BP損害賠償基金:全米50州から14万2400件超の申請、管理者に試練

英BPがメキシコ湾で起こした原 油流出事故の被害者への損害賠償支払いのために創設された200億 ドル(約1兆7000億円)の基金を管理するケネス・ファインバーグ 氏は、全米50州から寄せられる申請書と格闘している。

ファインバーグ氏は13日、電話インタビューで「メキシコ湾や 湾岸から遠ければ遠いほど、申請が通る可能性は低くなる。しかし、 1件、1件に目を通すつもりだ」と述べた。

BPの広報担当者、ロバート・ワイン氏(ヒューストン在勤)に よると、全米50州から計14万2400件余りの損害賠償申請が同社に 寄せられたが、その大部分は損害賠償基金に回される見通し。BPは 先週、ファインバーグ氏の判断を待たずに11万4100件(3億5200 万ドル相当)の緊急支払いを実施したと発表した。

ファインバーグ氏(64)はワシントンの弁護士。ベトナム戦争で 枯れ葉剤による健康被害に遭った退役軍人のほか、2001年9月11日 の同時多発テロや07年バージニア工科大学の銃乱射事件の被害者に 対する補償を担当した経験がある。

同氏は今回の基金について、死亡や負傷よりも原油流出による経 済的な損害の補償を求める申請が大半であることや、事故が幅広い影 響を及ぼした点で違いがあると指摘。「地理的な側面と、経済的損失と 原油流出の関連性を把握するのに努力するという面で、これまでにな い挑戦となる」と述べた。

申請者の「創造性」

ファインバーグ氏は、遠方からの申請は「申請者の創造性がどん なものか教えてくれる」と語った上で、メキシコ湾岸から50マイル (80キロメートル)内陸に入ったホテルが観光上の損害を理由に補償 される可能性は低いだろうと説明した。

これはフロリダ州にとっては歓迎できないニュースだ。同州の観 光業の年間売上高は約600億ドル。流出した原油が押し寄せたのは北 西部のパンハンドルの沿岸に限られているが、州内の砂浜はどこでも 汚染されているとの誤った印象で敬遠されているとホテル業界は指摘 している。

フロリダ州大西洋岸のフォート・ローダーデールで「トロピ・ロ ック・リゾート」を経営するミック・ボール氏は「フロリダ=原油と 思い込み、サンディエゴに行こうということになる」と嘆く。リセッ ション(景気後退)で落ち込んでいた前年と比べても収入が15%減少 したことから、損害賠償申請を検討しているという。

ゴルフ場

メキシコ湾ゴルフ協会のエグゼクティブディレクター、ダンカ ン・ミラー氏は砂浜から25マイル離れたゴルフ場も影響を受けてい ると主張する。あるゴルフ場では7月の収入が前年同月比で13万ド ル減ったと話すミラー氏は、協会に加盟する12のゴルフ場全体の損 害を100万ドル超と見積もっている。

ファインバーグ氏は、メキシコ湾岸の不動産業者については「多 大な被害を被った」として、「ほどほどの額」を確保していると話す。

同氏は、BPが原油流出を止めることに成功したことや流出原油 の大部分が消散したとみられることで、今後の申請件数は限定的にな るとみている。

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