事業領域 に重なりもなく、相乗効果が見込まれると説明。雇用を大事にする点 など「社風も一致し、相思相愛だった」としている。まず、米市場で シェア過半数を取ることが目標とし、「そのための骨組みができた」と 買収効果に期待を込めた。

エマソンのモーター事業の年間売上高は8億3600万ドル(約714 億円、09年9月期)。永守社長は、リーマン・ショックの影響を受け た数字と説明し、不況に強く利益率も高いため、「来年は10億ドル(約 850億円)の売上高に戻るだろう」との見通しを示した。同事業は洗 濯機などの家電用や、建物の空調システム用のモーターなどでシェア が高く、自動車搭載用の中型モーターや産業プラントなどに使う大型 モーターも手掛ける。

「11年度中にはもう1社買収」

日電産の中長期戦略では、12年度に売上高を1兆円(前期は5875 億円)に拡大させる目標を掲げているが、永守社長は「11年度には、 もう1社買収しないと自力では達成は厳しい」と述べ、今回のような M&A(企業の合併・買収)を検討する方針を示した。

買収の対象となる企業については「本社は欧米など先進国にある が、新興国で強いネットワークや生産拠点を持っている会社」といい、 インドや南米、アフリカなどの新興市場で強い企業が候補となり得る と説明。技術面では、将来的に成長が見込まれ、注力していくEV向 け車載モーターでは「制御技術が不可欠」とし、「補完関係を狙うため には制御技術が必要」とした。

日電産のM&Aは1973年の創業以来、今回で30件目。これまで は旧三協精機製作所(現日本電産サンキョー)など経営不振に陥った 企業や事業を引き受ける例が多く、今でこそ合わせて「500億円近い 利益を上げてきている」と永守社長は話すが、再建には時間がかかっ た。今回は買収直後から収益に貢献する事業になるという。

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