【今週の債券】長期金利は0.9%台で低下余地探る、追加緩和観測支え

今週の債券市場で長期金利は0.9% 台後半から低下余地を探る展開が予想されている。長期金利が7年ぶ り低水準に達していることへの警戒感はあるが、前週に続いて急激な 円高・株安が進めば日本銀行による追加緩和観測が強まり、債券買い が膨らむ可能性が高い。

みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、今週の長 期金利について、日銀による追加緩和観測が高まれば、「0.9%台後半 から低下余地を探る展開となり、0.95%ぐらいまで低下するのではな いか」と予想している。

長期金利の指標とされる新発10年債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが13日に市場参加者4人に聞いた今週の予想レンジは 全体で0.95-1.05%となった。前週末の終値は0.98%。

前週の為替市場では、円相場が一時1ドル=84円台と15年ぶり の円高・ドル安水準となったほか、日経平均株価は年初来安値を更新 した。急激な円高・株安を受けて、長期金利は12日に2003年8月以 来の低水準となる0.98%を付けた。こうした金融市場の動きに対して、 野田佳彦財務相は同日に緊急会見を開いて円高への懸念を表明し、日 銀の白川方明総裁も談話を発表。その後は、円高・ドル安圧力はやや 緩和されている。

もっとも、米国景気減速の強まりや欧州財政懸念を背景に、円高 基調は根強いとみられ、金融当局の円高対策が焦点となる。13日付の 朝日新聞は、菅直人首相と白川方明日銀総裁が、今週にも会談し、円 高の現状や対応を話し合う方向で調整していると報じた。円高是正に 向けて、日銀の追加緩和や為替介入など具体策が出てくるかに関心が 集まっている。

みずほ証の三浦氏は、「過去に日銀は1ドル=80円台の円高・ド ル安局面では金融緩和に動いている。市場は、何かをやらざるを得な いとみており、追加緩和期待が出ている」と解説。三井住友海上火災 保険投資部の高野徳義グループ長は、「首相と日銀総裁の会談が開かれ れば、追加金融緩和への思惑が生じやすい。政府と日銀の動きを見極 めつつ、債券は慎重に買い上げられる展開ではないか」と話した。

円高進行を受けて、輸出企業業績への警戒感が高まり、国内株価 が軟調に推移すれば、引き続き債券買いにつながりやすい。三菱UF Jモルガン・スタンレー証券の長谷川治美シニア債券ストラテジスト は、「円高になると株安が進み、企業・家計のマインドが落ち込む。先 行きの物価押し下げ要因にもなる」と言い、「日銀の景気、物価シナリ オの下振れリスクが高まり、それに対して手を打つ必要が出てくる」 とも述べた。

今週は19日の流動性供給入札以外に利付国債の入札が予定され ておらず、需給環境も良好とみられている。損保ジャパンの八田真債 券運用第1グループリーダーは、「長期金利が1.0%を割り込んだ反動 で売りが出やすいものの、金融機関の買い意欲も強く、好需給に支え られそう」と言う。

経済指標では、16日に4-6月期の実質国内総生産(GDP)の 1次速報が発表される。ブルームバーグ調査によると、実質GDPは 前期比0.6%増加、年率2.3%増加と、1-3月期の(同1.2%増、同

5.0%増)から伸びが鈍化する見通し。もっとも、三井住友海上火災の 高野氏は、「過去の数字と受け止められ、市場は先行きの景気減速を懸 念するだろう」と予想している。

市場参加者の予想レンジとコメント

13日までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通 り。先物は中心限月9月物、新発10年国債利回りは309回債。

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物9月物141円80銭-142円80銭

新発10年債利回り=0.95%-1.05%

「引き続き相場の上昇余地を試す。首相と日銀総裁の会談が開か れれば、追加金融緩和への思惑が生じやすい。当面の利息収入の確保 や9月の国債大量償還を考えても債券は売りづらい。4-6月GDP については過去の数字と受け止められ、市場は先行きの景気減速を懸 念するだろう。政府と日銀の動きを見極めつつ、慎重に買い上げられ る展開ではないか」

◎損保ジャパンの八田真債券運用第1グループリーダー

先物9月物141円80銭-142円70銭

新発10年債利回り=0.95%-1.05%

「長期金利は低位安定か。円高傾向が続けば金利は下がりやすい。 菅首相と白川日銀総裁との会談の動向を見極めたい。長期金利が

1.0%を割り込んだ反動で売りが出やすいものの、金融機関の買い意欲 も強く、好需給に支えられそうだ。GDP統計では年率5%から2% 台に鈍化が予想されているが、債券市場で大きな材料にはならないだ ろう」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物9月物141円75銭-142円50銭

新発10年債利回り=0.97%-1.05%

「米国の景気先行き不安を背景に、米金利も低位で推移する見通 し。円高が進みやすく、日本の金利も下がりやすい。米経済指標発表 で、米景気に対して安心感を与えるような数字は出てこないだろう。 日本の金利も米金利に連動する形となり、金利上昇余地はなく、下値 では確実に拾われる底堅い展開となりそう。需要が強い中、長期金利 は1%前後でもみ合う」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物9月物141円70銭-142円60銭

新発10年債利回り=0.97%-1.05%

「長期金利は1.0%を挟んで一進一退ではないか。米国の景気減 速や追加的な緩和観測が根強いだけに、国内債市場では売りの出にく い環境が維持される可能性が高く、一方で米金利低下など買い材料に 反応しやすい。ただ、円高に対する政策対応を見極めたい雰囲気もあ って、10年債利回りの1%割れを買い進む展開までは考えづらい」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎、菅野顕一郎、近藤雅岐 Editors: Hidenori Yamanaka, Masaru Aoki

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