8月17日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場:円とドル下落、株と商品上昇で逃避需要が後退

ニューヨーク外国為替市場では、ドルと円が大半の主要通貨に 対して下落。株式と商品相場が上昇したことで、逃避需要が後退した。

日本の政策当局が円高抑制に向け介入に動くとの観測も円を押し 下げた。ユーロは上昇。スペインとアイルランドの財政赤字への懸念 が後退するなか、両国政府が実施した国債入札で借り入れコストが低 下したことが背景にある。

オンライン為替取引オアンダのアナリスト、ディーン・ポップル ウェル氏(トロント在勤)は、「成長通貨のようなよりリスクの高い 資産に目を向けると、パフォーマンスはかなり良かった。商品・株式 相場を背景にそうした動きとなっている」と分析。「アイルランドの 国債入札は比較的好調だった。スペインの入札も同様で、リスク環境 にはプラスとなった」と指摘した。

ニューヨーク時間午後4時24分現在、円はユーロに対し、 1ユーロ=110円15銭と、前日の109円44銭から0.7%安。 一時109円7銭と、7月1日以来の高値を付ける場面もあった。 ドルは対ユーロで0.4%値下がりし、1ユーロ=1.2880ドル (前日は1.2827ドル)。円はドルに対し0.3%安の1ドル= 85円53銭(前日85円32銭)。

スペイン政府はこの日政府証券入札を実施し、12カ月物と18 カ月物合わせて55億ユーロを発行した。需要拡大に伴い、落札利回 りは前回の入札を下回った。アイルランド政府は2020年10月償 還の国債(表面利率5%)を10億ユーロ起債。平均落札利回りは

5.386%と、7月に実施された同年限の国債入札時の5.537%を 下回った。

「かなり懸念」

UBSのストラテジスト、アメリア・ブルドー氏は「市場はユー ロ圏のソブリン債問題をかなり懸念していた」と指摘。「スペインと アイルランドがともに債券発行を無事こなしたのは良いことだ。リス クセンチメントには支援材料になっている」と語った。

米労働省がこの日発表した7月の生産者物価指数(PPI)は4 カ月ぶりに上昇し、低成長がデフレを招いてはいないことが示された ものの、ドルは対ユーロで軟調な展開が続いた。7月のPPI全完成 品は前月比0.2%上昇した。また米連邦準備制度理事会(FRB) が発表した7月の鉱工業生産指数は前月比1%上昇と、市場予想を上 回る伸びとなった。

株式市場では、S&P500種株価指数が1.2%上昇。原油市場 では、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限が一 時1.9%高の1バレル=76.63ドルを付けた。商品19銘柄で構成 するロイター・ジェフリーズCRB指数は0.8%上昇。

「パラダイムは続く」

HSBCホールディングスは、為替とほかの資産の相関関係は強 さが続くと予想している。

デービッド・ブルーム氏(ロンドン在勤)らHSBCの為替スト ラテジストは、調査リポートで「『リスク選好、リスク回避』という パラダイムが弱まるのは、マクロ経済状況が持続的な改善を示して からのみとなりそうだ。それはつまり、このパラダイムがまだかなり の間、市場を支配し続けることを示唆している」と記した。

◎米国株式市場:上昇、S&P500種は2週ぶり大幅高-決算を好感

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は2週間ぶりの大幅高 だった。企業の好決算や英豪系資源会社BHPビリトンがカナダの 肥料メーカー、ポタシュに提示していた390億ドルの買収案が 材料視された。

小売り最大手ウォルマート・ストアーズは1.2%上昇。住宅用 品小売りのホーム・デポも高い。両社とも通期の利益予想を上方修正 した。ポタシュを中心に肥料メーカーの株価が上昇。ポタシュはBH Pの買収案を拒否した。ヘルスケア製品のジョンソン・エンド・ジョ ンソン(J&J)は、米資産家のウォーレン・バフェット氏率いる投 資・保険会社バークシャー・ハサウェイが持ち株を増やしたことが好 感され上昇した。

S&P500種株価指数 は前日比1.2%上昇の1092.54。ダウ 工業株30種平均は103.84ドル(1%)高の10405.85ドル。

レイモンド・ジェームズ・アソシエーツのチーフ投資ストラテ ジスト、ジェフリー・ソー氏は、「株価は割安だ」と述べ、「企業利 益は非常に良好なようだ。消費者もニュースでみるよりも状態は良さ そうだ。企業の手持ち資金は潤沢で、一から資産を構築するよりも資 産を購入する方が安い。株式についてはあまり多くのマイナスはない。 年初来の高値を試す可能性がある」と述べた。

