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円が全面高、対ドル88円台で約1カ月半ぶり高値-日米金利差縮小

東京外国為替市場では、円が主要 16通貨に対して全面高となった。対ドルでは一時1ドル=88円61 銭と、5月6日以来の高値を付けた。住宅関連を中心とした米経済指 標の弱含みを背景に景気の先行き不透明感が強まる中、日米金利差の 縮小がドル売り・円買いを後押しする格好となった。

クレディ・スイス証券経済調査部の小笠原悟エコノミストは、米 景気が期待していたよりもなかなか回復せず、景気の失速懸念が重し になってきていると指摘。そうした中、米金融政策の正常化が遅れる との見方が強まっており、「日米金利差が収れんする中では、黒字国で ある日本から資金が出ていかないというだけでも円高圧力になる」と 説明している。

89円台前半で東京時間早朝の取引を迎えたドル・円相場はじりじ りと円が水準を切り上げる展開となり、正午すぎには89円ちょうど に控えていたとされる損失を限定するための円買いを巻き込み、急速 に円高が進行。ユーロ・円相場も一時1ユーロ=108円56銭と今月 8日以来の円高値を付けた。

米2年債の利回りは過去最低の水準に低下。日本の2年債利回り との格差が、昨年11月30日以来の水準まで縮小している。

ただ、小笠原氏は足元の円高進行は「行き過ぎ」といった感があ り、米超低金利政策の長期化は既に織り込まれた可能性があるとして、 一段の円買いは抑制される公算もあるとみている。

米景気の失速懸念

この日の米国時間には、4月のスタンダード・アンド・プアーズ (S&P)/ケース・シラー住宅価格指数が発表されるが、東海東京 証券金融市場部トレーディンググループマネージャー、二瓶洋氏は、 「コンセンサスよりも弱めの結果が出れば、そのまま長期金利の低下 につながり、ドル・円が下落する展開になる」とみている。

そうした中、米景気の動向を見極める上で注目度の高い6月の雇 用統計が7月2日に発表される。ブルームバーグ・ニュースが29日 までにまとめた市場予想では、非農業部門の雇用者数は前月比で11 万5000人の減少が見込まれている。予想通りとなれば、昨年12月 以来、半年ぶりの雇用減に陥ることとなる。

上田ハーロー外貨保証金事業部の山内俊哉マネージャーは、米国 の住宅市場について、もう少し政策効果が長く続くかと思われていた が、関連指標が予想よりもかなり下振れしているため、市場が弱気に 傾いていると指摘。米雇用統計では、雇用減が予想されており、対円 で「ドルの下を見る人が多い」と説明している。

また、国内で朝方に発表された5月の完全失業率は5.2%と、前 月の5.1%から悪化。5.0%への低下を見込んでいた市場予想に反す る結果となった。さらに、5月の鉱工業生産指数は前月比0.1%低下 の95.9と、3カ月ぶりのマイナスとなった。

欧州信用リスクくすぶる

一方、国際決済銀行(BIS)は28日に公表した年次報告で、「資 金調達市場での最近の混乱が示したように、センチメントが悪化した 際に銀行は借り換えで大きな圧力に直面することがあり得る」とした 上で、「危機国の銀行はバランスシート修復で幾分前進したものの、完 了には程遠い」と指摘。悲観的な投資家センチメントが続けば、欧州 の銀行が資金借り換えで苦戦する可能性があるとの見解を示した。

BISによると、財政問題を抱えるギリシャ、ポルトガル、スペ イン、アイルランドなどの国債で、今後3年に償還期限を迎える長期 債のほぼ60%を銀行が保有している。

また、会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース(Pw C)はウェブサイトに掲載したニュースレターで、「ドイツの大手銀が 財務報告書で公表しているデータに基づくと、不良債権と評価損は09 年に大幅に増えた。多くの銀行は10年半ばがピークになると見込ん でいる」と分析している。

東海東京証の二瓶氏は、欧州の中でも比較的安全な立場とされる ドイツで銀行の不良債権が増加しているとの報道があり、ユーロが売 られる展開になったと解説。「どうしても週末の米雇用統計が視野に入 っているので、週後半に向けてはそれを見越した動きになりやすいが、 欧州の信用リスクに対する不安があり、ユーロ自体は軟調地合い」と みている。

この日のユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.2230ドルと、4 営業日ぶりの水準までユーロ安が進んだ。

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