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MRJの欧州営業を強化、年内にも拠点設置へ-三菱航空機(訂正)

(28日送信の記事で、最後から2段落目の時期を訂正します)

【記者:松田潔社、クリス・クーパー】

6月28日(ブルームバーグ):三菱重工業子会社の三菱航空機は 開発中の小型ジェット旅客機「MRJ」について、欧州で営業活動本 格化のため、早ければ年内にも拠点を設ける方針だ。日米では計125 機を受注しており、今後は欧州でも受注獲得を目指す。

MRJ販売のため、米国には2008年に拠点を設置。一方、欧州に は複数の販売員が出張で活動しているのが現状。三菱航空機の江川豪 雄社長は25日のインタビューで、欧州の営業活動について「感触は非 常によい」と述べ、「今年後半から来年にかけて事務所を設置したい」 との考えを明らかにした。具体的な場所は明らかにしなかった。

欧州の受注活動に関して、江川社長は「騒音や二酸化炭素排出な ど環境問題に対する意識が高い」と述べ、MRJの高い静寂性や燃費 効率などの強みが生かせる市場であり、需要が十分見込まれる地域だ と指摘する。三菱航空機は70-90席のリージョナルジェット市場で、 今後20年間に世界で5000機以上の新規需要が見込めると試算。江川 社長は「うち約1000機をMRJで占めたい」との目標を掲げている。

三菱航空機はMRJ機体本体の開発にほぼめどを付けたとし、今 後は顧客サポートセンターや操作・整備マニュアルなど保守・点検体 制を自社主導で確立することに注力し、受注に向けて一貫したサポー ト体制の構築を急ぐ。

江川社長は世界で潜在的なMRJ顧客が約250社あり、その半分 程度と接触していると明かす。「日本は物作りの力がたくましく、自動 車やカメラなどの製造を通じ信頼も高く、われわれが世界に発表して いる機材についても完成は間違いないだろうと言ってくれる顧客が多 い」という。現在の注力点は「カスタマーサポートのポリシーや体制、 これらを具体的に発信できるように取り組んでいる」と語った。

最終的に自らが責任を持つ形で

また、江川社長は「欧米の企業にさまざまなサポートを受けてい るが、最終的に自分自身が責任を持つ形で、顧客が満足するものを提 供するつもりで取り組んでいる」と強調した。

具体的には、引き渡し前にパイロットやキャビンアテンダントな どが対象のトレーニング体制や、24時間体制でコンタクト可能なコー ルセンターを設置するほか、保守・メンテナンス部品・備品の倉庫や 物流網構築などを基本的に米欧アジア3極に適宜設置するなどの構想 を視野に入れていると説明する。

三菱航空機・広報担当の小田宏司主任は、戦後初めて日本で開発 された旅客機の「YS11が失敗した一つの理由であるカスタマーサ ポートが十分にできなかったとの反省を踏まえたもの」と補足する。

江川社長は日本を代表して航空機開発に取り組む意義について 「航空機製造は基本的に欧米中心の先進国型の産業であり、日本が自 動車や精密機器の次に取り組むべきもの」と述べ、「日本にその実力も ある。ただ、いきなり大型航空機の開発は無理。まずは小型旅客機か ら」という。

ベストでラストのタイミング

さらに、小型旅客機の需要がある今、進出しないと、世界航空機 3位のカナダのボンバルディアや4位のブラジルのエンブラエルなど の有力メーカーに「市場は占有され固まってしまい、(参入が)無理と なってしまう」と述べ、「その意味ではベストなタイミングで、ラスト チャンスだ」との認識を示した。

新生証券の松本康宏シニアアナリストは、三菱航空機のMRJ開 発計画が「通常より遅いものではなく、また機材の品質もライバルメ ーカーとの比較でも負けてはいないと思う」と前置きした上で、この 分野への参入表明が遅れたことは事実であり、「一定のシェアを確保し ているボンバルディアやエンブラエルとの競争では苦戦を強いられそ うだ」と指摘した。

全日空と米TSHが発注

MRJを現在発注しているのは、全日本空輸と米トランス・ステ ーツ・ホールディングス(TSH)の2社。TSHは傘下に米2位の リージョナル航空会社、トランス・ステーツ・エアラインズとゴージ ェット・エアラインズの2社を有している。全日空は25機、TSHは 100機を発注。全日空はうち15機の発注を6月21日に正式決定。

三菱航空機はMRJ開発に関し、90席の機種で12年4-6月期 に初飛行、14年1-3月期に初号機納入をそれぞれ予定している。

日本航空も再生の基本方針の中で、非効率な大型機の早期退役、 燃費効率の高い新鋭小型機材を積極的に導入する方針を打ち出してい る。江川社長は「日航には常時うかがいながら受注活動を行っている が、14年のMRJの完成を経て、まずは50機程度を受注できればと 考えている」との期待を示した。

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