円が上昇幅を縮小、中国株高でリスク回避は緩和-米景気動向を警戒

東京外国為替市場では、午後の取 引で徐々に円が上昇幅を縮小した。米景気の腰折れ懸念を背景とした 日米の金利差縮小などで朝方は円買いが先行したものの、中国株が上 昇幅を拡大しているほか、日経平均株価が下げ渋る展開となったこと から、リスク回避に伴う円買い圧力が緩和する格好となった。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券クレジット市場部為替課長 の塩入稔氏は、米金利の低下や全体的な株価の軟調を背景とした円買 い圧力が一部で残るものの、先週に付けた約15年ぶりのドル安・円高 水準からはいったん戻されて、目先は「相場のテーマが見つけにくく なっている」と指摘。その上で、夏季休暇で一段と方向感が乏しくな る中、この日は中国株の持ち直しを受けて、「クロス・円(ドル以外の 通貨と円の取引)を売ろう(円は買い)という感じにはならない」と 説明している。

円は主要16通貨に対して全面高で始まったものの、午後は全般的 に伸び悩み。対ドルでは朝方に一時1ドル=85円73銭と、前週末の ニューヨーク時間午後遅くに付けた86円20銭から円高が進んだが、 午後は85円台後半で円の上値は限定された。円は対ユーロでも一時1 ユーロ=109円25銭と、2営業日ぶりの高値を付けたあと、午後にか けては109円台後半まで押し戻されて推移した。

この日の日経平均は午前に下げ幅が100円を超える場面も見られ、 一時は9100円台を割り込んでいたが、午後にかけては下落幅を縮小。 結局、前週末比56円79銭安の9196円67銭で取引を終えている。

また、反落して取引を開始していた中国株は午前の早い段階でプ ラス圏に浮上し、午後は上げ幅を拡大する展開となっている。

米景気動向を見極め

一方で、前週末の米株式市場では、7月の小売売上高の弱含みな どを受けて、ダウ工業株30種平均が4営業日続落。株価の予想変動率 の指標であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリテ ィ指数(VIX指数)は7月16日以来の水準に上昇している。

米国では、16日にニューヨーク連銀が8月の製造業景況指数を発 表するほか、17日には7月の生産者物価指数(PPI)や住宅着工件 数など、今週も経済指標の発表が多く控えている。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、米企業の決算発 表期には、マクロ面の悪さを企業の好決算というミクロ面の材料が支 えていたが、足元では「その構図が完全に崩れている」と分析。「マク ロの材料が悪いとそのまま株安に直結する」として、リスク回避的な 動きが出やすくなっているとみている。

また、国内では朝方に発表された4-6月期の国内総生産(GD P)が市場の予想を上回る成長率の鈍化を示した。

日本の円高対応を警戒

半面、11日に円が対ドルで一時84円73銭と、1995年7月以来の 高値を付けたことを受けて、日本の当局者からは円高をけん制する発 言が目立っている。

共同通信の報道によると、14日夕には菅直人首相が、静養先の長 野県軽井沢町のホテルで記者団に対し、急激な円高傾向について「だ いぶ気になっている。今後も注意深く見ていきたい」と述べたうえで、 日銀との連携について「必要なコミュニケーションをしっかり取りた い」との考えを示したという。

ただ、みずほ証の林氏は、日本の政府要人が円高けん制姿勢を強 めてはいるものの、何か具体的な話が出ているわけではなく、市場に 「失望感」が生じている面もあると指摘。85円台で円高が進む局面で は、当局の「対応が迫られる」として、次の一手が注目されるとみて いる。

そうした中、13日付の朝日新聞朝刊によると、今週は菅首相が日 銀の白川方明総裁と円高の現状や対応を話し合うための会談を行う可 能性がある。

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