米国債:上昇、10年債利回りは16カ月ぶり低水準

米国債市場では10年債利回り が約1年4カ月ぶりの水準に低下した。ニューヨーク連銀製造業景 況指数が予想ほど上昇しなかったことに加え、外国人投資家による 米国債購入の増加が買いを誘った。

2年債利回りは過去最低に低下。米連邦準備制度理事会(FR B)が17日から景気浮揚策の一環として米国債を購入することが 背景にある。2年債と10年債の利回り差は3営業日連続で縮小。 2009年4月以来で最小となった。全米ホームビルダー協会(NA HB)とウェルズ・ファーゴが発表した8月の米住宅市場指数は予 想外に低下した。

ノバスコシア銀行の米国債トレーディング責任者、チャール ズ・コミスキー氏(ニューヨーク在勤)は「値動きは景気が非常に 弱く、二番底のリスクが高まっていることを示唆している。FRB がまもなく米国債を購入し始めるため、市場参加者は利回りを求め、 あらゆる年限の米国債に買いを入れている。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後4時15分現在、10年債利回りは10ベーシスポイント(b p、1bp=0.01%)低下の2.577%。ブルームバーグがまとめ たデータによると、それは09年3月以来の低水準。同年債(表面 利率2.625%、2020年8月償還)価格は27/32上げて100 13/32。

30年債利回りは09年4月以降で最低となる3.72%まで低下 する場面があった。今月初めて0.5%を割り込んだ2年債利回りは

0.4882%まで低下した。

ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジス ト兼エコノミスト、ガイ・リーバス氏は「現在の2年債は純粋な投 資というよりも価値保存の手段という要素の方が強い」と指摘。「利 回りは危機以来の最低水準にあり、われわれは別の危機に直面して いると言える。製造業セクターの改善ペースが減速しているのは明 らかだ」と語った。

2年債と10年債の利回り差は2.09ポイント。いわゆる利回 り曲線は景気減速が予想されると一般にフラット化する。一方、景 気回復が予想される場合は、経済成長がインフレにつながるリスク があるため、利回り曲線はスティープ化する。

海外投資家の米国債買い

海外投資家からの米株式や債券などの中長期金融資産に対す る需要は、6月に伸びが拡大した。米国債や機関債が買い増しされ た。米財務省が16日に発表した6月の対米証券投資統計によると、 外国の政府と投資家の中長期金融資産取引額は外国人からみて 444億ドルの買い越しとなった。買越額は5月の353億ドルから 拡大した。

欧州債務危機で安全な逃避先としての米国の政府債に買いが 集まったが、株式や社債は敬遠された。中長期の米国債は333億 ドルの買い越し。

中国の中長期の米国債保有は2.5%減少し、8397億ドル。マ イナスは15カ月ぶり。短期債を含めた米国債全体では2カ月連続 で減少。8437億ドルと、2009年5月以来の低水準となった。中 国の米国債保有は前年同月では01年以来で始めて減少した。保有 額のピークは09年7月の9399億ドル。

CRTキャピタル・キャピタル・グループの国債戦略責任者、 デービッド・エーダー氏は顧客向けリポートで「6月は債券購入に とっては比較的弱い月だった」と指摘した。

10年債利回りは2.5%に低下も

ニューヨーク連銀が16日に発表した8月の同地区の製造業景 況指数は7.1と、前月の5.1から上昇した。ブルームバーグ・ニ ュースがまとめたエコノミスト予想中央値の8は下回った。同指数 ではゼロが製造業活動の拡大と縮小の境目を示す。

ジェフリーズのシニア金利トレーダー、クリスチャン・クーパ ー氏は「現在、市場心理を反転させるには幅広い景気好転が必要だ。 すべてのデータが重要な環境になりつつある。10年債利回りは短 期間に2.5%まで低下する可能性がある」と述べた。

全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが 16日発表した8月の米住宅市場指数は、13に低下した。これは 2009年3月以来の低水準だ。前月は14。ブルームバーグ・ニュー スがまとめたエコノミスト予想の中央値は15だった。同指数で50 を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを 示す。

ジェフリーズのチーフ金融エコノミスト、ウォード・マッカー シ ー氏(ニューヨーク在勤)は「住宅市場は底入れ過程にある。 長期的には改善するが、そのペースは痛いほど遅くなるだろう」と 話した。

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