鉱工業生産、PPI

S&P500種の業種別10指数はいずれも上昇。同株価指数は4 月23日に記録した年初来の高値から前日までに11%下落した。

午前に発表された7月の鉱工業生産指数は前月比で1%上昇と、 市場予想の2倍に達した。また生産者物価指数(PPI)は前月比

0.2%上昇で4カ月ぶりの上昇だった。食品とエネルギー価格を除く コア指数は0.3%上昇と、これも市場予想を上回った。

7月の米住宅着工件数は前月比で増加したものの、市場予想に は届かなかった。また住宅着工許可件数は昨年5月以来の最低に落ち 込んだ。

米商務省が発表した7月の住宅着工件数(季節調整済み、年率 換算、以下同じ)は前月比1.7%増の54万6000戸だった。ブルー ムバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は56万戸。 許可件数は3.1%減少した。

テンプルトン・アセット・マネジメントのマーク・モビアス会 長はブルームバーグ・テレビジョンのインタビューで、「強気相場が 続くだろう」と述べた。

ウォルマートは上昇。同社の四半期決算は海外事業の好調が米 国での販売不振を補った。同社はまた、通期の利益見通しを上方修正 した。通期利益予想は1株当たり最大4.05ドル、従来予想は最大4 ドルだった。

ホーム・デポは3.4%高。ホーム・デポの5-7月(第2四半 期)決算は、利益がアナリスト予想を2.1%上回った。

ブルームバーグのまとめたデータによると、7月12日以降に四 半期決算を発表したS&P500種銘柄444社のうち、利益が予想を 上回ったのは75%に達した。

ブルームバーグのまとめたアナリスト予想では、S&P500種 採用企業の2010年の増益率は36%、2011年は16%となっている。

素材株

S&P500種の素材株価指数は2.3%上昇と、業種別10指数 の

中で値上がり率最大だった。ポタシュは自社の価値を「著しく過小評 価している」として、BHPの買収案を拒否した。

北米2位の肥料メーカー、モザイクは8.7%上昇した。

食品容器・包装用品メーカーのパクティブは5.4%高。同社は身 売りに合意。取引は約60億ドル相当の規模とされている。

◎米国債市場:反落、鉱工業生産が予想上回り―10年債2.64%

米国債相場は3日ぶりに下落。鉱工業生産が予想を上回った ため、売りが優勢になった。

7月の生産者物価指数(PPI)上昇と住宅着工件数の増加を受 け、10年債と7年債を中心に売りが先行した。米連邦準備制度理事 会(FRB)は25億5000万ドル相当の国債(償還期日2014年8 月から16年2月)を購入した。

グッゲンハイム・パートナーズの米政府トレーディングディレク ター、ジェーソン・ローガン氏は、「米国債は買われ過ぎの状態だっ た。経済には明るい部分が散見されるようになるだろう。住宅指標や PPIの後に質への逃避買いが入らなかったため、利益確定の売りが 出た」と解説した。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後3時17分現在、10年債利回りは7ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)上昇の2.64%。同年債(表面利率2.625%、 2020年8月償還)価格は20/32下げて99 29/32。利回りは前日 に2.5591%と2009年3月以降の最低水準をつけた。

2年債利回りはこの日、2bp上昇の0.5%。一時は0.48%と 過去最低を更新する場面もあった。30年債利回りは5bp上昇の

3.76%。前日は1年4カ月ぶりの低水準となる3.71%まで低下し た。

キャンター・フィッツジェラルドの金利責任者、ブライアン・エ ドモンズ氏は「金利は上昇する用意ができている。過去数日の相場は 行き過ぎだった。投資家は利回りがさらに上昇するまで買いを手控え る可能性がある」と述べた。

鉱工業生産

FRBが発表した7月の米鉱工業生産指数は前月比1%上昇した。 ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央値は0.5%上昇 だった。6月は0.1%低下。7月の製造業部門の生産は1.1%増。

スタンダードチャータード銀行のエコノミスト、デービッド・シ ーメンス氏(ニューヨーク在勤)は顧客向けリポートで、米製造業セ クターの明るいデータにより、下半期は「良好な滑り出し」になった と指摘した。

