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ムーディーズ:菅政権の新戦略は政府格付けを支える

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米大手格付け会社、ムーディーズ・ インベスターズ・サービスは29日、菅直人首相が先週発表した財政再 建などの政策は、日本のソブリン格付けである「Aa2」と、安定的 との見通しを支えるものとしながらも、「課題がないわけではない」 とするコメントを発表した。

ムーディーズはその中で、同社ソブリンリスク・グループのシニ アバイスプレジデント、トーマス・バーン氏の見解として、日本の財 政再建と経済再活性化に向けた菅首相の戦略は「財政健全化を段階的 に進め、経済成長の促進と喫緊の課題である財政再建を両立させるた めの時間があると政府が考えていることを示している」と指摘、「同 戦略のマクロ経済想定は現実的である」としている。

また、バーン氏の見解として「市場はひとまずポジティブな反応 を示しており、長期的に戦略を成功させるためには、政府の多額の債 務の管理に対する市場の信認の維持と、持続的な経済成長率の回復が 極めて重要になるだろう」としている。

政府は今月22日に発表した中長期の財政健全化の道筋を示す「財 政運営戦略」で、政府の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の対 国内総生産(GDP)比での赤字を遅くとも2015年度に半減させると 表明。同時に、基礎的収支を遅くとも20年度までに黒字化することも 打ち出した。

政策の弱点は具体性の欠如

同戦略についてバーン氏は、「市場の信認を維持するためには、 政策の詳細を具体化し、今後1年間で実施の進ちょくを示す必要があ る」とも指摘した。その上で、「菅氏の政策の弱みは、歳出・歳入面 の施策のタイミング、方法、程度について具体性が欠如している点、 並びにその長期性である」と述べている。

さらに、日本よりも高い格付けを得ている英国の例を挙げ、「日 本と同様に多額の財政赤字に直面する英国の新政権も財政健全化目標 を発表したが、その内容は菅氏の計画よりはるかに確固とした決意を 示したもの」と指摘。日本の財政再建計画が十分でないことを示唆し た。

ただ、日本の場合は「対外債務の水準が低く、家計や企業の債務 比率も低い」上に、「国債の約94%は国内投資家が保有しており、経 常対外収支は黒字」だなどと指摘。段階的な戦略の実施は「景気回復 と財政の持続可能性に加わる外的圧力に対するバランスを取るために、 ある程度時間があると政府が考えていることを示している」との見解 を示した。

その上で、段階的アプローチに伴うリスクとして、かつて小泉政 権が財政健全化に着手した当時に比べ、日本が「より厳しい課題に直 面している」ことを指摘。「財政赤字は拡大し、政府債務は倍増して いる」と述べた。

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