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野村の「日本株戦略ファンド」1000億円割れ、巨大投信失われた10年

10年前に1兆円ファンドと呼ばれ、 日本を代表する投資信託だった野村アセットマネジメントの追加型株式 投信「ノムラ日本株戦略ファンド」が22日、純資産総額1000億円の大 台を初めて下回った。新興国の著しい台頭などで世界の中で見た日本株 の投資魅力が相対的に低下しており、投資家の日本株離れを示す象徴的 な出来事と言えそうだ。

22日のファンドの純資産総額は前日比8億円減の997億円。2000 年5月に付けた過去最高額1兆1670億円の10分の1以下になった。基 準価額は4398円で、2000年2月からの設定来騰落率はマイナス56%。 TOPIXは2000年の高値から22日に付けた10年安値まで53%下げ ており、ファンドの基準価格下落は日本株相場の低迷の歴史でもある。

投資雑誌「投資信託事情」の島田知保編集長は、「日本株相場が良 くないことも日本株不人気の理由だが、今は投信を選ぶ際、毎月いくら 分配金が出るかが重要視されており、配当利回りが低く高い分配金を出 せない日本株は、投資家の関心を引きにくい」と述べた。

「日本株戦略ファンド」が誕生した2000年2月は、IT(情報・ 通信)バブル真っ只中。膨らむ株式の値上がり期待を一身に集めた同フ ァンドは、設定前に7924億円を販売し、運用を開始した。この当初設 定額の記録は、10年たった現在も破られていない。

日本株の地盤沈下、運用多様化の裏返し

投信業界では、日本株ファンドの販売が長期間低迷している。投資 信託協会によると、追加型株式投信の国内株式型は6月まで13カ月連 続で設定額が解約・償還額を下回る資金純流出という状況だ。

ブルームバーグ・データで22日時点の追加型株式投信の純資産ラ ンキングを見ると、トップが国際投信投資顧問の「グローバル・ソブリ ン・オープン(毎月決算型)」で3兆3342億円。日本株ではフィデリ ティ投信の「フィデリティ・日本成長株・ファンド」が2516億円で29 位にようやく顔を出す。2000年2月は、「日本株戦略ファンド」が圧 倒的1位だった。

現在販売が好調なのは、海外債券や不動産投信(REIT)などを 投資対象とし、毎月高い分配金が支払われる商品だ。09年4月の運用 開始から1年3カ月で純資産総額が4092億円に膨らんだ三菱UFJ投 信の「三菱UFJ新興国債券ファンド通貨選択シリーズ<ブラジルレア ルコース>(毎月分配型)」の場合、1万口(当初=1万円)当たりの 分配金は現在月200円で、年率換算した分配金利回りは20%に達する。 運用規模ではほかを圧倒する「グロソブ」だが、毎月の分配金が35円 と低く、資金流出にあえいでいる。

日本株相場の長期低迷と資金流出により、投信が保有する日本株の 資産総額も著しく減少している。投信協会のデータを基にブルームバー グが算出した円建て株式の額は、6月末時点で7兆5134億円。「日本 株戦略ファンド」が設定された2000年2月の10兆7400億円からは 30%減った。ただし、株式投信全体の純資産総額が17兆1630億円から 48兆6219億円へと2.8倍に拡大しているため、株式投信に占める割合 は63%から15%に急低下した。

外貨建て株式を加えても、現在の株式の割合は27%にとどまる。 一方、債券は16%から38%、その他も14%から35%に上昇、この10 年で運用先が多様化したことを示している。

足元の運用成績は堅実

「日本株戦略ファンド」の資産規模は減少傾向を続けているが、足 元の運用成績は健闘している。6月末までの過去1年間の基準価額騰落 率はマイナス5.7%ながら、TOPIXのマイナス9.5%を上回る。野 村アセットの開示資料では、7月16日現在の主な組み入れ銘柄として 日本電産、ホンダ、NTT、住友電気工業、富士通、キヤノン、NTT ドコモ、ファナック、任天堂、クラレなどを挙げ、保有銘柄数は296。

投資信託事情の島田氏は、高分配金ファンドは総じて日本株よりも リスクが高いという事実を十分理解せず、目先の分配金の額だけで購入 してしまう傾向に警鐘を鳴らし、長期的視野から運用成績や手数料など がより重視されるべきと言う。その上で、「日本株ファンドがあまりに 敬遠され、個人投資家の資金が投信を通じて国内企業のサポートに回っ ていない現状は残念だ」と話した。

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