PPI全完成品は前月比0.2%上昇した。ブルームバーグ・ニ ュースがまとめたエコノミスト予想中央値と一致した。住宅着工件数 は前月比1.7%増。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミ ストの予想中央値は2%増だった。

国債購入

FRBのウェブサイトによると、FRBは9月中旬までに約 180億ドル相当の米国債とインフレ連動国債(TIPS)を購入す る計画だ。

CRTキャピタル・グループの国債ストラテジスト、イアン・リ ンジェン氏は、「FRBは緩和的な金融政策を解除する用意はなく、 必要に応じて追加の緩和政策を取る用意があるとのメッセージを市場 に送ろうとしている」と語った。

シティグループが今月実施した調査によれば、ほぼ半分の投資家 がFRBは新規資金による米国債購入を再開し、いわゆる量的緩和戦 略を取るとの見通しを示した。シティのストラテジスト、ニーラ・ゴ ラプディ氏は16日付のリポートで、FRBは超過準備に付与する金 利をゼロに設定すると約40%の回答者が予想していることを明らか にした。

ニューヨーク連銀の発表によると、FRBは購入する可能性のあ る証券のリストに挙げた25種類のうち、14証券を購入した。次回 の購入は19日。

JPモルガン・チェースのストラテジストはFRBが今後1年間 に約2840億ドル相当の米国債を購入するとの見通しを示した。これ は日本と中国が5月までの1年間に購入した総額を上回る。クレデ ィ・スイス・グループのアナリストは、購入総額を3070億ドル、機 関債の償還金が470億ドルと予想した。

◎金先物市場:6週間ぶり高値、ドル安でヘッジ需要高まる

ニューヨーク金先物相場は上昇。ドルの軟調を背景に、代替投資先 としての金への需要が高まり、6週ぶり高値に押し上げられた。

主要6通貨のバスケットに対するドル指数は2日連続で低下。こ の日は一時、0.6%下げる場面もあった。一方で商品19銘柄で構成 するロイター・ジェフリーズCRB指数は4日以来の大幅高となった。 金融市場の混乱や通貨下落に対するヘッジ買いで、金は年初から 12%上昇。6月にはオンス当たり1266.50ドルと、過去最高値を更 新した。

ゴールド・アロー・キャピタル・マネジメントのパートナー、ヘ イスベルト・フルーネウェーゲン氏は、「ドルの下落に対するヘッジ として金が買われている」と指摘。「投資家は安心感を与えてくれる 商品を求めている」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前日比2.10ドル(0.2%)高の1オンス=1228.30ドル で取引を終了。一時は1231.10ドルと、中心限月としては7月1日 以来の高値を付ける場面もあった。

◎原油先物市場:5週間ぶり安値から反発、株高で-75.77ドル

ニューヨークの原油先物相場は前日に付けた5週間ぶりの安値から 上昇。株価が上昇したことで、景気回復は持続でき、燃料需要の拡大に つながるとの見方が強まった。

S&P500種株価指数は上昇。企業決算が予想を上回ったほか、 肥料メーカー、カナダのポタシュが英・オーストラリア系資源会社 BHPビリトンの買収案を拒否したことが背景となった。これを手 掛かりに原油は6営業日ぶりに上昇した。ドルは前日の水準から

0.5%下げ、商品の投資妙味が高まった。

エネルギー関連のコンサルタント会社キャメロン・ハノーバー のピーター・ビューテル社長(コネティカット州ニューカナン在勤) は「株高とドル安が相場を下支えしている」と指摘。「株の上昇は 経済成長が需要拡大につながる兆しだ。また、多くの買い手にとり、 ドルの下落でドル建ての原油相場は割安になる」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は前 日比53セント(0.7%)高の1バレル=75.77ドルで取引を終了。 16 日には15セント安の75.24ドルと、終値ベースでは7月12 日以来の安値を付けた。

◎欧州株式市場:上昇、好決算や業績上方修正で-ビナバーガー高い

欧州株式相場は上昇。北欧最大のビール醸造メーカー、デンマーク のカールスバーグが業績見通しを上方修正したほか、オーストリアの建 材メーカー、ビナバーガーの決算が黒字転換したことで、景気回復を維 持できるとの確信が強まった。

カールスバーグは2.1%高。ビナバーガーは4-6月(第2四 半期)決算が黒字となったことが買い材料となり、9.3%上昇した。

一方、英・オーストラリア系資源会社BHPビリトンは2.4% 安。カナダの肥料メーカー、ポタシュはBHPが示した390億ドル (約3兆3300億円)相当の買収案を拒否した。同業の独K+Sや ノルウェーのヤラ・インターナショナルは上昇した。

