債券は続伸、日銀の金融緩和観測が支え-長期金利7年ぶり低水準更新

債券相場は続伸。前日の米国市場 の株高、債券安を手掛かりに反落して始まったが、日本銀行が金融緩 和策を打ち出すとの観測から上昇に転じた。現物市場では中長期ゾー ンの買いが優勢となり、5年や10年債利回りが7年ぶり低水準を更新 した。

トヨタアセットマネジメントの深代潤チーフファンドマネジャー は、日銀が金融緩和に打って出るとの読みが広がり、さらには市場で 想定される緩和策では実施後の円高リスクも視野に入ってきたと言い、 「債券の買いそびれを回避したいとの意識が強まった」とも話した。

東京先物市場の中心限月9月物は前日比6銭安い142円64銭で始 まり、直後にこの日の安値となる142円59銭まで下げた。しかし、午 前10時前後からは前日終値を上回っての推移となり、午後には142 円80銭を挟む水準でもみ合った。取引終盤には再び買いが入っており、 結局は18銭高の142円88銭でこの日の高値引けとなった。

先物9月物は前日までの5営業日で続伸して、その間の上昇幅が ほぼ1円に達するなど急激な相場上昇に対する警戒感が広がる中、17 日の米国市場が株高、債券安となったこともあって売りが先行した。

米国では7月の鉱工業生産指数が市場予想を上回ったことなどが 材料視され、株式市場ではダウ工業株30種平均など主要な株価指数が 1%強上昇。一方、米国債市場では朝方から売りが優勢となって、10 年債利回りは7ベーシスポイント(bp)高の2.63%付近で引けた。

しかし、先物相場は売り一巡後に買われており、一時は前日に付 けた7年2カ月ぶり高値に接近した。三井住友海上きらめき生命保険 経理財務部の堀川真一部長は、「市場の関心が日銀の金融緩和実施に向 けられているため、投資家が現物債を急いで売る雰囲気がうかがえな い」と言い、日銀が実際に何らかのアクションを起こすまで相場上昇 のトレンドは転換しにくいとの見方を示した。

最近の先物の買い手として市場では商品投資顧問(CTA)など が挙げられている。みずほ証券の野地慎シニアマーケットアナリスト は、日銀の緩和観測といった外国人投資家受けの良い材料が背景にあ ると指摘。先物の未決済の取引残高である建玉は11日以降の相場上昇 局面で5000億円超増加した。

10年債利回りは0.915%

現物市場で新発10年物の309回債利回りは前日比変わらずの

0.945%で始まり、開始後いったんは0.5bp高の0.95%まで上昇。し かし、その後に買いが入ると前日終値を下回る展開となり、午後3時 20分前後には3bp低下の0.915%に低下し、新発10年債として2003 年8月13日以来の低水準を更新した。

309回債利回りは17日午前に7年ぶり低水準となる0.92%を付け たものの、結局は前日比変わらずの0.945%まで戻した。その後、米 国の長期金利が上昇に転じたことも朝方には懸念されていたが、日中 の取引では再び金利水準をじりじりと下げる展開となった。

この日は中期債市場でも買いが継続。2年物の295回債利回りは 1bp低い0.115%まで低下して、新発2年債として05年9月以来の低 い水準を記録したほか、新発5年債は前日に続いて7年2カ月ぶり低 水準となる0.26%を付けた。

早期緩和実施の観測

市場関係者の間で日銀の早期緩和実施の観測が盛り上がってきた。 ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、日銀が昨年12月に 首相と日銀総裁の会談が行われる直前に新型オペ導入が決めただけに、 来週23日にも両者の会談が設定される見通しとなったことで、市場関 係者の間では金融緩和観測が高まったとみている。

日銀の緩和策としては新型オペの供給枠拡大や期間の延長などが 想定されている。この場合に債券市場に直接の効果は及ばない見通し で、むしろ為替動向などを通じた間接的な影響が予想される。トヨタ アセットマネジメントの深代氏は、政府、日銀に有効な円高対策があ るとみれば、為替はもっとドル高・円安方向に動いているはずだと言 い、「結果的に緩和実施となっても円高が進む可能性があり、債券市場 では買い持ち高を落とす必要はないということになる」と話した。

三井住友海上きらめき生命の堀川氏も、日銀の金融緩和に加えて 政府が円売り介入に踏み出すなど、政府・日銀が一体となって取り組 まないと円高圧力は緩和しないと指摘。その上で、「金融緩和が打ち出 された場合にいったんは材料出尽くしで債券売りが出ても、その後に 再び買いが入って10年債利回りは0.8%台を探る展開だ」との見方も 示した。

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