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5月鉱工業生産、3カ月ぶりマイナス-4-6月は伸び鈍化へ

5月の日本の鉱工業生産指数は、 乗用車などの生産減少が響き、前月比で3カ月ぶりにマイナスになっ た。下げ幅は小幅で、ほぼ予想の範囲内だった。生産をけん引してき た輸出の伸びの鈍化に加え、エコポイント制度などの政策効果が一巡 し、4-6月期の生産の伸びは1-3月期と比べ緩やかになる公算が 大きい。

経済産業省が29日発表した鉱工業指数速報(季節調整済み、2005 年=100)によると、生産指数は前月比0.1%低下の95.9。同指数は依 然としてリーマン・ショック前の水準(08年8月は103.5)を回復し ていない。5月は前年同月比で20.2%上昇した。同省は5月の生産の 基調について「持ち直しの動きで推移している」とし、前月の判断を 据え置いた。エコノミスト調査の予想中央値は前月比横ばい、前年同 月比20.3%上昇だった。前月比予想の範囲は1.0%減-0.7%上昇。

政府の6月の月例経済報告では、「景気は着実に持ち直してきて おり、自律的回復への基盤が整いつつある」として、基調判断を3カ 月ぶりに上方修正した。ただ、景気は外需や政策効果に支えられてい る側面が強く、景気の自律的回復には至っていない。また、欧州諸国 の財政状況への懸念が長期化している中で、米国経済の回復にも一服 感が見られ、外部環境は不透明感が漂っている。

マネックス証券の村上尚己チーフエコノミストは統計発表後、09 年3月から「Ⅴ字」回復していた生産活動は「10年4-6月から 『通常の景気回復時』のペースに落ち着きつつある」と指摘。先行き ついては、「製造業の生産活動は依然堅調だ。市場では欧州発の世界 景気減速懸念が高まっているが、日本の製造業においてその悪影響は ほとんど見られていない」との見方を示した。

生産予測指数は6月、7月とも上昇

鉱工業生産の5月の出荷指数は前月比1.7%低下し、在庫指数は 同2.0%上昇した。先行きの生産動向を占う上で重要な製造工業生産 予測指数は、6月に前月比0.4%上昇、7月は同1.0%上昇が見込まれ ている。同省調査統計部の志村勝也経済解析室長は記者説明で、6月 の予測値がそのまま実現した場合、4-6月期は前期比1.9%上昇に なるとの試算を示した。

志村氏は「トレンドとして上昇の幅が小さくなっている」と述べ、 その背景として輸出の増勢が鈍化していることや政策効果の一巡など を挙げた。年初来の動向をみると、1-3月期の生産は前期比7.0% 上昇で、昨年10-12月期の5.9%上昇から伸びが高まった。

輸送機械は6月低下、7月上昇の見込み

5月の生産の減少要因となった普通乗用車は在庫が上昇したが、 これはロシア、タイなどへの輸出の船待ちが背景にあるという。予測 指数をみると、6月の輸送機械の生産は前月比4.3%低下するものの、 7月は同1.4%の上昇が見込まれている。一方、海外向けの電子部品 などを中心とした一般機械の生産は6月に同7.2%、7月に同4.3%そ れぞれ上昇が見込まれ、生産を下支えする見込み。

シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは統計発表前、 4-6月期の生産は1-3月期から「大幅に減速する公算が大きくな る」と指摘。「輸出の伸びが緩やかに鈍化し始める中、生産も鈍化局 面に入りつつあるとみられる」との見方を示していた。

ただ村嶋氏は、経済産業省が4月に公表した季節調整指数の再計 算(年間補正)の下では、今年1-3月期の生産(季節調整値)は高 めに、逆に4-6月期は「低めに出やすいことに注意する必要がある」 と指摘。その上で、生産の伸び鈍化は実態的には計数が示唆するより も「かなり緩やかと判断すべきだ」としている。

生産と関連性が高いとみられる輸出数量は5月に前月比0.1%減 少と15カ月ぶりにマイナスとなった。地域別では欧州向けが同8.8% 増加したものの、米国向けが同4.2%減、アジア向けが同1.1%減少し た。同数量は財務省が公表した5月の貿易統計速報(通関ベース)基 に、内閣府が独自に試算した。

また、内閣府の資料によると、09年の欧州向け輸出の日本のGD Pに占める割合は1.6%と低いが、中国の欧州向け輸出のGDP比は

4.8%、韓国は同6.0%と比較的高い。このため、今後、欧州向け輸出 が減少しても日本経済への直接の影響は限定的だが、中国などからの 欧州向け輸出が減少すれば、間接的に日本の対アジア向け輸出にも影 響が出る恐れがあるという。

--取材協力 Minh Bui Theresa Barraclough Editor Hitoshi Ozawa, Norihiko Kosaka

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