ストックス欧州600指数は前日比1.1%高の258.47と、5 月25日に付けた年初来の安値を11%上回る水準で取引を終了した。 エンジニアリング欧州最大手、独シーメンスや独自動車メーカー、ダ イムラーが利益見通しを上方修正したことで、世界的に景気回復が足 踏みするとの懸念が緩和された。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのリチャー ド・ラカイユ最高投資責任者(CIO)はブルームバーグテレビジョ ンとのインタビューで「当社は今も株を選好しており、リスク志向の スタンスを維持している」と述べ、「米国、欧州ともに企業決算が予 想を上回っている」と続けた。

ブルームバーグがまとめたデータによると、S&P500種構成 銘柄で7月12日以降に業績を発表した444社のうち、75%の企業 の1株当たり利益が予想を上回っている。欧州では、ストックス欧州 600指数構成銘柄で業績を発表した企業の55%が予想を上回る利益 を出した。

◎欧州債券市場:独10年債下落、利回り過去最低から上昇

欧州債市場ではドイツ10年債相場が下落。同利回りは過去最低ま で下げた後、上昇に転じた。欧州の周縁国が実施した国債入札で、これ ら諸国の国債に対する投資意欲が示されたことを背景に、域内で最も安 全とされるドイツ国債への需要が後退した。

この日のアイルランド国債相場は上昇。同国は15億ユーロ相当 の国債を入札した。スペインは国債を55億ユーロ発行した。一方、 ドイツ国債相場は5営業日ぶりに下落。ドイツの欧州経済研究所セン ター(ZEW)の17日発表によると、8月の同国の現状指数はアナ リスト予想を上回る伸びとなった一方、景況感指数は1年4カ月ぶり 低水準に落ち込んだ。

WestLBの債券ストラテジスト、ミヒャエル・レスター氏 (デュッセルドルフ在勤)は、「ドイツ国債相場が若干下げた一方で、 周縁国の国債相場は堅調に推移した。アイルランドの資金調達力とそ の能力が悪化していないようだと市場関係者が安堵(あんど)したか らだ」と述べた。「ZEWの指標は若干まちまちの内容だったが、上 値余地が限られているとの見方から、市場参加者は利益確定の機会と とらえている」と続けた。

ロンドン時間午後4時5分現在、独10年債利回りは前日比3 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.36%。同国 債(表面利率3%、2020年7月償還)価格は0.30ポイント下げ

105.56。一時は2.322%まで下げ過去最低を記録した。独30年国 債利回りも過去最低の3.001%まで下げる場面があった。

アイルランド政府は2014年償還と20年償還の国債をそれぞれ 発行した。この日の調達額は目標レンジの10億-15億ユーロの上 限。国債入札の結果は、アングロ・アイリッシュ銀行などの国内銀行 への支援コストが膨らむとの懸念が和らいだことの表れと見られてい る。

◎英国債市場:下落、株高を嫌気-インフレ率も売り材料

英国債相場は下落し、10年債利回りは1年5カ月ぶり低水準から 上昇した。株高に加え、この日発表された7月のインフレ率が5カ月連 続で政府目標の上限である3%を上回ったことが背景にある。

2年債利回りは過去最低付近から上昇した。米格付け会社ムーデ ィーズ・インベスターズ・サービスはこの日、英国が最高格付けを維 持できる公算は大きいとの見方を示したが、利回り押し下げには至ら なかった。英政府統計局(ONS)が17日発表した7月の消費者物 価指数は前年同月比3.1%上昇。6月は3.2%上昇だった。ブルー ムバーグ・ニュースがまとめたエコノミストを対象とした調査中央値 と一致した。

RBCキャピタル・マーケッツ(ロンドン)の債券ストラテジス ト、サム・ヒル氏は、「このようなあまり展開のない状況で、インフ レのデータが飛び抜けて悪い材料の1つだった」と述べ、「この日は リスク志向があり株式相場が堅調に推移していたため、国債相場は若 干下げた」と続けた。

ロンドン時間午後4時43分現在、10年債利回りは前日比4ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し3.07%。同国債 (表面利率4.75%、2020年3月償還)価格は0.34ポイント下

113.84。2年債利回りは0.71%と、前日から3bp上げた。

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