円買い鈍化、円高対応に警戒感強まる-株下げ渋りでリスク回避緩和

東京外国為替市場では、午後の取 引にかけて円買いの動きが鈍る展開となった。菅直人首相が日本銀行 の白川方明総裁と週明けにも会談するとの一部報道を受けて、円高阻 止に向けた措置が警戒された。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司ディレクターは、 菅首相と白川総裁の会談日程がようやく報じられたことで、「タイミン グが遅いとはいえ、9月の金融政策会合での緩和期待も高まるはず」 だと指摘。さらに、アジア株も思ったほど下がらないといった状況か ら、円買いを進めにくくなったと説明している。

ユーロ・円相場は午前の取引で一時1ユーロ=109円7銭と、7 月1日以来、約6週間ぶりの円高値を付けていたが、午後には109円 台後半まで押し戻されて推移している。

ドル・円相場も朝方に付けた1ドル=85円44銭を円の下値とし て、一時は85円12銭と、3営業日ぶり水準まで円が上昇。しかし、 午後にかけては円の上値を試す勢いもなく、85円台前半を中心に小幅 な値動きに終始した。結局、東京時間日中の値幅は32銭にとどまった。

この日のアジア時間には、中国株が3日続伸。午前に下落幅が一 時100円を超えて、再び9100円台を割り込んでいた日経平均株価も午 後は9100円台後半まで回復した。

円高は目先「小休止」

当局の円高対応に市場の注目が集まる中、フジニュースネットワ ークは17日 菅首相が白川総裁と、円高について話し合うため、週明 け23日に会談を予定していると報じた。

また、日経テレコンの報道によると、荒井聡国家戦略・経済財政 相は17日の午後に都内で行った講演で、最近のドル安・円高について、 「口先介入で収まる段階ではないかもしれないとは思うが、最終局面 だとの見方もある」と発言。国内当局者からは口先も含めて円高包囲 網が張られる格好になっている。

東海東京証券金融市場部の二瓶洋トレーディンググループマネー ジャーは、「昨年11月の円高局面では、日銀が緊急会合を開いて金融 緩和策に踏み切ったことで、円高の進行に歯止めがかかった経緯もあ り、市場は同様の対応を期待している可能性がある」としている。

加えて、米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴマ ーカンタイル取引所(CME)の国際通貨市場(IMM)では、10日 時点の円買い越しが5万2478枚と、昨年12月1日以来、約8カ月ぶ りの水準に膨らんでいる。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の酒井聡彦グループマネージャー は、円買い持ち高が積み上がっている中で、「新たな材料が出ないと、 動きづらくなっている」とも言い、円高の進行は「いったん小休止」 している感があると説明している。

世界景気減速懸念でリスク回避くすぶる

一方で、16日に米国で発表された経済指標では、8月のニューヨ ーク地区の製造業景況指数がブルームバーグ・ニュースのまとめた市 場予想を下回る伸びとなったほか、同月の住宅市場指数が市場の上昇 予想に反して2009年3月以来の低水準に落ち込んだ。

東海東京証の二瓶氏は、経済指標の弱含みを背景に米10年債利回 りの低下傾向が強まっている上、ダウ工業株30種平均も5日続落して おり、リスク志向後退の流れがしばらく続く見通しにあると指摘。「円 やスイス・フランなどの逃避通貨に資金が流れ始めている」として、 欧州を含め世界的にも景気減速懸念が広がる中で、円を買わざるを得 ない状況になっていると説明している。

米国債市場では、2年債の利回りが過去最低水準に低下したほか、 10年債の利回りも昨年3月以来の低水準となった。日米の10年債利 回り格差は昨年4月以来の水準に縮小している。

また、欧州債市場でも、ドイツの10年債利回りが過去最低水準を 記録するなど、世界的に金利の低下傾向が強まっていることから、各 国と日本との金利差縮小を背景に円に資金を戻す動きが促されやすい 面もありそうだ。

そうした中、この日の米国時間には7月の生産者物価指数(PP I)や住宅着工・許可件数、鉱工業生産などの指標が発表される。ま た、欧州でもドイツで欧州経済研究センター(ZEW)が8月の独景 況感指数を発表する予定で、引き続き米欧の景気動向が注目される。

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